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特定非営利活動法人   Japan Spinal Cord Foundation
日本せきずい基金ニュース
No. 22


        −【目次】
● 中国OEG移植に関する見解

● <声を形に> 頚損の生活と再生医療への期待

● 『新しいリハビリテーション』から

● 車いすの乗車姿勢について〔冨田昌夫〕

● 対マヒ者の立位・歩行再建〔才藤栄一〕

● 私の「歩くリハビリ」体験〔山岡瑞子〕

● 臨床研究のあり方を考える

● 『自己管理マニュアル』刊行事業

● イラン地震脊損者救援へ募金活動

● 平成15年度収支報告

● 読売医療フォーラム:脊髄損傷

● サントリー・ラグビー部より募金

● 基金の理事・運営委員候補者募集



中国でのOEG移植に関する見解

2004年6月15日


日本せきずい基金理事会

 現在、北京の首都医科大学の黄紅雲教授らによって実施されている慢性脊髄損傷者等への胎児嗅神経鞘グリア細胞(OEG)移植手術では以下の諸点が明らかになっていない。
@ 2001年秋から現在までに300数十人にOEG移植を実施したと言われているが、長期の治療成績が依然として明らかとなっていない。
A 脊髄に注入する細胞の安全性が確保されているか明らかではない。
B 移植手術後にニューロパシー痛(神経障害性異常疼痛)の広範な発生が報告されているが、どのような疼痛治療をしているか、またそれ以外の重篤な副作用がないのか。
 最低これらの内容を研究者自らによって明らかにされない限り、この治療法の妥当性を評価することはできない。これでは科学的な臨床研究とは言えず、現段階では患者に推奨すべき治療法と言うことはできない。


〔私たちが望むこと〕
@ 人を対象にした臨床研究である以上、OEG移植のプロトコル(臨床研究試験計画書)を公開すること〔ホームページあるいは審査システムをもつ国際専門誌において〕。
A 移植するOEG 細胞の免疫学的・遺伝学的安全性を明示すること。
B 移植手術後帰国した患者のリハビリを含む長期のフォローアップ体制の確立。

 以下に現在までに明らかになった状況と問題点をまとめた(なお〔〕内の日付は、米国のワイズ・ヤング教授の主宰する「Care Cure Community」への投稿日である)。

 治療成績について
 昨年10月のChinese Medical Journalの黄医師らの論文では171人の治療成績を報告している。これは年齢集団ごとに運動機能・感覚機能・痛覚についてASIA評価〔米国脊髄障害協会評価尺度〕がどのように変化したかをまとめたもので、その治療成績について日本の脊髄専門医は評価不能と述べている〔会報21号参照〕。
 ヤング博士は、「黄医師のデータは患者が在院している4−6週間の観察をベースにしており、今のところ10%の患者についてのみ長期のフォローアップをしている」と述べている〔2004-5-14〕。
 ヤング博士はラットへのOEG移植の結果から人間においてOEG 移植の効果が現れるのは移植後3、4ヶ月先と述べている。即ち、この黄論文はOEGそのものの効果を示すものではない、ということになる。
 移植直後に患者が感じるという末梢部位での感覚の相違や何か力がみなぎる様な感覚、というものも黄医師自身、OEG移植の結果ではなく、手術にともなう椎弓切除術や同時に注入していると思われる神経栄養因子などの作用である、としている。 
 昨年の3月と8月に胸髄損傷の息子を持つ米国女性が、北京でOEG移植した9人の患者(中国人と思われる)へインタビューを行った。その結果は、殆ど/全く効果がなし:2名、わずかに向上:4名、効果あり/満足:3名で、中には術後半年以上も脊髄ショック状況が継続している者もいたと報告している〔2003-11-7〕。主観性の強い報告であるにしても、これほどの差が何に起因するのかは不明である。
 300人以上に移植したという情報には疑問を呈する日本の専門家もいるが、本年5月で28人目という外国人患者の今後のデータ以外には、必要なフォローアップもないまま移植手術が行われてきたことになる。
 しかも、手術の方法、手順もあらかじめ明確に提示されているわけではない。
手術方法もこの1年で変化している〔2004-4-27〕。椎弓切除を行って大きく損傷部を切り開き、露出させた脊髄にOEGを移植する方法から、部分麻酔で脊椎の2ヶ所に鍵穴ほどの穴を開けて注入する方法になったという。また急性期の治療薬として用いられているステロイド剤(メチルプレドニゾロン)をOEG細胞と一緒に注入することも始められたと報告されているが、手術方法を変えた理由は明示されていない。米国の何人かのALS患者にも脳の2ヶ所と脊髄にOEG移植が行われているが、果たしてどのような前臨床試験を踏まえてALS患者への移植が行われたのかも不明である。このような臨床研究は世界的には考えられないもの、と言わざるをえない。
 なお中国でのOEG移植に関して、ヤング博士は本年5月に次のように要約している。
 「OEG移植は控えめな回復を作り出し、多くの場合、4−5レベルの感覚の回復と1−2レベルの部分的な運動機能の回復をもたらす。これは、受傷後16年から32年ほどたった完全ないし不全マヒの脊髄損傷者に生じるように見える。たぶんこの回復効果は脊髄徐圧術や脊髄係留解除術によるものではないように見える。私の見解では、手法はこの1年で、特にもし他の治療法と組み合わせることができれば、よりよいものとなるだろう。」〔2004-5-14〕

