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              右端の数字は本誌のページ番号です。
【目次】
iPS拠点とトップランナー5人が語る ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
脊髄損傷の細胞療法に関する声明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
C5のアウトカム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スマイル アゲイン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バルセロナ ―政府に働きかける障害者たち ・・・・・・・・・・・・・
舌で車いすを動かす ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
呼吸療法講演会案内・募金報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
シンポ「患者と語る:iPS細胞」開催案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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iPS研究トップランナー 5名が語る

10-5 シンポジウム開催へ

 再生医療実現への扉を開いたと言われるヒト人工多能性幹細胞=iPS細胞の樹立の発表から半年経過した2008年4月、京大iPS細胞研究センターを中心に、わが国でとしてはかつてない研究ネットワークが構築された〔読売新聞の図参照〕。

読売新聞〔2008年8月15日朝刊〕より

 本年10月5日に日本せきずい基金が開催するシンポジウム「患者に語る:iPS細胞」<Walk Again 2008>では、その中核を担う4拠点(京大、東大、慶応大、理化学研究所神戸)から5人の研究者をお招きし、研究の方向性と課題について報告と討論を行う。本号では、パネラーの研究テーマを研究拠点の役割と共に紹介する。 〔「再生医療」2008年8月号参照 基金事務局〕

 iPS細胞:山中伸弥 京都大学教授
 京大iPS細胞研究センターを中心とする「京大iPS細胞研究統合推進拠点」としては、iPS細胞研究の8つの達成目標を挙げている。
 ① iPS細胞そのもののメカニズムの研究
 ② 安全かつ効率的な作成技術の開発
 ③ 増殖のコントロールと分化誘導技術の開発
 ④ 特定疾患のiPS細胞による治療技術開発
 ⑤ 臨床応用のための安全性確保・評価技術の開発  
 ⑥ 知的財産権の管理運営
 ⑦ iPS細胞に特化した医療倫理
 ⑧ 細胞作成技術の普及

 H24年度までの5ヵ年計画では、①~③を平行して推進することが予定されている。
 今年度(H20)は、研究体制の整備拡充とともに、山中教授を中心にiPS細胞の本態解明や作成技術の向上に向けた研究が進行中である。
 また京大付属病院の中畑龍俊教授が、疾患特異的なiPS細胞の樹立計画を作成し、再生医学研究所の山下潤教授が心血管細胞の分化誘法を開発しつつあるという。
 全体的に言えば、安全で実用的なiPS細胞をいかに作成するかを、本態解明という基礎研究と細胞作成技術の開発の両面から追究していくことであろう。まず、難病患者のiPS細胞作成による治療研究や新たな治療薬を作成するための創薬研究には大きな効果を挙げることが期待されている。

 心筋の再生医学:澤 芳樹 大阪大学教授
 京大の研究統合推進拠点でiPS細胞による心筋の治療技術開発の分担研究者として大阪大学から参加するのが澤芳樹教授である。
 2007年、大阪大学病院の医療チームが、重症の心不全で補助人工心臓をつけて心臓移植を待っていた患者に対して、世界で初めて「心筋シート」を用いて心臓の機能を回復させることに成功した。心筋シートは患者の太ももの筋肉細胞から薄い細胞シートを培養し、直径5センチの薄いシートを3枚重ねたものである。
 2006年2月に意識不明で救急搬送されてきたこの50代の患者は、2007年5月に心筋シートをはる手術を行い、9月に補助心臓をはずし、その後徒歩で退院する姿がテレビニュースで報じられた。
 この心筋再生治療法を開発したのが、大阪大学心臓血管外科の澤芳樹教授である。ヒトiPS細胞の樹立と心筋再生という世界初の2つの成果を受けて、京大と大阪大学が共同研究により心筋の再生医療をめざすことになった。心筋シートは心筋にはなっていなかったため、今後、iPS細胞から分化させた心筋でシートを作成し、治療に生かすことが検討されている。

 臓器の再生医学:中内啓光 東京大学教授
 東大ではiPS細胞研究は以下4チームで推進される。
医科研幹細胞治療研究センターチーム(中内啓光〔日本再生医療学会理事長〕)
医学部付属病院チーム(牛田多加志)
細胞生物学研究チーム(宮島 篤/分子細胞生物学研究所)
総合文化研究チーム(大沼清/総合文化研究科)

 2008年3月の日本再生医療学会総会では、中内教授らがES細胞を使い、腎臓やすい臓を作る遺伝子を欠いたマウスの受精卵からこうした臓器をもつマウスを作ることに成功したと発表した。
 これはマウスの胚盤胞に注入したES細胞から腎臓が作られたもので、この腎臓が機能し尿が作られ、膀胱にたまっていくことも確認されている。同様の方法ですい臓も再生することが出来、血糖値の変化から、すい臓もほぼ正常に働いているとみられる。今年度はさらに、サルのすい臓をブタの体内で再生させる研究に着手するという。
 これは異種動物の個体内で実質臓器〔肝臓やすい臓など内部が詰まっている臓器〕を産生しうることを示唆している。
 これは現在において、ES細胞研究の重要性を如実に示すと共に、iPS 細胞の分化誘導法の確立が、大きく研究を加速させることを示しているといえよう。

