会報16号 ページ2

〔再生研究〕

幹細胞研究の課題と展望

       ワイズ・ヤング

 今日は、学術的な側面だけでなく、幹細胞に関わる社会的・法的側面、さらには臨床研究の現状などについてもお話したい。クリストファー・リーブ氏は、幹細胞を用いた治療を非常に強く提唱しているが、この幹細胞がいろいろな疾患に有効であるということが様々に取り上げられている。こういった報告は誇大宣伝的なものなのだろうか、あるいは「希望」と捉えてよいのだろうか。

 長年にわたり幹細胞は骨髄の中で形成され、血球を作り出すと考えられてきた。ところが10年前にこの幹細胞に関して新しい定義が生まれたのである。


 幹細胞の定義  現在の新しい定義とは、幹細胞とは多機能を有する細胞であって、自らを分化させるとともに、様々な種類の細胞を作り出すことのできる細胞である。多機能性 (pluripotent) とは多くの細胞を作り出すことを、多能 (omnipotent) とは全能性を意味する。すでに明らかになっているように、幹細胞は多機能性をもち、一方受精卵由来の幹細胞は全能性をもち、すべてを作り出すことができる。

 これと対照的に、始原細胞(progenitor cell)は幹細胞以外の様々な細胞を作り出すことができる。一方、前駆細胞(precursor cell)は限られた種類の細胞のみを作る。実際に幹細胞にはいろいろな種類がある。 

@ 胚性幹細胞: ヒトの場合、受精後6週間以内に胚のもとになる幹細胞ができる。初期の2週間までのものが胚盤胞(blastocysts)というもので2週間から6週間のものを胚(embryos)という。

A 胎児性幹細胞(fetal stem cell): 胎児から採取される幹細胞であり、受精後6週間以上たったもの。この胎児性幹細胞は胎児の脳、あるいはOEG(olfactory ensheathing glia、臭覚の神経に栄養を与えたりサポートする)細胞、生殖細胞から採取することができる。

B 新生児幹細胞(neonatal stem cells): これから採取できるものは臍帯血幹細胞のみ。

C 成人幹細胞(体性幹細胞): 脳、脊髄、骨髄、生殖細胞、皮膚、そして脂肪からさえも採取できる。

D 腫瘍細胞: 腫瘍、特に奇形腫から採取できる。


 胎児性幹細胞 vs 体性幹細胞  その違いは3つのカテゴリーに分けられる。

@ 神経細胞の多極性: この幹細胞から何種類の細胞を作り出せるかという側面からの分類。一般的に胚性幹細胞のほうが体性幹細胞よりもより多くの細胞を作り出すことができる。しかし最近の研究では、体性幹細胞も一定の条件下では多くの種類の細胞を作り出すことができることが明らかになった。

A 細胞の分裂能: 何回くらい細胞分裂ができるかという側面。胎児性幹細胞の場合には300回もの分化を繰り返すことができ、何年もの間、培養した状態で保存することができる。一方、体性幹細胞のほうは何十回という程度しか分化を繰り返すことができない。胎児性幹細胞のほうがより分化できる可能性をもっており、腫瘍(奇形腫)を作り出すリスクは体性幹細胞よりは高い。

B 拒絶反応: 幹細胞を移植した際の拒絶反応の相違の側面による分類。幹細胞で異種移植、つまり自分以外のものを移植した場合、体性幹細胞の移植では自家移植より拒絶反応の可能性がより高くなる。しかし胚性幹細胞をクローニングするとか、血液バンクのように血液のマッチングすることで、免疫抑制のための治療の必要性を削減することができる。

 胚性幹細胞は受精卵から採取される。この受精卵が胚盤胞に成長するが、これはボールのような形をしていて、中に細胞が入っている。


 胚性幹細胞  この幹細胞を採り出して装置の中に入れ、これを成長させて幹細胞が分化をする。その際、培地や培体の中に特別の成長因子を入れることにより、幹細胞が幹細胞であり続ける。ただこの細胞を別の組織に漬けておくと、この細胞は別の細胞を作り出していくことになる。

 しかしこの幹細胞を特別な媒体の中に入れておくと、何百万個という幹細胞を作り出す。幹細胞を培養し、その中にFGF(線維芽成長因子)を入れておくと、この細胞がどんどん分化し、プレートには直接細胞が接触しないのでボール状の形態になる。これは神経球(neurosphere)と呼ばれる。これをネスチンという色素で染色すると、多くの細胞がネスチン陽性を示す。ネスチンは幹細胞のマーカーであるわけである。またBRDUという分化している段階の細胞のマーカーで染色すると、これにもこの細胞は陽性を示す。

 このボール状のものを1つ取り出して血清を入れて培養すると、この細胞が分化していく。この細胞がボールの表面に触れてそこから離れていく。この球体を脊髄に移植すると、どんどん分化していく。ということで、この細胞は移植された環境下に反応していくわけである。従って、いつどの段階で移植するかによって、その環境のもとでの反応が変わってくる。