 患者の安全性・副作用に関して
 ヤング博士は、中国でのOEG手術の数ヶ月後に3人の患者が死亡したが手術との因果関係はないと思えると述べているが〔2004-4-27〕、死因は不明である。
 かなり明らかになってきたのは術後の異常疼痛である。2003年9月、黄医師のラトガーズ大学での講演では、術後数週間ないし数ヶ月、手術を受けた殆どの患者が損傷部以下にある程度のニューロパシー痛が生じることに言及している。いくつかの例では苦痛は極めて強く、ある患者が苦痛のために叫んでいたことに言及した。しかし、痛みは1、2ヶ月で消え去ると報告した〔2003-9-10〕。このニューロパシー痛には、通常の鎮痛剤やオピオイド〔モルヒネ〕も余り効かないことが知られている。
 黄医師がどのような疼痛治療をしているか明らかでないが、他の米国人患者が持参した鎮痛剤を使うよう指示されたという投稿や、術後に疼痛が増強し耐えがたくなった米国男性の投稿も何回か登場している〔2004-4-2〕。疼痛の発生は十分予測できる問題であるのに、その対処法が全く見えてこない。
 また長期の経過観察がなされてこなかったため、細胞注入による長期的な安全性を明らかにできない。異所性の骨化や腫瘍化の問題が完全に否定できるかどうか、のデータがない。
 手術に伴う副作用としては、ほかに脳脊髄液の漏出による頭痛が報告されている。これは硬膜の切開に伴うものだが、これが一過性の症状でなく「低髄液圧症候群」として慢性化する可能性も否定できず、フォローアップ体制がないため副作用の有無は不明である。

 また使用される細胞ソースの問題もある。「1人子政策」が取られている中国における新生児の男女比は男117対女100(2000年人口センサス)であり、女児の選択的中絶がかなり実施されているとみられる。公式データによれば中国全土の2000年の妊娠中絶数は149万件とされているが、北京・首都医科大学のLiju Wengは毎年1000万〜2000万件の中絶が行われていると述べている(2000年・アジア性科学学会シンポジウム)。
 都市部に広がる売春や、中絶が義務付けられているある種の先天性障害による胎児が用いられることがないのか。培養に用いる中絶胎児細胞の安全性はどのように確認されているのだろうか。遺伝性疾患、AIDS等のウイルス性疾患のチェックはどうなっているのか。
 培養についてはウシ胎児血清が用いられているが、日本ではBSE問題の影響で米国産のものを用いることが出来ないが、中国では現在どうなっているのか。
 日本では体内に入れる物質は最も厳しいGMP基準〔医薬品の製造設備基準〕のもとでの操作が求められているが、中国で移植細胞がどのような環境下で異物や雑菌の混入なく培養されているのかは不明である。
 中国は国家レベルでは近年急速に医薬品製造基準を国際レベルまで引上げようとしてきているが、条文ができただけでまだそれが現実のものとなっていないものが多いと言われる。これら医療におけるカントリーリスクを、中国で移植を受けようとする者が自ら回避することは不可能であろう。

 回復支援センターについて
 脊髄損傷(中国)国際回復支援センターの母体は瀋陽の中国国際移植支援ネットワークセンター(国際臓器移植支援センター)であった。瀋陽のセンターも日本人を対象に臓器移植の斡旋を行っている民間の中国法人というが、どちらもセンターのトップは日本人と見られるが実態は不明である。
 米国人患者は直接、黄医師と連絡を取り、手術の経費2万ドルは黄医師に小切手で手渡している。
 一方、日本人患者は回復支援センターが仲介し、費用は20万元(1元=14円で280万円)とされているが、予約時に50万円をまず回復支援センター代表の日本の銀行口座に振り込み(瀋陽の臓器移植支援センターの予約金も50万円)、手術前に残金を支払っているとされる。
 日本法人であれば、医療過誤や副作用などの問題で訴訟を起こされる危険性があるが、中国法人ではその危険性は遥かに小さく、何があっても実質上、訴訟は不可能であろう。
 しかし、移植患者を募集する以上、手術法や治療成績、予測される副作用など被験者の安全に関する十分な情報を提供する責任が回復支援センターにあることは言うまでもない。
 
 以上、中国でのOEG移植について、現在までに明らかになってきた様々な問題点を挙げてきた。
 どこの国で行われるものであれ、臨床研究は患者の安全性がまず第一に追求されなければならず、また科学的妥当性を持つものでなければならない。
 OEGそのものの神経再生の可能性については多くの動物実験で確認されてきており、人への臨床研究が世界的にも、また日本でも射程に入ってきている。
それだけに、中国のOEG移植にはより透明な世界標準の臨床研究手順が求められており、第三者評価可能なデータの提供がなされることを今後も中国側の研究者に求めていきたい。〔見解の全文はHPを参照〕
 《追記》 中国から帰国したある患者が入院した病院で、移植の約2ヶ月後に機能評価が行われた。診断した日本の脊髄専門医は、移植による機能の向上は見られなかったと述べている〔04年6月現在〕。


〔原稿募集〕
<声 を 形 に>
‖頚損の日常生活と再生医療への期待‖

 ◎ 香川県在住の檀浦さんから、重度の頚髄損傷の方20〜30人に、自分の日常生活と、いかに再生医療の実現を望んでいるのか、について書いていただいて冊子にしては、との提案がありました。目的は、行政や議会、審議会委員へ四肢マヒの現実を知ってもらい、再生医療への想いを理解してもらうことにあります。
 檀浦さん自身の例を掲載しますが、冊子作成にご協力いただける方は、この設問の様式で書いて、事務局まで送って下さい(A4で3枚/400字15枚以内)。

T 私のプロフィール
 住所 都道府県名のみ ( 香川県)
 性別 @男、2女
 年齢 事故当時(53)歳  現在(58)歳

U 首の損傷の状況
 事故の原因( 自転車で転倒 )
 部位と程度  頚髄の( 3と4)番、 (@完全麻痺 2不全麻痺)
    