 網膜の再生医学:高橋政代 理研神戸研究所 網膜再生医療研究チームリーダー
 独立行政法人理化学研究所は、iPS細胞の分化誘導・移植の技術開発と技術支援の総合拠点である(拠点リーダー:笹井芳樹氏)。
 事業としては、ヒトES・iPS 細胞を用いた神経系・感覚器系・血液系細胞の高効率の分化誘導。特に、網膜細胞(色素上皮細胞など)は ヒトiPS 細胞の利用を念頭に前臨床研究を、中型レベルの動物で強力に推進し、加齢黄斑変性症や網膜色素変性症の治療に臨床応用可能な技術的確立を行うとしている。
 またつくばの理研・バイオリソース〔生物資源〕センターでは製薬企業を含め国内の研究機関への iPS 細胞の分配を行うことになっている。
 移植治療技術の開発としては上に特記されているように網膜再生医療研究チーム(高橋政代リーダー)により、初期目標として、動物(マウスなど)およびヒトES細胞から効率よく網膜色素上皮細胞を分化・分離する技術の開発。網膜上皮細胞から細胞シートの加工技術を確立すること。動物のiPS 細胞から網膜色素上皮細胞および視細胞への分化誘導を最適化することが挙げられている。
 さらに5年間の展望として、色素上皮移植では、ヒト応用を強く意識した加齢黄斑変性治療の前臨床研究を行い、臨床試験を目指した集学的な技術開発および体制作りを行うこと。また、より難度の高い視細胞移植では、中型動物モデルでの有効移植法の確立と実証を目指すとしている。

  脊髄の再生医学:岡野栄之 慶応大学教授
 慶大は「再生医療実現化を目指したiPS 細胞・ES細胞・体性幹細胞研究拠点」となっている(研究代表者は岡野教授)。
 拠点としての目標は――
iPS 細胞・ES・体性幹細胞の基本的理解:自己複製、分化、エピジェネティック 〔細胞の初期化〕な制御機構や培養技術への基本的理解。
これらの細胞による霊長類モデルを含めた前臨床研究の推進:標的疾患は中枢神経系・造血系・心血管系・感覚器系疾患。
HLAタイプ〔白血球の型〕のヒトiPS 細胞樹立(目標:200株)とセルプロセシング〔細胞調製〕
ヒトiPS 細胞の研究基盤を強固なものにする。
市民公開講座の開催:最低年1回、国民の再生医療の理解の増進に寄与する。

 これらの中で岡野教授は、iPS 細胞・ES・体性幹細胞由来の神経前駆細胞を用いた脊髄損傷に対する細胞治療の確立すること、霊長類脊髄損傷モデルや幹細胞培養・分化技術を駆使して脊髄再生研究を進めることを目標にしている。
 すでに岡野教授らは昨年、京大の山中教授らとの共同研究で、iPS 細胞から作った神経幹細胞を脊損のマウスの患部に移植する実験でマヒレベルを一定程度低下させた結果を報告している。今後、サルレベルでの安全性と効果測定の研究を開始するものと思われる。

 その他の分担研究者としては、須田年生教授が造血系の、福田恵一教授が心血管系の、坪田一男教授が角膜・涙腺など感覚器系のヒト幹細胞技術開発を掲げている。また松崎有希准教授が新たな iPS 細胞株の樹立と供給、大阪医療センターの金村米博医師が臍帯血由来間葉系幹細胞や iPS 細胞株の供給を担っていく。

 シンポジウム司会:高橋真理子 朝日新聞科学エディター
 10月5日のシンポジウム「患者に語る:iPS 細胞」の司会を、朝日新聞科学医療部の高橋真理子さんにお願いした。今年度の朝日賞は山中伸弥京大教授らが受傷されたが、有楽町マリオンで3月に開催されたその記念講演会の司会を担当され、日本科学ジャーナリスト会議の国際担当理事をも務められている。
 また第1回目のWalk Again 2005では、司会をしていただいた。
シンポジウム参加者で質問事項のある方は50字以内で9月25日までにメールまたはFAXで基金事務局までお送り下さい〔9月中旬送付の案内状に用紙を同封予定〕。これら論点を整理して討論に活かしたいと思います。
シンポジウム終了から数ヵ月後に講演記録(要旨)の刊行を予定しています。開催支援募金にご協力いただいた方々を始め、希望者に無償配布します。〔次号でお知らせします〕。



〔ICCP〕
脊髄損傷の細胞療法に関する声明
James Guest MD, PhD
〔マイアミ・プロジェクト/フロリダ大学〕

  各国の脊髄損傷ファンドからなるICCP〔脊損治療のための国際キャンペーン〕の本年6月の電話会議のさい、マイアミ・プロジェクトの J. Guest准教授〔脳外科医〕が「脊髄損傷者への細胞移植とそれら治療に対する倫理的考え方」を表明した。この表明文は、ICCPを組織している主な国際的研究者に代わり、米国の代表的な医学専門誌であるNew England Journal of Medicine に提出される。
 ICCPの参加団体によって承認を受けているこの提言のドラフトを下記 に紹介する。〔訳:村上 智章〕

  近年、脊髄損傷者が実験的な治療を自主的に受けることが可能になってきている。これらの多くは、幹細胞やその他の細胞、または人体組織を移植する治療である。このような治療法は、まるで有効であり、回復に導くかのように広告されているが、そのような効果が得られるという証拠はないに等しい。 一般的にこのような治療法は、多くの先進国で見られるような消費者保護に関する政府の規制が、包括的かつ有効に行われていない国々に多く見られる。

 このような傾向は、いくつかの理由により注意しなければならない。脊髄損傷者の多くが、また深刻な難病患者と同様に、回復を約束する治療法にとても敏感に反応してしまい、価格の高さや隠れたリスクに対し無知であっても、これら治療法を受けてしまう傾向にある。患者の回復に対する希望を餌食にし、そこから利益を得ようとすることは、倫理的に許されることではない。私たちはこのように、臨床試験によって安全性と有効性の有無が確認されていない実験的な治療法を用い、患者から利益を得ようとすることは、倫理的に許されないと考える。