 ヒト・クローニング  約7年前、スコットランドで最初のクローン羊であるドリーが産まれた。それ以来、多くの研究所でヒトのクローンを作ろうという研究がなされてきた。

 1997年にある研究所で最初のヒト・クローンを作った。これはヒトの細胞核をウシの卵細胞に入れ、これを32個の細胞ができる段階まで増殖させたものである。また他の研究所では、「我々はヒト・クローンを作ることができる。卵子を作って32個の段階までできる」と報告している。ということで、初めてクローンの幹細胞を作ることができるという状況にある。


 治療 vs 生殖  こういったクローン細胞はドナーと全く同じ遺伝子を持つわけであり、移植の適合性はよい。ということで、脊髄損傷などの疾患にクローンの幹細胞を使えるのではないか、と非常にエキサイトしている。またクローンの幹細胞は、パーキンソン病やアルツハイマー症、多発性硬化症とか、神経変性疾患にも使うことができる。

 生殖を目的としたクローニングは、同種同系の成体を作り出すということである。このためにもっとも一般的に行われるのは、体細胞の核を移植することである。これは、体細胞の核を採り出して母源細胞の中に移植する。一方、治療を目的としたクローニングは全く違い、その目的は同種同系の細胞を作り出して治療に使う。この治療目的のクローニングとしてはいろいろある。胎児細胞の核の移植とか、単為生殖という方法もある。


 幹細胞への誤解  新聞やインターネットでは、幹細胞に対する誤解が見受けられる。「幹細胞はあらゆる種類の細胞を作り出すことができる」というものがある。幹細胞は多能ではあるが、必ずしも全能ではない。幹細胞の働きは置かれた環境によって変化する。

 また「幹細胞は不死である」ともあるが、どんな細胞も永遠に生き続け分化し続けるわけではない。胚性幹細胞は体性幹細胞より確かに長く生きるが、永遠に生きるわけではない。この点でブッシュ大統領が「2001年以前に採取された幹細胞のみ研究に使ってよい」と決断したことは誤っている。というのも、これらの細胞は永遠に生き続けていくのだと大統領は思っていたからである。

 また、「幹細胞は臓器を作ることがある」という誤解もある。しかし、臓器ができるにはタイミングと情報が必要であり、幹細胞にはそういうタイミングを図るとか情報をもっているという能力はなく、幹細胞がそれ自身で1つの臓器を作るということはできない。

 「幹細胞はマスターセル、すなわち全てを支配する細胞である」とも言われる。しかし幹細胞が他の細胞をコントロールすることは滅多にない。むしろ置かれた環境とか他の細胞の奴隷的立場である。

 多くの方々が私に、幹細胞とはどのようなものか、どう分化するか質問してくる。また、胚性幹細胞の研究によって中絶が促進されるのではないかと聞いてくる。私の返事は「ノー」である。というのも、これは余剰の凍結卵子、すなわち体外受精のために作られた凍結卵子を使うことができるからである。すなわち、中絶に関わっていない卵子なのである。

 実際、ヒトの胚性幹細胞を使えれば、現在パーキンソン病の治療に使われている中絶されたヒトの胎児組織を使うことが減少するはずである。

 また「本当に成人まで成長できるような胚を殺すことが増えてしまうのではないか」という問いの答えも「ノー」である。なぜなら、両親がもういらないと言っている受精卵由来の幹細胞だからである。また多くの卵子が、今後の着床用にと、あまりに長期間保存されている実態がある。

 公の機関として「胚性幹細胞バンク」ができれば、幹細胞の採取を目的として胚を作ることや商業的に使うことが野放しになっている状態を減らすことができる。

 また多くの人の質問に、「治療目的のクローニングは結局、生殖目的のクローニングにつながるのではないか」というものがある。この場合も、答えは「ノー」である。

 英国を含め多くの国々で、受精卵をヒトの子宮に移植することは法律によって禁止されている。このことにより生殖目的のクローニングを効果的に抑えることができる。


 なぜ胚性幹細胞研究をするか、その重要性には2つの理由がある。

 第1に、科学的・学術的に見た重要性である。まずそういった研究によって、細胞の分化、増殖、死亡というメカニズムについての非常に重要な情報を集めることができる。幹細胞を理解することによって、ヒトや細胞がなぜ老化するのかの理解に繋がる。ヒト胚性幹細胞研究を制限してしまうことは、幹細胞研究そのものが止まってしまう。

 第2の理由は、臨床面である。ヒト胚性幹細胞は損傷を受けた脳や脊髄の細胞に取って代わることができる。また糖尿病や神経変性疾患、脱髄性疾患、脳や脊髄を損傷した人々はそこから大きな利益を得るはずである。こういった疾患や損傷は、世界中でもっともよく起こる、また非常にコストのかかるものである。