V 私の日常生活 
 移動手段:室内(1車椅子で自走.A電動車椅子.3車椅子で介助必要.4寝たきり)
        外出(大型のリフト車、散歩は自走) 
 生活の場:@家族と同居  2.自立して生活  3.施設に入所 4.その他(   )
        主たる介護者 ( 妻  )
 介護の支援:公費でのヘルパー(月34時間)   私費でのヘルパー(月  時間)
        デイサービス(私費で週1回)   ショートステイ(月1回 2泊3日 )
        その他(           )
 医療の支援:訪問看護(週2回)
        訪問リハビリ(週2回) 往診(週1回) 通院(月 回)
        その他(          )

 * 毎日の過ごし方 (できれば曜日毎に朝起きて寝るまでの大体の流れ)
 月曜・水曜:看護師が来て着替えとストレッチ。午後ヘルパーと家内で入浴。 
 火曜:家内が摘便、ヘルパーが来て着替えと散歩や体操の手伝い。午後往診
 木曜:ヘルパーが着替え、散歩や体操の手伝い。午後訪問リハビリ。      
 土曜:家内が摘便、ヘルパーが着替えや散歩・体操の手伝い。午後訪問リハビリ。
 金曜:デイサービスに行き、日曜は誰も来ません。
・「11時から夜の9時頃まで起きていますが、その間にベッドでの昼寝と何回も15分
 づつ お尻の除圧のためベッドに向かってうつ伏せをします。」

 * 身体の動き (手足の動き、関節や筋肉の硬さ、痙性の強さ、痛みや痺れなど)
「右手は装具をつけると、かろうじて電動車椅子の運転、食事、パソコン、ページめく
りなどが出来ます。左手は肩が動くだけで脚は全く動きません。 
 筋肉は年毎に固くなりリハビリしないとすぐに動きが悪くなります。 痙性は温度差
に敏感で少しでも寒いと強くなり痛みはあまり感じません。」

 *身体の状況、病気、入院の経験、使っている薬など
「最近寒さのせいか胸の締め付けが首筋や後頭部まで来て、発声や食事、呼吸に
支障が出ています。それと足先のむくみがひどく血圧も200を超えることがあり、
心配で検査したら腎不全でした。食事と薬で様子みます。 また透明の便汁がよく出て
服を汚すので困っています。
 お尻の褥創で一度入院、それ以来2時間以上続けて座ると肛門付近が切れます。
風邪や熱を出すと治るのに2、3週間かかり体調が戻るのにまた1、2週間必要です。
薬は痙性止めに6錠、下剤3錠、眠剤を使っています。だんだん薬の種類と量が増え
ていきます。」

 * 仕事や生活の場がどのように変化したか、日課にしていること楽しみや趣味など
「家内が退職し食事、週2回の摘便、膀胱ロウの管理、入浴、ベッドへの移動や向き変
えなど全ての事を24時間やってくれているおかげで、何とか自宅での生活が出来てい
ます。
 自宅は車椅子で生活できるように廊下や部屋との段差解消、部屋の中、風呂場、
玄関、外回りなどの改造や、リフターの設置などしました。
 毎日ヘルパーさんや、看護師、PTの訪問を楽しみ、メールや、パソコンで文章を書い
たりしています。」

 * 本人や家族にとって、今一番心配なこと、やって欲しいこと 
(痛みや痺れ硬縮など身体への不安の解消、経済的なこと、老後のことなど)
「今は家内の献身的な介護のおかげで何とか自宅での生活が出来ていますが、もしも
私が施設に入れば体が固まり寝たっきりになるのは目に見えています。家内が病気に
なると今の生活は崩壊です。不安といえばすべてが不安です。」

 * 本人や家族の生きがい、将来の目標や夢など
「今は恵まれていますが、元気な内は何か家族や友人に喜んでもらえる日々を過ごし
たいと思っています。」

 W 脊髄再生医療の臨床研究に期待する思い、
 また日夜、脊髄再生医療の研究に尽力されている多くの医師や研究者への、お願い
があれば是非書いて下さい。

「私でも脊髄再生の可能性があるのでしょうか、もしあるのであればこれに過ぎる望は
ありません
 私の今の生活は医療支援や介護支援のおかげです。どうか国の財政のために福祉
予算や制度が削られたり削減されたりすることが無いことを切にお願いします。」



〔リハビリテーション再考〕

『新しいリハビリテーション』から

 愛知県にある国立長寿医療研究センター・老人ケア研究部長の大川弥生さんが「リハビリって何だろう」と考えさせる本を最近出版した〔講談社現代新書、04年2月〕。
 その肩書きにあるようにこの本は、主として脳卒中により片マヒになった方々に安易に車いすをあてがってしまうために、「歩行不能」となる高齢者が作り出されていることに警鐘を鳴らすものだ。
 しかしリハビリそのものについても斬新な見方を提供しており、そのトピックスを紹介してみたい。

 「ジャンヌ・ダルクのリハビリテーション?」
 これは、「あの聖少女もリハビリに励んでいた!」というものではない。宗教裁判で火あぶりにされた彼女が、その後の裁判で名誉回復したことを指す。
 つまり、リハビリテーションとは本来、不自由な体の機能回復訓練を意味するものでなく、人間としての「復権」を意味していたのだ。言い換えれば、機能回復訓練は人間的に生きるための多数の手段の1つに過ぎず、主要な手段でさえない、と大川さんは述べる。

 「訓練人生?」
 訓練さえ続けていればいつかは体が元通りになる、と患者が思い込み、いつまでも機能回復訓練だけを続けていることを言う。
 その背景には「訓練を続けないと、せっかくよくなった機能が低下してしまう。だから機能維持のためにリハビリが必要だ」という考え方がある。
 しかし、「リハビリは長く続けるほどよい」わけではない。専門的リハビリとは、必要なときに素早く集中的に対応し、短期的に効果をあげて終了し、必要なときにまた行うという、メリハリをつけたものである。