 多くの場合、これら治療法を行っている提供者は、自らが直接関わっていない研究結果に言及し、うわべだけの信頼性を提示している。 ほとんどの場合、これらの新しい治療法は、安全性と効果を示す批判的科学的データに欠けており、患者とその家族の証言に一方的に頼る形をとっている。 患者やその家族より得られた証言及びエピソードは、医学的証拠の代わりにはなり得ない。 第一に、プラシーボ効果の影響が非常に大きい。特に神経疾患には、感覚機能、痙性、運動機能の残存が多く見られ、日常的な変化を伴うため正確なデータを導きだすのは容易ではない。ある治療法が有益か否かを計る唯一信頼性のある判断法は、適切に設計された臨床試験をプラシーボ効果の考慮された対象群を相手に行うことである。現在、治療法を提供している多くの個人や団体は、正確な方法で臨床試験を行っておらず、盲検式臨床試験すら行っていない。第二に、治療法の提供者、利得者は、これらの有効性と安全性の評価を自ら行うべきではない。そこには明らかな利害相反があるためである。

 ほとんどの場合、細胞移植を伴う治療法には安全性に関するリスクが伴う。これは、手術や移植療法には一般的な問題である。 このリスクは、脊髄損傷者であったり、現在有益な治療法によって改善を得られない患者にとっては、より大きなものとなるのである。 よって、広く認知されていない治療法を脊髄損傷者に提供する個人や団体には、無償で長期にわたる臨床上のフォローが行われなければならず、リスクと効果の評価を正確に判断する責任を負うことが必須である。高度に実験的であり、高いリスクを伴う治療法は、末期患者に応用される場合のほうが容易に正当化される傾向があるが、脊髄損傷者がこれら治療法を行う上で認識しなければならないことは、脊髄損傷者が標準の医療ケアを受けた場合、脊髄損傷者でない場合と変わらない寿命を全うできるという事実である。

 適切な臨床試験を行っていない治療法に関わることで生まれるリスクや損失は、その治療を受けた一個人だけに留まるものではない。このような一個人の行動が、脊髄損傷者を救う可能性とそれを追究する明確な目標を持つ科学的研究をも蝕むことになるのである。第一に、先に挙げた一個人の行動により、その個人が将来参加することができた、科学的に立証された臨床試験から除外されることに繋がる。第二に、脊髄損傷者に対する、無責任な治療法や不適切な幹細胞の利用結果により、未来の幹細胞治療の技術の発展への期待が蝕まれることとなる。 第三に、利益追従型の不適切な臨床試験に参加された患者が多くいるため、適切な臨床試験を行う際に必要な数の治験参加者を得られないという状況が考えられる。 上記の理由により、利益追従型の臨床試験が行われること、またそれに参加していくことは、社会と脊髄損傷者全体に対しリスクと損失を与えるものなのである。

 私たちは、細胞治療が将来において機能の改善を見せ、リスクを減少させ、患者の生活の質を改善する可能性を否定する訳ではない。しかし、適切な臨床試験を元にそれら改善の証拠を提示する義務と責任は提供者にあることを強調する。安全性、有効性を証明することのできない治療法を提供することは倫理的に重大な問題を孕んでいる。また、そのような治療に参加することにも強く反対する。 残念ながら、ベンチャー企業に関して言えば、その背景を考慮すると、上記のように適切であり、有効であり、正確であり、有用な医学的証拠を提示することを期待出来ないのが現状である。

 脊髄損傷者に治療法を提供する“個人や団体に対してすべき質問”に関する情報は、ICCP編著の『脊髄損傷の実験的治療』〔2007年、日本せきずい基金刊/無償頒布中〕を参照のこと。■



〔予後予測〕
C5のアウトカム
――頚髄C5損傷者のために――

 米国退役軍人マヒ者協会(PVA:Paralyzed Veterans of America)では、PVAを含む米国の17の専門学協会と「脊髄損傷コンソーシアム」を組織し、脊髄損傷の標準的治療法に関する当事者向けガイドブックを刊行している。その中の障害レベル別「脊髄損傷のアウトカム」の要約を前号に引き続き掲載していく。〔事務局〕

 厳しい完全損傷は一部またはすべての運動・感覚神経を喪失するかどうかを決定する。このガイドはC5以下の完全対マヒ者を対象としている。
 頚髄(頚)損傷はふつう四肢マヒとなる。C5の完全損傷者は体幹や両足を動かす能力がない。彼らは両腕を動かすことに限られ、肩を動かすことやひじを曲げることができるだろう。C5損傷した人は持久力の低下を経験するだろうし、深呼吸することが困難で、咳をするのに援助を必要とするかもしれない。

 C5損傷後にも働く主要な筋群の位置は図1に示される。それらは以下を含むだろう。

図1 C5の感覚域の図解(グレー部分がマヒ域)
 三角筋(腕を挙げる)、二頭筋(肘を曲げる)、上腕筋(肘を曲げる)、 腕橈骨筋(肘を曲げる)
予後に影響する他の要因は――受傷前の健康、現在の健康状態全般と体格、年齢、関連する損傷、家族や友人の支援ネットワーク、経済状態、自宅や職場の環境(アクセスビリティ、受け止め方)、医療・リハビリサービスへのアクセスや可能性、地域活動への参加。

 C5損傷後の活動のアウトカムの予測は?
 表1〔次頁〕は、呼吸、食事、移動などに関するアクティビティのリストである。C5損傷の多くの人々が、受傷1年後に合理的に予測できるそれぞれの活動を紹介したものである。「合理的な期待」が意味するものを理解することは重要である。表1は平均値である。現実の世界では、同じ損傷レベルでも人によってアウトカムは違う。あなたの医療チームは、アウトカムが人によって異なるのであなたに適したゴール設定を援助することが出来る。

 重要 表1はC5完全損傷の予想できるアウトカムの一般的ガイドである。
それはゴールを保証するものではなく、取り組む目標である!
 リストされたアクティビティは、C5の脊損にあるものは適切でなく、あるも
のは達成可能である。
 あなたのアウトカムは表1の(1年後という)時間枠に合わないかもしれな
いし、リストにあるゴールを超えるかもしれない。
 ここにリストされた予測できるアウトカムは研究や臨床実践に基づくもの
ではあるが、他の脊髄損傷の人に基づくもので、あなたの場合ではない。

 表1のアウトカムは専門的活動援助の必要性のタームを記したものである。表では介助を3つのカテゴリー:自立、一部介助、全介助に分けている。

 食事、移動、コミュニケーションを含むアクティビティで、表の1つ以上のカテゴリーをマークする。それは普通、C5損傷のあなたの手や首を動かし、自呼吸をし、肩を動かし、肘を曲げることで可能になる。
 しかし、アウトカムは人によって異なる。そしてあなたは両腕に等しい力と感覚を持つことが出来るか、出来ないかもしれない。
あなたはたぶん電動車いすを使うだろう。しかし短い距離であれば手動車いすを押すことができるかもしれない。自分が車いすを使うとき以外は、多くのアクティビティに介助を要するだろう。あなたまた、腕の強さを高めるために手の添え木(ハンドスプリント)や機器の一部の補助を必要とするだろう。 
 アクティビティを確実にするために必要なあなたの望む専用機器もまたリストされている。リハビリチームは異なった助言をするかもしれない。アウトカムのように、機器へのニーズは時と共に変化するだろう。

 身体ケアと家事を含む入手可能なパーソナルケアは、毎日16時間が必要だろう。
 C5損傷に関して、あなたのケアに必要な介助ニーズのすべてを説明することがあなたはできるだろう。
しかしあなたは、安全のために必要な事項と基本的ケアを満たすために、個人ケア活動の大部分を実行するための援助を必要とするだろう。あなたと医療チームが、確実によい方向に行くように時々機器をチェックすることが望ましい。歳月とともに機器を切り替えることが必要だろう。変化するニーズにあわせ、リハビリスタッフは新しいデザインや製品に更新することができる。家や仕事場の改善は、できることを広げるために必要だろう。

 安全性とアクセシビリティには特に考慮すべきである。
 リハビリスタッフに、自宅や職場環境の評価のためのアクセシビリティを専攻するセラピストの紹介を求めなさい。アクティビティは時とともに変えることができる。それらは向上しレッスンすることができる。あなたの医療チームと接触を保ち、自分が一般的にどのようにできるかの論評を得るようにしなさい。

 機能の変化と向上が一挙には生じないことを知ることは重要である。リハビリテーションは生涯にわたるプロセスである。リハビリ施設を去るときは終了を意味するものではない。脊髄損傷後の自分の生活の主人公になるために、あなたには勇気と、コミットメントすること、そしてチャレンジ精神が求められるだろう。

 脊髄損傷というもので、生活の満足度を減少させる必要はない。生活満足度とは、“私が選択した基準に即して私の人生はうまくいっているか”という問いに対するあなたの答である。あなたの同意する生活満足度は、脊髄損傷のタイプや障害レベルに強く関係するものではない。

 個人的満足度は、コミュニティの他者とのつながり方により多く関連する。そのため、学生、従業員、ボランティアと友情を築いたりパートナーとなる能力が大変重要である。高位の頚髄損傷の人々には、身の回りの世話をマネージすること、コミュニティに出て行くこと、時間を生産的に使う努力が必要である。
 時々、社会参加のアウトカム(地域での社会生活)をちょっと再検討することは、想像力を広げることを助け、ものごとを改善する方法を考えることができる。

 もっと身体的制限のある脊髄損傷者さえ、有意義な活動は可能である。リハビリの期間に、脊髄損傷の専門家になる必要性を学んだあなたは、家族、友人、パートナー、専従介助者を教育することが出来る。さらに教育について言えば、あなたのニーズを強く主張するうえで重要である。時にはこれは困難であるが、あなたのコミュニティに意味ある貢献をし、あなたが望む重要なことを勝ち取ることで満ち足りた人生を開発することに成功しようともし考えるなら、それは重要である。■

表1 アウトカムの予測:C5完全マヒ
〔アクティビティ〕 〔介助レベル〕 〔機 器〕 〔個人のゴール/記入欄〕
呼吸 自立 多くが排痰にいくらかの介助が必要 .
食事 自立~全介助 ―つまみ用の長い添え木/opponent
―必要な適応機器
.
排泄機能:
―排便ケア
―排尿ケア

全介助
全介助
―パッド付シャワー/移動式いす
 またはくりぬいたいすとパッドされた浴槽のベンチ
―適応機器が必要だろう(電気収尿式の脚バック)
.
身体介助:
―着衣

―整容

―入浴

全介助
一部介助
一部/全介助

全介助
着衣:
―下肢
―上肢
身繕い/着衣
―つまみ用の長い添え木/opponent、―必要な適応機器
入浴:
―パッドされた浴槽移乗ベンチかシャワー/移動いす
―ハンドシャワー
.
体位変換/除圧 自立


一部/全介助
車いす:
―電動リクライニングそしてあるいは顎コントロール
―除圧クッション、―姿勢保持装置
ベッド:
―特別ベッドか除圧マットレス(たぶん必要だろう)
―ハンドスプリント(手の添え木)
.
移動:
―ベッド

―移乗
―車いす使用


―立位
―交通手段
一部介助


全介助
自立
自立~全介助

全介助
全介助
一部介助
ベッド
―全身を動かすことを患者が出来、サイドレールの
 ついた全自動の病院ベッド
―トランスファーボード、―電動または機械式リフト
―電動:手で操作する電動リクライニングか傾斜式
―手動:軽量の固定又は折りたたみ式でハンドリム付き
(自立の範囲により介助)
立位: ―水圧式立位フレーム
交通手段: ―介助者運転のバン(リフト、固定など)
―アクセス可能な公共交通
.
コミュニケーション 自立/一部介助 セットアップの援助後:
―つまみ用の長い添え木/opponent
―ページめくり・筆記・ボタンとめの補助具
.
家事 全介助 . .