 「訓練室では歩けるのに・・・」
 訓練室では歩けるのに病棟では歩けなくなる、というある調査結果は興味深い。ある病院で転院時に訓練室で50m以上歩けた脳卒中患者が年間で48人いた。ところが病棟では同じ患者が、セラピストがついて居室からトイレまでの20mを危なげなく歩けたのは29人〔60%〕で、実用歩行できた人は誰もいなかった。
 これは、病棟は訓練室より複雑な空間であり、そこに適応できるリハビリが行われなかったことによる。
 訓練室で50m以上歩けたこの48人に、病棟での活動向上訓練を実施した結果、2週間で42人〔88%〕が居室からトイレへの訓練歩行ができた。
 また、1人もいなかった実用歩行が自立した人が31人〔65%〕にもなった。残り17人も3週間で全員が実用歩行となった。
 自宅に帰ると歩けなくなるということは、限られた環境でしかできない「環境限定型活動」の訓練が行われていたのであり、初めから自宅での生活を考えたリハビリプログラムが必要なことを指摘している。


 「短下肢装具をはずせない」
 病院では短下肢装具を腰掛けて着脱していた。腰掛けないと着脱できないため、ある人は外国旅行はできても友人のマンションを訪問できないでいた。
 そこで著者が屋外歩行できる片まひ患者を調べてみると、立った姿勢で装具を着脱できないために行動範囲を制限していた人が79人中47名(60%)もいた。
 外来のリハビリで練習して、立ったまま着脱できるようになったというが、和式トイレや箸の使用など、ささいなバリアが大きな行動制限につながっている。
 
 患者へのワンポイント・アドバイス

 「廃用症候群とは」
 「体を使わないことによって脳を含め全身のあらゆる器官の働きが低下すること」、それが廃用〔ハイヨウ〕症候群だ。これらは1つの症候だけでなく多数の症候が多かれ少なかれ同時に起こり、その回復には、質の高いリハビリが必要となる。
 《廃用症候群の症候》
@ 局所性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
関節拘縮
廃用性筋萎縮;筋力低下、筋持久性低下
廃用性骨萎縮 →高カルシウム尿、尿路結石
皮膚萎縮(短縮)
褥瘡(床づれ)
静脈血栓症 →肺塞栓(ハイソクセン)
A 全身性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
心肺機能低下:一回心拍出量減少、頻脈、肺活量減少、
          最大換気量減少
起立性低血圧
易疲労性(疲れやすい)
消化器機能低下:食欲不振、便秘
利尿・血液量減少(脱水)
B 精神・神経性・・・・・・・・・・・・・・・・・
知的活動低下
うつ傾向
自律神経不安定
姿勢・運動調節機能低下



〔リハビリテーション再考〕
車いすの乗車姿勢について



冨田 昌夫
(藤田保健衛生大学教授)

 これは2003年9月、在宅リハビリサポートの会・レッツが神奈川リハビリテーション病院で開催した研修会での講演要旨である。長年この病院でPTをしていた冨田先生は、身体の安定性だけを求めたことは失敗だった、と語る。車いすでの座位姿勢の問題から、リハビリの課題を語られた。

〔テープ起こし:有本仁美、構成:レッツ・武田〕


 座位姿勢の2つのポイント
 第一が「定位」である。定位とは、床とか地球の上に立っているとか、安定してある姿勢を取っていられることをいう。
 基礎的な定位とは、重力と支持面とのバランスを取ることであり、すべてのシステムの基礎となっている。「自己定位」とはすべての知覚システム(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・平衡感覚)を組み合わせて、対象と自分の「からだ」との相互関係が分かることである。
 対象との関係が分かるから感覚の統合ができる。ところが、障害を持つことで自己定位のゼロ点や感受性が崩れる。赤ちゃんは、支持面に転がり、すべての身体部分、すべての知覚システムを動員して環境への能動的な働きかけを行い続けることで、知覚システムの協調システムが発達する。
 障害者のリハビリでは、床上動作でこの過程を再現し、システム間の協調を再構築する。

 第二は「知覚過程の潜在性」である。我々は考えなくても、ある姿勢で立っていられる〔定位〕。環境が変わって坂道になっても、環境に合わせた姿勢調整のような形で筋の緊張を次々と変えているが、それは自分の意識にのぼってこない。姿勢を変えることも、無自覚、無意識のうちにやっている。
 患者はリハビリのときにものすごく慎重で、「怖い」「怖い」と言う。セラピスト〔PT〕と一緒に歩行動作するとき、患者は「怖い」と言い緊張がとても高まるが、セラピストには何が怖いのか分からない。
 患者は変化を恐れ、過度な緊張がますます体の動きを止めてしまい、過剰な安定を作り出してしまう。
 だからリハビリでは、患者の緊張を徹底して抑えていくアプローチをセラピストが取ることが必要である。余分な緊張をかけないということは、患者が動きにくい状態を作らないということである。その状態でセラピストが頑張って動かそうとすると、患者の緊張が非常に高まってしまう。逆に言えば、患者が頑張らなくても動ける状態とは、過剰な安定を作らないことである。

 自己定位の再構築を目指して
 車いすに座っていて、なぜ体が滑ってしまうのか
 姿勢の崩れをなぜ修正できないのか
 体幹はなぜ硬くなってしまうのか
 痙性はなぜ強くなってしまうのか・・・