〔ドリームキャッチャー〕
スマイル アゲイン
石田 一恵

 2005年9月、交通事故で胸椎4番5番を損傷、脊髄損傷になりました。下半身マヒの後遺症が残り、リハビリ病院や更生施設で社会復帰できるようにリハビリをしました。どうにか車いすで生活できるようになり、2年間の休職を経て2007年10月、教師として復職しました。川崎市では初めての車いす教諭です。

 去年の10月に復職したとき、車いすでも動きやすいようにバリフリーの学校に異動になりました。車通勤なので、車いす使用者用の駐車スペースを敷地内に設けてもらいました。勤務しやすい環境を整えてもらい、それでも不便な点は周りの人が手伝ってくれるので、特に問題はありません。
 今、小学校4年生算数の少人数指導を担当していて、1クラスを2つにわけて担任の先生と私で指導しています。毎日5-6校時ほとんど授業があります。

 復職してしばらくは、今までのように動けないことがショックでした。今までの視点とは異なり、目線が子どもと同じもしくは低い。できない事がたくさんあり、誰かに毎回お願いしなければならない。階段を忙しく上り下りして教えていた昔が、とても遠くに感じました。
 しかし勤務に慣れてくると、特に問題はありませんでした。黒板に大きな紙を張る時や窓の開閉など手が届かない時は、子どもが喜んでお手伝いしてくれるのでとても助かっています。些細なことでも、助けてもらうとこんなに嬉しい気持ちになるものなんだと実感しました。仕事でできないときはできないとはっきり伝え、できる限りの範囲でやらせてもらっています。

 復職してすぐは体力がなく、授業をやるだけで精一杯でした。どんなに気をつけていてもすぐ体調が悪くなってしまい、脊損の体調管理の難しさを痛感しました。今までのようには動かない体。やりたいことはたくさんあるけれど、体がついてこない。とても歯がゆくて、気持ちが焦りました。しかし、無理して体調を崩してしまっては迷惑をかけるだけ。初めの半年間は試用期間でもあったので、今勤務ができなくなると私も後に続く障害者雇用の道も断たれてしまう。絶対にそれだけは避けなければならない。体調管理を第一にして、今の私にできることをできるだけやる。そう決めました。
 先生方にも色々と協力や援助していただき、なんとか勤務を続けることができました。

 昨年度4年生の総合の学習でゲストティーチャーとして話をした事もあります。車いすだとどんなところが不便なのか、誰かの助けがあればその不便さを解決できる、という「心のバリアフリー」の授業をしました。
 子どもたちは素直で、わからないと思ったことはどんどん質問をしてきました。「なんで車いすに乗っているんですか?」「どうやって電車やバスに乗っているんですか?」など、とても興味関心を持ってくれていました。
 それにひとつずつ答えていくと、子どもたちは「あ、自分たちにできることがあるんだ。」と気づいていきました。特に「どうやって手伝えばいいんですか?」という質問は、みんな手助けをしたいけれど、どうすればいいのか分からないから声がかけられない、と多数意見がありました。
 私は「人によって助けてほしいことが違うから、まずは「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」と勇気をもって声をかけましょう。たとえ助けが必要でなくても、声をかけてくれたことが、とてもうれしいことです。」と話をしました。
 その授業以降「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてもらう回数がぐんと増えました。子どもたちは人の役に立つことはいいことだと思い、自然に手助けをしてくれるようになりました。授業はきちんと一人の教師として行い、できないところは子どもに助けてもらう。お互いに助け合い、いい信頼関係ができたと思います。
 子どもの頃から、日常生活で車いすの人や障害者の人を当たり前に目にしている・関わりがあることは、とても大きな意味をもつと私は考えます。経験がないと、障害者の視点はわからないことだと思うからです。そして、私が車いすでも一生懸命働くことで「みんなと同じなんだ。」「先生は車いすでも頑張っているんだ。」「お手伝いすると喜んでくれるんだ。」――そう子どもたちが思い、心のどこかで気付かないうちに大切な何かが芽生えていたら、とてもうれしいです。
 自分にしかできない「大切な何か」を伝えることができる。いつも周囲にお世話になってばかりですが、この授業で自分の存在価値みたいなものを実感することができました。

 今、目標にしていることがあります。事故前に半年担任したクラスの子どもたちが卒業するまでに、自分の力で自分の足で子どもたちの前に立ってスピーチすることです。そのために民間のトレーニング施設に通って立つ練習をしています。離れてもずっと応援して支えてくれている子どもたち。もう一度「ありがとう」と笑顔で感謝したいです。■



〔カタロニア紀行〕
バルセロナ~ 政府に働きかける障害者たち
山岡 瑞子

 本年度のUEFA欧州選手権2008の優勝国スペインの第2の都市・バルセロナは人口約160万人(東京23区:852万人)、バルセロナ都市圏全体では約300万人(東京都:約1268万人)を有する。街には建築家ガウディの残したグエル邸、グエル公園、未完成のサグラダ・ファミリア教会などの有名な建築物が残る。
 バルセロナに住む障害者の自主的取り組みについて、現地の車イスユーザーにお話を伺った。

 パーソナル・アシスト制度をつくるために
 脊髄損傷を15年前に負ったドイツ語通訳のスペイン人、マチさんは、とても小柄で知的な女性だ。彼女は自身の障害のことを、「車いすに座っていることで病気にはならないけど、誰でも仕事で病気になってしまうことはある。」と捉えている。