 それは基礎的な定位、つまり重力と支持面とのバランスが不十分であり、支持面の変化にからだが応じ切れていないことによる。 
 また自己定位、対象と自分のからだの相互関係がよく分からず、支持面や周りのものに合わせてからだを真っ直ぐにできないことによる。今までパッドなど、物に頼って矯正したが効果は少なかった。
 車いすにお尻を前に滑らせるように座ったり、座っていると横を向いてしまう患者に共通することは、からだの硬さである。からだが硬くなるとその姿勢矯正が自分で出来ないため、姿勢がどんどん崩れていく。からだが伸展できない状態になり、いつも腕も肩も痛いと訴えている。

 患者に無理な力を出すことを要求することなく、ごくわずかな力で姿勢を矯正するにはどうすべきか。
 自分の身体関係を感じられる、位置の変化が感じられるような動かし方をしていくこと。
 最初は肩が痛くて前傾することすらできない患者に、重力に逆らわず力を抜いて落ちてくるような感覚をとらえてもらう。前傾姿勢を取るように力を抜いていく、どこに力が入っているかを分かってもらう。
 横座りになるなど、いろいろな姿勢を取る中で、触覚的に感じたり、運動として感じたり、固有感覚、さらに視覚からも感じていってほしい。自分でコントロールするからだになり、変化に気づいて自分で修正することが重要である。

 ま と め
  1. 「動く」ということには安定を崩すという要素が含まれる。姿勢が不安定になれないと動けない、もしくは動くのは困難である。
     我々は、重力があるので姿勢の安定性を求める傾向が強い。特に障害を持った時には、そのような傾向が強くなり、特有の姿勢を取るようになる。

  2. 今までの治療〔リハビリ〕は、過剰な安定を供給し、結果的にそこから動くための強い力をつけることをメインとするものだった。患者は〔リハビリ場面で〕筋の緊張が高まるから、情動を含め様々な問題を引き起こすということをセラピストは認識すべきである。

  3. これからの治療では、患者は力が出せなくても動けるように、過剰な安定を作らないという発想に切り替えたい。
     必要最低の力で筋を緩めながら使う工夫をして、筋の感受性を高めたい。そこに固定点を作らない、筋で制動しない、余分な回旋をしないなど、ある意味で余分な動きを排除することも検討してみたい。

〔文責:事務局〕



〔リハビリテーション再考〕
対マヒ者の立位・歩行再建



才藤 栄一
(藤田保健衛生大学教授)








 前掲と同じく2003年9月、神奈川リハビリテーション病院における講演要旨である。対マヒ者の移動の問題を車いすか杖かではなく、実用歩行に及ばないまでも立位・歩行訓練をより重視すべきではないかと、自ら開発した装具を含め述べられた(テープ起こし:有本仁美)。

 リハビリテーションとは
 リハビリは非常にユニークな医療である。患者の活動に注目する。焦点となるのは生死の問題でなく生活であり、植物機能でなく動物機能であり、恒常性でなく活動性だからである。多くの場合、障害が残ることが前提となる。残った障害をシステムとして解決する、個人が環境の中でどうやって生きていくかを考えるシステム論である。
 システム的解決には3つの方法論がある。
 第一が「活動‐機能‐構造」連関である。実際に障害があるところでも、活動することでその障害の構造を変えていく、ということ。第二が「治療的学習」であり、第三が今日のテーマでもある「工学」である。

 対マヒ者の歩行の意義
 杖を使わなければならないので自律的な二足歩行ではない。しかしそのメリットとしては、関節拘縮の予防、心肺機能の強化、立位の心理的な効果、移動手段の多様性がある。対マヒ歩行の意義を私は強調したい。
 股関節は大きな安定性を持っている関節だが、何年も車いすに座ってばかりいると、股関節の伸展に制限が出てくる。
 現在の対マヒ二足歩行の最大の制約は実用性が低いことである。今のところ平地では車いすに勝る移動手段はない。しかし、現在15歳の方は50年後には65歳。その時には再生医学もかなり先に行き、FES(機能的電気刺激)はほぼ完全に実用化されている。

 対マヒ歩行の道具
 現在手に入るものは、装具、FES、それに装具・FES・動力を組み合わせたハイブリッド・アシスティブ・システム(HAS)の3タイプがある。
  1.  装具:まず、からだを揺すると推進力がつくものや長下肢装具が開発されてきた。しかし手の負担が大きすぎるため、股関節をうまく使えるよう装具の改良が行われてきた。
     HGO(Hip guidance orthosis) は英国のもので、振り子の原理で踏み出す、鎧のように頑強な長下肢装具。
     RGO(Reciprocating gait orthoses:交互歩行装具)は多分世界で一番使われている対マヒ用の装具で、要は両側に長下肢装具があり骨盤帯の股関節部がケーブルでつながっている。体幹を振ると相対的に股関節が屈曲伸展することで反対側も動き歩行ができる。
     1992年にオーストラリアで開発されたのがウォークアバウト(Walkabout)である。これはコンパクトで立位安定性が抜群である。
     プライムウォーク(Primewalk)は、我々がウォークアバウトの問題点を改良して開発した装具である。
     装具の実用性を考えた場合、2つのポイントがある。機能因子では立位の安全性を優先し、現実因子では便利さが多くて邪魔さが少ないものが必要である。
     力源がなくても「少し傾いて杖で立っていると歩ける」というのがポイントである。実際の股関節と装具の重心の位置を合わせてしまうと立っているだけで動いてしまうため、60mmずらしたものを製品化した。

  2.  FES:脊髄損傷では、脊髄神経は生きているのに途中で脳からの信号がこなくなっている。その切れている部分をコンピュータでつなげて筋肉をコントロールしようというのが基本的な考え方である。
     米国のケースウエスタン大学の例では、完全対マヒの人が両脚に20個ずつの電極を埋め込み階段の上り下りをしている。日本では東北大学や秋田大学で研究を進めている。不全頚損の人で筋力増強にFESを増強し、その後は装具を組み合わせ歩行している方もいる。