マチさん(写真上、右端)とメンバー達

 彼女たちのグループが現在、政府に訴えかけている問題がある。バルセロナではパーソナルアシスト制度が現在までに確立されておらず、現在マチさんのグループの9人の障害者に、2006年11月から2008年12月まで試用期間中である。症状や自立度は人により違うので、利用時間に個人差があるが、マチさんの場合は毎日12時間、違うアシスタントが付く。1ヶ月約5000ユーロ(約83万円)、試用期間中は全額政府持ちだが、負担が重すぎる、と、政府は利用者にその内1200ユーロ(約19万円) 自己負担してもらいたがっている。これが始まる以前は、自立困難な障害者は施設に入るという選択肢しかなかったようだ。彼女たちには日本の福祉医療は進んでいるというイメージがあったようだ。しかし、一般的な重度障害者への政府の取り組みは、自立支援法や社保庁の年金のずさんな管理なども含め、家族がどうにかしないと生活が難しい点では日本とは大差ないであろう。 
 現在、彼らが政府に交渉中なのは、①パーソナルアシスト制度の法律を作って欲しい、②障害者が使うアパートの扉をモーターで開くようにするための助成金を付けて欲しい、③収入の少ない障害者には、アパートの値段を下げるようにして欲しい、の3点だ。バルセロナの障害者は、月約5万円弱の補助金を国から得ている。普通、アパート借りると600ユーロ(約9万5千円)はかかる。賃貸なら定住することは出来ず、5年単位で新しい場所に移らなくてはならないそうだ。


(左上) 専用車いすで海へ
(左下) 下肢不自由者のための公共シャワー
(右下) 専用車いす上で体を洗う
 他の政府の補助としてバルセロナ在住の障害者は、バスと同じ€1.30(約200円)で車いす対応型タクシーを利用可能だが、7月中に中止されるかもしれないため
 それについても交渉中なのだそうだ。そういった問題に理解と共感を得るために、休日でにぎわうシウタデリャ公園に集まり、「施設に戻りたくない」「パーソナルアシスト制度に理解を!」と、一般の人々に向けて、パフォーマンスでアピールしていた。(写真右上)

 アダプティドビーチを!
 そういった、障害者たちが自らが政府に働きかけ、実現したもう一つの例がある。ミケルさん(59)とマイテさん(58)は共に幼少期にポリオになり、現在25歳になる息子さんがいるご夫婦だ。ご夫婦が政府にアダプティドビーチの建設を働きかけたのはバルセロナオリンピックが開催された、1992年のことだった。その活動は96年まで継続され、97年にはビーチに木片を並べ、車いすでもアプローチ出来る、海までの道を造った。現在は車いす用のシャワーと共に、海まで入れるスロープが常設され、海専用の車いすに移乗し、そのまま海に入れるようになっている。このサービスは6月には週末のみ、7、8月は毎日、9月まで行われている。一般市民からも「バルセロナにとって良いことだ」と理解と共感を得られたそうだ。

 公共の乗り物事情 
 バルセロナの公共の乗り物事情は、バスとタクシーは格別に車いすユーザーに優しい。アダプティド(車いす対応)・タクシーは、大きさは軽のワゴンタイプ車位で、そのトランク部分に、薄くて強度のある鉄板が左右に普段はしまってある。乗客の荷物の多い時は普通のトランクとして、車いすの人が乗る時は鉄板を前に出し、スロープにし、乗り込ませるとベルトを交差させ、がっちり留められる。バスは、乗りたい路線バスが来た時に運転手に合図をし、電動ランプ(スロープ)が下りて来る。乗客は協力的で、手間取っていると手伝ってくれることが多い。車内がどんなに混んでいても、車いす用の所定位置を空けてくれる。


サグラダ・ファミリア教会
 逆に、地下鉄事情はちょっと厳しい。バルセロナには地下鉄が6路線運行されており、サグラダ・ファミリア教会などの停車駅を持つL2ラインだけは全駅対応されているが、他はリフトがあったりなかったり、ホームとの段差が激しかったりと問題が多い。一度、うっかり段差を忘れて下車しようとして、電車からプラット・ホームに落ちてしまった。後ろにいた家族が近寄るよる間もなく5、6人の乗客が飛んで来て、私を車いすに戻し、その間、別の乗客がドアを押さえていて、パッと何事もなかったように車内に戻って行った。その、一般の乗客たちの親切さに感激した。

観光で訪れたグエル邸で偶然居合わせたISCOS
〔国際脊髄学会〕理事長のWagih El Masri 氏と
 道に迷い地図を広げていると、スペイン語が理解できないとわかっていても通行人が寄ってきて現在地を探してくれ、笑顔で去 って行く。バスを下りる時にも、車いす専用のブザーが壊れていて、下りたかったポイントを通り過ぎ、ドアの前で困っていると、乗客たちが運転手に向って「車いすの子、ちゃんとブザー押してたよ!」「どうにかしてやりなさいよ!」と言 って助けてくれた。大変な思いをする地下鉄にわざわざ乗らないでも、バスでどこへでも出られるので便利だ。
 学生の女の子がバスでお年寄りに「席譲りまし ょうか?」と気を使ってるやりとりを目にし、弱い者がいれば助け合う、素朴で健康的な社会を感じた。(当時は秋葉原通り魔事件が発生して、現地でもトップニュース扱いだった。)

世界中からの観光客でにぎわう街角。土曜日はお祭り騒ぎだが、色々なお店が休業になる
日曜日は静か。大道芸やオペラ同好会(?)のおじ様達の歌声が響き渡る。

 総てはオリンピックから
 マチさんは、海岸線に建設されている旧オリンピック選手村のアパートに住んでいる。アダプティドビーチがあるだけあって、車いすで出歩いている障害者が多い。そこは一般の人々でにぎわう商業施設にもなっているのだが、車いす中年女性5、6人が談笑し合いながら海岸を歩き回っていた。おおらかでとても自然だ。こうした障害者にとっての住みやすさを意識した環境造りが始まったのは、1992年のバルセロナ・オリンピックからであり、それ以前と比べると目を見張る変化だったそうだ。

 バルセロナ市街の外れに、東京の晴海のような展示会場のFira Barcelonaがある。そこで折から「Avante」という障害者関連の商品展示会と脊髄損傷シンポジウムが開かれていた。



◆ シンポジウム(2008年6月5日)
脊髄損傷:再生とリハビリテーション

 □ 開催趣旨:
 「脊髄損傷は身体的、個人的、社会的に深刻な結果をもたらしている。基礎研究や臨床研究を通して、障害に悩む人々に治癒と障害の軽減をもたらすために最良の戦略を探求することは専門家チームのいまだにもっとも大きな挑戦である。
 その治癒のために真に効果的な治療法の不在は、EU域内でおよそ25万人の人々が障害者としておかれ、さらに毎年1万人が新たに受傷しており、脊髄損傷を健康の問題、そして科学的基本方針の第一の課題としなければならない。」
 このシンポジウムはバルセロナ自治大学(UAB)とGuttmann研究基金の共催で、脊髄損傷に関する最新の知識と、もっとも効果的なリハビリ法、将来の機能回復の革新的戦略を討論することを目的としている。

 □ プログラム: 
神経再生の基礎メカニズム
James Fawcett(ケンブリッジ大):軸索成長の誘導と可塑性
Cavier Navarro(バルセロナ自治大学):脊髄損傷へのグリア細胞移植
Joost Verhaagen(オランダ神経科学研究所):遺伝子療法による損傷した末梢・中枢神経系の修復の誘導
オープニング・カンファレンス
Wagih El Masri(ISCOS理事長):外傷性の脊髄損傷後の神経機能の自然回復
脊髄損傷における再生の新戦略 
Anita Buchli(チューリッヒ工科大):Nogo抑制作用は損傷脊髄の機能回復と再生を高めるEva Sykova(カール大、チェコ):脊髄損傷の機能向上のためのバイオマテリアル併用の幹細胞移植
Elena Cattaneo(ミラノ大):メカニスティクスタディと薬剤探索のための新たな幹細胞株
Michael Fehlings(トロント大):RiuzleからRhoへ――脊髄損傷後の細胞死を減少し神経の可塑性を高めるためのトランスレーショナル研究

 亜急性期・慢性期の脊髄損傷者へ培養などの操作を経ずに自己骨髄移植を20数名に実施したSykova先生からは原著論文をいただいた。亜急性期患者の有意な機能回復を示した症例もあるが、安全性については確認されたが、効果検証にはさらなる動物による前臨床試験が必要であるとまとめていた。
 iPS細胞に関して研究者の方々は、まだまだ将来的な問題という受け止め方であったように感じた。■



〔リハビリ工学の未来〕
舌で車いすを動かす

―舌ドライブ装置―

 米国・ジョージア工科大のゴーバンロー(M. Ghovanloo)准教授はリーブ財団らの助成金により、「舌ドライブ装置」を開発した。これは米粒ほどの磁石を移植・差し込み・生体接着により舌に取りつけ、コンピュータや電動車いすを操作するものだ(Reha. Engineering Jun.29,2008)。研究者は次のように言う。
 「手足は脊髄神経を介して脳が操作するのに対し、舌は脳神経に直接つながっているので、高位の脊髄損傷や神経筋疾患の影響を受けない」。「そのうえ舌運動は急速で正確であり、多大な思考や集中力、努力を必要としない」。
 「この技術は、重度障害者が活動的かつ生産的で、自立した豊かな暮らしに戻れるよう支援することで、支援技術の分野に革命を起こすかもしれない」

 舌に取り付けた磁気とレーサーの変化は、口の内側か、口腔内の歯列矯正装具に取り付けられる多数の磁場センサーでキャッチされ、出力信号はワイヤレスでユーザーの着衣や車いすの携帯パソコンに伝えることが出来る。この情報はパソコンの画面上のカーソル操作や車いすのジョイスティック機能を代替する。
 このシステムでは、たくさんの舌の動きを捉えることが可能で、ユーザーの別々の命令を表現することができ、呼気式の装置より優れている。
 これまでに6人の健常者で実験した。参加者はマウス操作、ポインタの上下、シングルクリックとダブルクリックの6つの指定の舌運動をそれぞれ繰り返した。
 現在の舌ドライブ装置の初心者ユーザーによるコンピュータ・アクセスの結果は、6つの個々の命令にほぼ100%の精度で、1秒の応答時間であった。情報転送率は毎分150ビットに相当し、それは大部分のブレーン・コンピュータ・インタフェース(BCI)のバンド幅より急速である。

 舌ドライブ装置による電動車いす駆動のテストは12人の健常者で行った。次のステップではアトランタの救急医療センターとの共同研究で、高度障害者においてシステムの有用性と許容性を評価する予定である。
 また舌ドライブ装置を多種多様なコミュニケーションツール(テキスト発生器、音声合成装置やリーダー機器など)に接続するソフトウエアの開発を始めた。
 さらに、バッテリーを充電する間に、ユーザーは食事を取るとか、眠る、対話をすることができるように待機モードに切り替えるなどの制御コマンドを加える予定である。〔http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-06/giot-tds062608.php参照、基金事務局にて要約〕