  3.  ハイブリッド・アシスティブ・システム:装具はコントロールが楽だが力がない。FESはコントロールは難しいが力がある。この力を組み合わせるという発想である。我々もプライムウォークにスイッチを付けてT10損傷の方のモデルを作った。FESでは自分の筋肉が収縮するので血流がよくなり、自分で動いたという感じで、速度も1.25倍になった。
     最近は、モーターで股関節をコントロールしようというハイブリッドをやっているが、なかなか難しい。

 脊髄の歩行パターン発生器
 近年、ヒトにおいても脊髄レベルの中枢としてCPG(Central pattern generator)=運動パターン発生器が存在することが示唆されている。ネコでは昔から知られていたが、ヒトでもそこをうまく刺激してあげると足が勝手に動くことが分かってきた。
 ただ不思議なことに、立って歩く姿勢になると動かなくなり、自転車を漕ぐ姿勢だと動く。この脊髄の歩行パターンの中枢を刺激する方法としては、トレッドミルが適しているのではないかと考えられている。
 完全マヒの方では無理だが、不全マヒの場合はケースバイケースである。不全で全く歩けず動かなかった方を、最初はトレッドミルでだんだん足が出るようにして、今では片方だけ装具をつけて自分で歩いている方もいる。
 脊損者の立位・歩行願望は否定できない。実際に週に1回だけリハビリで立ちにくるという患者が結構いる。実用歩行まで行かなくても、立つと気持ちがよいということには凄く大きな意味がある。

〔文責:事務局〕



〔リハビリテーション再考〕
私の「歩くリハビリ」体験





山岡 瑞子
(東京都世田谷区在住)

トレッドミルを試す脊損者

 2004年5月7日、神奈川リハビリテーション病院で「レッツ」らの主催するリハビリ講習会が開催された。当日は5人の当事者から「日本と米国の病院で受けたリハビリ」の報告があった。そのお1人である山岡さんの「歩くリハビリ」への挑戦を、事務局で要約した。

 米国で交通事故に  ニューヨークの美術大学に留学していた私は、卒業2週間後の2002年6月1日、ブルックリンで交通事故に遭い、C8損傷となった。
 日本からかけつけた母親は医師から「頚髄は切れていないが損傷が激しく、可能性はゼロではないが、限りなくゼロに近い。両足と右手も無理で、左手だけで生きるリハビリをして下さい」と言われた。
 搬送先がいわゆる脊損センターではなく一般の救急病院であったためか、筋トレに終始するここでのリハビリへの満足度は高くない。
 リハビリは午前中がPT・OTが1時間ずつ、ランチをはさみ、午後さらにPTが1時間。寝返り、寝返りから長座位までが1ヶ月ほど、さらに長座位から端座位の訓練となったが、端座位の訓練が死ぬほど怖かったことを覚えている。

 帰国しリハビリ病院へ  入院生活のさまざまなトラブルをへて、3ヶ月後の9月5日に帰国し、成田から神奈川リハビリテーション病院に入院した。
 アメリカの野戦病院のようなリハ環境帰りの私には、頼りがいのある個性的な先生方が頑張っているように思った。何よりも転院してきてよかったと思うようになったきっかけは、米国の病院で付けられたコルセット、太ももまでの弾性ストッキング、足首を固めるためのバニーブーツなど、一生不可欠と思い込まされていた訳の分からない付属物を当たり前のようにはずしてくれた時だった。
 リハビリも筋トレでなく全身をほぐすことからはじまり、日本のリハビリのほうがいいと感じた。米国ではOTもPTもマッサージができなかった。この病院のOTとPTの熟練した技術には未だに感心し頼ってしまう。車いすへの移乗も導尿も自立でき、2003年3月末に退院した。

 「歩くリハビリ」をしたい  自分の足が動くようになるのかは分からない。無理だろうと思う時ももちろんある。しかし一生車いすと決め付けられても、ダメもとでできる限りトライしていきたい。どのようにリハビリに臨むかは患者それぞれの自己責任だと私は考える。
 退院後、外来のリハビリは15分となり、現状維持のリハビリしかできないな、と実感した。そんなときに「せきずい基金ニュース」(17号)でトレッドミルによる歩行訓練の可能性の論文を目にし、また才藤先生の講演(前頁)を聞く機会が訪れた。
 立てる・歩けるための現状より先の訓練がしたい。足にもう一度刺激を与え、教えたい……そんな思いで私は才藤先生に向かっていった。
 トレッドミル訓練は完全マヒには無理だと才藤先生は述べていた。しかし私は損傷部位以下に何らかの感覚があるので不全マヒだと考えている。
 才藤先生に訓練を受けさせてほしいと何度かメールを送り、藤田保健衛生大学病院〔愛知県〕への入院OKの返事をいただいた。プライムウォークでの歩行が3、4週間で可能になったら、その後の入院でトレッドミル訓練をするか決めようということになった。

 装具歩行訓練  初日からプライムウォークをつけて、立位で平行棒につかまらずにボールのパス、バンザイの姿勢、平行棒の中の歩行を行った。
 数日後には両手にロフスト〔肘固定の握りの付いた杖〕で3m歩行、その後17m、40m、3週目には120mと日ごとに歩行距離を伸ばしていった。ささいなことながら、PTと映画の話をしながら肩を並べて歩くということが、かつての自分と初めてつながった気がして本当に嬉しかった。また、立位のときに脚の骨が感じる刺激はとても気持ちがいい。
 初期の頃は転倒が怖く、腕と肩の筋肉痛に苦しんだが後半はだいぶ慣れてきた。冨田先生には、私の股関節がとても硬くなり歩行に影響が出るため、丹念にストレッチの方法を伝授して頂いた。
 入院中に数回、トレッドミル・トレーニングを試す機会があった。トレッドミルはランニングマシーンで、その上に上体をつるして装具を着けた状態で立位をとり、3人が右脚、左脚、腰の歩行動作の介助をし、歩行を再学習させる。次回の入院では、この訓練が主体となる。どういう結果がでるかは不安だが、新しいリハビリを試せることはとても嬉しい。

 多様な選択肢の提供を  まめに立位を取らないと、脚が簡単に座位の形に固まり、立てなくなる。それが長期になると立位すら取れなくなるという。
 退院後、プライムウォークでの立位の歩行訓練を最低週2回行っている。腰の痛みの原因だったコルセットは造り直し、今は痛みはない。リハビリではささいな良い変化が励みになるため現状の半歩先を意識することが大切に思う。実用性がないと言う医師もいる歩行訓練だが、肺活量・握力が上り、身体もしまってきた。
 私は、脊損の怪我の症状や先端医療の発展、多様な選択肢があることに、医療の側の目がもっと向いてしかるべきだと感じる。しかし、画一的な枠を押し付けることのみに終始している場合が、余りにも多いのではないか、と思う。現実に呑まれ、本来の医療の方向性を見失うことのないことを願っている。



〔臨床研究指針〕
臨床研究のあり方を考える

 各国で脊髄損傷に対する再生医療の臨床研究が始まりつつある中で、ICCP(脊髄損傷の治癒のための国際キャンペーン)自身も臨床研究指針の作成に関与しようとしている。その動きについて、英国の国際脊髄研究基金のM.アダムスらは要旨次のように述べている(Spinal Cord, May 2004, pp275-276 )。
「すでに少数の可能性のある治療法の治験が公表されているにも関わらず、脊髄障害を厳密に評価し測定する方法はまだ開発されていない。そのような治験は再現性を示す証拠なしに他の研究所で別々に実施された。残念ながら、早まった臨床試験は遺伝子治療が最近そうであったように、この研究分野全体を傷つける危険がある。」
こうした問題意識から、2004年2月のバンクーバー市におけるICCPワークショップでは、臨床研究指針のセッションが持たれた。以下に2人の論者の発表スライドを要約して紹介する。

 なお、我が国では2003年7月、厚生労働省より「臨床研究に関する倫理指針」 が出され、それまで事実上野放し状態であった医師・研究者による人を対象とした臨床研究に一定のルールが確立したと言える。
 また今春には東大医科研等の6施設の「トランスレーショナルリサーチ共通倫理審査指針」がまとめられた。これは国指針を補完しさらにレベルアップを意図したもので、我が国の神経再生の臨床研究においても広く遵守すべき指針として機能するものと思われる。

http://homepage3.nifty.com/cont/参照)




■ 脊髄損傷に関する臨床開発プログラムの管理:FDAの観点
シンシア・ラスク、M.D. 米国食品医薬品局臨床評価担当官

 * FDAによる規制
 FDA生物学的製剤評価研究センターでは、ヒトの細胞、組織、細胞および組織由来物質の利用を規制。

 * 製品開発の基準

 * 常に安全性が最優先される
 治験薬審査におけるFDAの目的は、治験のすべての相において被験者の安全と権利を保証することにある。
 また第U相と第V相試験では、薬物の科学的評価の質が、その治験薬の有効性と安全性を評価するのに適切であると確認する手助けをすることである。 
   − 治験薬に関する規定[21 CFR 312.22(a)]

 * 治験とは

 * 治 験

 * 治験のプロトコルとは

 * インフォームド・コンセント

 * 治験の目的
 《第T相試験》−−初めてのヒトへの導入


 《第U相試験》−−仮説を立てる

 《第V相試験》仮説の立証;大規模、複数の医療機関

 * 研究は適切であり、十分管理されなければならない
 デザイン:研究母集団、対照の選択、エンドポイント
 実施:プロトコルに従う
 分析:研究関与者を考慮する、欠測値とその原因

 * まとめ

〔訳:赤十字語学奉仕団・鈴木敏彰〕




■ 治験のデザイン
ブルース・ドブキン テキサス大学公衆衛生学部

 第T相試験

 第U相試験

 《第U相試験 研究デザイン》
 実験デザインの選択/選択基準と除外基準/事前に決められたエンドポイント/有効性と統計的分析の基準/結果の盲検評価/無作為化対照群または歴史的(または既存)対照群

 第V相試験 中枢的試験

 治験のエンドポイント

 討論されうる項目

〔訳:赤十字語学奉仕団・古米稔子〕



〔今年度事業案内〕
『自己管理マニュアル』刊行事業
<福祉医療機構助成事業>

 平成16−17年度事業として『脊髄損傷者の自己管理マニュアル』刊行事業を実施する。
 これは在宅脊髄損傷者の2次障害を予防することを目的とするもので、平成16年度は独立行政法人・福祉医療機構から508万円の助成が決定している。
 マニュアルは、脊髄損傷の医学的問題とその対処法を一般向けにまとめた「基礎編」と、在宅生活で困ったときの問題に一問一答形式(Q&A)で答える「応用編」から構成。
 「基礎編」は2005年2月、「応用編」は2005年12月
に刊行を予定。各巻はA4版144ページで、1万部を当事者・家族、医療・リハビリ・地域福祉関係者に無償配布する予定。