【東京】    呼吸療法講演会のお知らせ    【京都】
神経難病の
非侵襲呼吸ケア研究会
特別講演会
人工呼吸器など医療的ケアを
必要とする子ども(成人)と
家族への検討会
■日時:2008年10月4日(土)
      15:00~17:00(受付 14:30~)
■会場:弘済会館 4F菊・梅 03-5276-0333
     〒102-0083 東京都千代田区麹町5-1
■プログラム
  「ALSの包括的呼吸ケア
    ―NPPVと呼吸理学療法―」
    座長:小森 哲夫(埼玉医大神経内科)
    演者:中島  孝(新潟病院神経内科)
  「神経筋疾患の呼吸リハビリテーション」
    座長:中島  孝(新潟病院神経内科)
      :花山 耕三(東海大学リハビリ科学)
    演者:John R. Bach, M.D.《逐次通訳有り》
       (ニュージャージー医科歯科大学教授)
* 主催:神経難病の非侵襲的ケア研究会
* 参加費:1,000円(当日会場にて)
   定 員:100名(FAXで申込順)
■申込・問合せ
  フジ・レスピロニクス㈱(担当:丹保)
    電話:03-5209-8322
   ◎申込FAX送信先:03-5209-8370

〔申込要領〕
  (基金HPから申込書のダウンロード可能です)
  施設名/施設所在地/電話番号/FAX番号
  氏名(フリガナ):所属
  属性:医師・看護師・理学療法士・臨床工学士
     患者・患者家族・支援者・その他( )
  人工呼吸器など医療的ケアを必要とする
  子ども(成人)と家族への検討会






























■日時:2008年10月5日(日)
     13:00~16:00 
■会場:京都大学 百周年時計台記念館
     2F国際交流ホール(本部構内正門正面)
     〒606-8501 京都市左京区吉田本町 
■プログラム
  「神経筋疾患の呼吸リハビリテーション
   ―咳介助やNPPVの活用―」
   講師:John R. Bach, M.D.
      (ニュージャージー医科歯科大学教授)
   通訳:石川 悠加(八雲病院小児科医長)  

● ミニライブ 川野 静香  鹿児島 ~
   
生まれつき全盲というハンデを乗り越え
シンガー・ソングライターとして音楽活動。
鹿児島ロータリークラブで功績賞受賞、自分で
曲を作り、県内外でコンサートなども。
今年の3月、鍼灸師国家試験に合格、
4月から病院勤務、一時休止していた音楽活動
再開後初のライブ。

*主催 京都大学医学研究科 人間健康科学系専攻
      成育看護学 教授 鈴木 真知子
*無料(文科省科学研究費助成事業)
 参加申込不要・どなたでもご参加いただけます
□ 問合せ先
  京大医学研究科 人間健康科学専攻 鈴木真知子
  電 話:075-751-3933
  メール: msuzuki@hs.med.kyoto-u.ac.jp

 ★ 追記:
当日、国際交流館脇の空き地で大規模なイベントが開
催されることが分かりました(「モータースポーツ・ジャ
パン 2008イン お台場」。昨年は2日間で17万人参加)。
ゆりかもめはかなりの混雑になりそうですので、時間的
余裕を持ってご参加下さい。
また、臨海線「東京テレポート」駅の利用も検討下さい。



〔募金報告〕
シンポジウム「患者に語る:iPS細胞」
開催支援募金について

 これまでに多くの読者の方々から募金をいただきました。独立行政法人科学技技術振興機構からは100万円の助成が決定しました。このほか関係企業からの募金も見込まれ、開催に必要な最低限の資金を確保する見通しとなりました。多くの皆さんのご理解・ご協力に深く感謝申し上げます。 

 * 銀行振り込みの場合、銀行では募金者の住所を教えてくれないため、領収書(葉書)をお送りできません。領収書をご希望の方は事務局にお知らせいただくか、振込時にID番号〔会報の宛名脇に表記〕の数字をお名前の前に打ち込んでください。


社会人ラグビー部からの募金報告

 ■ 東芝ラグビー部から 2008年7月18日、東芝ラグビー部(府中市)より3名が事務局に来訪。キャプテンの広瀬さんよりファン感謝デーでのチャリティー募金(14万9000円)を事務局員がいただきました。  

 ■ 神戸製鋼ラグビー部から 2008年8月23日、神戸製鋼ラグビー部(コベルコスティーラーズ)より2007年度の会場募金(30万645円)を贈呈いただきました。神戸製鋼の皆様からは2002年度より連続7シーズン目。これまでの募金の総計は500万円を超えるものとなりました。

 * 変わらぬご支援をいただいております社会人ラグビー部の皆様、ファンの皆様に改めて深く感謝いたします。





私たちは、身体の不自由な方へ 介助・介護 を行います。
私たちは、障害者が地域で自立した生活を営んでいくため、またご家族の介護負
担を軽減するため、ホームヘルパーの派遣を行い、介護や家事などの日常生活の
サービスを提供しています。(居宅介護自立支援法事業)

 利用ご希望の方、話を聞いてみたい方ご連絡下さい。
 担当者がご説明にお伺いします。(都内及び近郊)
 NPO ピッケルニ
〒152-0031
東京都目黒区中根2-13-14 1F
Tel.03(3725)8836
Fax.03(3725)8837
E-mail:piekernie@kjd.biglobe.ne.jp

  居宅介護支援事業所番号
  居宅介護:1311000564
  介護保険:1371002336



Walk Again 2008 開催支援カンパの振込先は

▼ 振込先(口座名は「日本せきずい基金」)
  郵便振替 No.00140-2-63307
  銀行振込 みずほ銀行 多摩支店
  普通口座 No.1197435
  インターネット イーバンク銀行サンバ支店
  普通口座No.7001247 ニホンセキズイキキン

★ 同封の振替用紙は、カンパやこの機関紙購読料の支払
いを求めるものではありません。
資料頒布が不要な方は事務局までお知らせ下さい。


発行人 障害者団体定期刊行物協会
     東京都世田谷区砧6-26-21
編集人 特定非営利活動法人 日本せきずい基金・事務局

〒183-0034 東京都府中市住吉町4-17-16
TEL 042-366-5153  FAX 042-314-2753  
E-mail jscf@jscf.org
URL http://www.jscf.org/jscf/
この会報はせきずい基金のホームページからも
ダウンロードできます。      頒価 100円