 編集委員は以下の各氏に依頼(◎印:委員長)。
◎柴崎 啓一(国立病院機構・村山医療センター院長)
 岩坪 暎二(総合せき損センター泌尿器科部長)
 芝 啓一郎(総合せき損センター副院長)
 玉垣  努(神奈川リハビリテーション病院OT科)
 富田 昌夫(藤田保健衛生大学衛生学科教授)

「基礎編」には読者カードを挿入し、当事者の声を活かして「応用編」を編集する予定である。


 イラン地震脊損者救援へ募金活動

 2003年12月のイラン南東部バーム市(人口10万弱)の大地震により、200人近い脊髄損傷者が発生した。WHOから今年3月に国際脊髄障害医学会に医療支援要請があった。それを受けて、日本脊髄障害医学会が2,000万円を目標に募金活動を行っている。
 当基金は5月13日に両学会の理事長を兼ねる井形高明先生とともに森英介厚生労働副大臣に面談し政府の協力を要請、引き続き同省で記者会見を開いた。
 受傷者は胸髄以下の方が殆どだが、今後感染症や合併症で亡くなる可能性も高く、多数の車いす・ギャッジベッド・カテーテル等の援助要請が届いている。

〔問い合わせ先〕
 労働者健康福祉機構・総合せき損センター内
  「イラン地震脊損医療支援実行委員会」 電話:0948(24)7500
〔募金振込先〕 
 三井住友銀行新宿通支店・普通預金口座No.9203618
  または、郵便振替口座00120-9-500241
口座名:日本脊髄障害医学会(イラン地震脊損医療支援募金)代表千葉一裕



〔会計報告〕
平成15年度収支計算書
(自平成15年4月1日 至平成16年3月31日)

特定非営利活動法人 日本せきずい基金

【収入の部】

1)助成金・補助金
2)募金・寄付金
3)雑収入
4)受取利息
   当期収入合計(A)
   前期繰越収支差額
      収入合計(B)
(単位:円)

2,561,000
10,045,198
      0
     66
12,606,264
6,661,751
19,268,015
【支出の部】
1)事業費
  募金活動事業費
  脊髄再生促進事業
  オークション事業
  在宅リハ研修会事業
  講演会・人工呼吸器
  在宅障害者交流事業
  疼痛調査事業


47,104
187,700
96,365
38,400
178,275
60,480
244,712
2)管理費
  印刷製本費
  給料手当
  福利厚生費
  通信費
  荷造運賃
  水道光熱費
  旅費交通費
  会議費
  事務用消耗品費
  備品消耗品費
  新聞図書費
  修繕費
  地代・家賃
  保険料
  租税公課
  諸会費
  支払手数料

1,721,512
2,377,590
34,330
394,122
265,385
150,226
235,153
75,838
309,594
483,963
139,627
6,300
1,920,000
154,560
1,000
206,025
11,030
3)固定資産取得支出
  車両運搬具               

2,525,800
 当期支出合計(C)
 当期収支差額(A)−(C)
 次期繰越収支差額(B)−(C)
11,865,091
  741,173
7,402,924



 〔参加者募集〕          
読売医療フォーラム
主催:読売新聞社・・・・・・・・・・・・・・・後援:日本せきずい基金
脊髄損傷について
2004年9月5日(日)午後1時半〜4時
府中市立グリーンプラザ・けやきホール(電話:042−360−3311 京王線府中駅前)

基調報告  柴崎 啓一(国立病院機構村山医療センター院長 )
パネリスト 中村 雅也(慶応大学医学部整形外科専任講師)
        大濱 眞(日本せきずい基金理事長) 
        柴崎 啓一

 参加受付中:車いす席を30〜40席程度確保します。スペースに限りがありますので、事前に事務局まで申込んでください。(確認事項があるため電話・FAX・メールにて)
 
 読売新聞社が開催する「読売医療フォーラム」が、今年は「脊髄損傷」をテーマに、開催されます。これは日本せきずい基金のNPO化5周年を記念し事務所のある府中市を会場としたものでもあります。
 柴崎啓一先生は、長年にわたる脊髄損傷専門医としての経験から、脊髄損傷の病態や合併症、自己管理の留意点など、最新のトピックスも含め講演予定。
 中村雅也先生は、岡野栄之教授の共同研究者として、岡野研究室で進められている脊髄再生研究の最新の情報を中心に報告されます(幹細胞移植、OEG移植、活性化マクロファージ療法など)。
 地域医療・福祉関係者もぜひご参加下さい。入場無料 定員490人
駐車場なし(南口にあり)


 サントリー・ラグビー部より募金 
 3月27日(土)のサントリー・ラグビー部の府中スポーツセンターで「ふれあいイベント」が開催され、基金の役員3人も参加させていただいた。
 席上、昨年1年間の募金活動で集まった16万4976円が日本せきずい基金に贈呈された。

 また、6月13日には味の素スタジアムで府中市政50周年記念「ボールふれあいフェスタ」が開催され、同市内にある東芝府中ラグビー部と共に、8,000人の参加者にせきずい基金への募金活動が行われた。

味の素スタジアムにて


 理事・運営委員の候補者を募集!
 神経再生研究はヒトへの臨床試験を視野に入れたものになろうとしてきています。当事者の想いを形にするために、多くの方々のご協力をお願い致します。
 基金の活動を発展させるために、理事や運営委員として協力したい、という方は事務局までぜひご連絡下さい。
 運営委員(NPO法上の社員)は、毎月の理事会に参加しなくても結構ですが、日常のメールでの意見交換や情報提供ができ、総会での議決権があります。
 理事・運営委員とも報酬はありませんが、交通費などの活動に要した実費は支払います。

 月1回程度、都内で理事会をしています。一度傍聴してみたいという方には日時をご連絡しますので、理事会をちょっと覗いてみて下さい。

以上 ■