 脊髄損傷における胚性幹細胞研究の重要性
胚性幹細胞は3つの理由から脊髄損傷にとって重要である。

@ 神経移植: 胚性幹細胞は損傷した頚椎や腰椎のニューロンに取って代わることができる。

A 軸索の再有髄化: 軸索を再有髄化することもできる。動物実験の結果は、損傷部位にブリッジング(架橋)することによって、軸索の有髄化ができることを示している。

B 軸索の再生: 幹細胞を損傷部位に移植することは、軸索が損傷部位を越えて伸長する良好の基盤をもたらすだろう。

 米国で現在のような政治的な介入が起こっていなければ、ヒト胚性幹細胞を用いた脊髄損傷の臨床試験がもう行われていたはずである。胚性幹細胞を移植するという技術はもう5年前にできていた。それこそ、「もう5年の時を失ってしまった」ということである。

 胚性幹細胞は、多くの脊損治療法の1つである。しかし、もしヒトの胚性幹細胞を研究してみて有望ではないということがわかったら、ではそれに代わるものを研究をしていたはずであり、体性幹細胞をまた今から5年、待たなければならないという状況にはなかったはずである。

 この脊髄損傷の研究に使えるリソース(資源)は限られており、どの手法であればうまくいかのか、それを早く見極めていくことが必要である。


 脊髄の再生治療  胚性幹細胞は脊髄損傷にとって有望な治療法の1つである。以下にリストしたのは、動物実験により実際に機能を高めることが明らかになったものである。

 7年前にはこういった治療が行なわれ有効だというものは3件くらいしかなかった。今は1枚のスライドで載せきれないほどの研究がある。

@ 軸索伸展の阻害因子のブロック: IN1という抗ノゴ抗体(Schwab, 1990-)、ノゴ受容体ブロッカー(Strittmatter, 2001-)、 コンドロイナーゼ(Bradbury, 2002)、バクテリア毒素のものであるがC3ロホ(Rho)・キナーゼ 阻害剤 (McKerracher, 2001-)、 フォスフォジエストラーゼ、PDE4阻害剤・ロリープラム(Filbin,2001-)。このロリープラム (Rollipram) というのは脊髄のバイアグラのようなもので、フォスフォジエストラーゼで刺激することにより、ペニスがエレクトするようなものである。 しかし この薬剤は 脳のフォオスフォジエストラーゼのみに働く。

A プリンヌクレオチド: この中に含まれるのが、イノシン(Benowitz, et al. 1991-)、AIT-082(Neo-therapeutics,1999-)、 アデノシン(Chao, 2000)である。

B 成長因子: 例えば、細胞接着因子のL1(Roon-prpunt, et al. 2002)や ニューロトロフィンNGF + BDNF+NT3(Xu, 2001ほか)。

C 細胞移植: また多くの細胞移植が動物モデルでその機能を高めている、という報告がある。その1つが活性化マクロファージで、これはイスラエルのM.シュワルツ先生が発見した(Schwartz, et al.1998)。胚性幹細胞移植(McDonald & others, 1999-)、胎児性幹細胞移植、成人のOEG(嗅覚の神経に栄養を与えるグリア細胞)(Ramos-Cuetos,et al. 2000-2002)、それから非常に最近ですが、嗅覚の粘膜の中にもOEGが含まれていることが明らかになった(Lu, et al. 2002)。

D 電気刺激: 交流の電気刺激によりグリア細胞の再生や、再生の方向付けを正しくするのに役立っているという報告がある(Borgens, et al. 1997)。

E 免疫療法: 脊髄損傷の動物モデルで、やはり機能の回復に役立っているのが、いくつかの免疫治療である。1999年にサム・デービッドが動物に脊髄のホモジネート・ワクチンを投与し、機能を高めた(David, et al. 1999)。また再生にもこのワクチンは有効な刺激を与えたと述べている。それから、M.シュワルツ先生はこのミエリン塩基性タンパク質とコパクソン(copaxone)が脊髄損傷後の回復をもたらし、再生をもたらしたと述べている(Schwartz et al. 2001)。


 脊髄の再有髄化

@ シュワン細胞: 損傷部における突発性浸潤及び再有髄化(Blight, 1985 ; Blaemorem 1990)。シュワン細胞移植(Vollmer, 1997)、末梢神経移植(Kao)。

A オリゴデンドログリア細胞: 体性幹細胞のオリゴデンドログリア前駆細胞産生(Gage, 1999)、O2A細胞の神経軸索の有髄化(Blakemore,et al.1996-)、移植胚性幹細胞の オリゴデンドログリア産生(損傷脊髄の再有髄化)(McDonald, 1999)。

B 幹細胞: マウス ES細胞移植による脱髄の急速な有髄化(McDonald, et al. 2000; 本望ら、2002)、ブタ 胎性幹細胞 (米国・Diacrin社)、 ヒト胎性幹細胞(Moscow & Novosibirsk)。

C OEG : 脊髄へのOEG細胞移植による軸索の有髄化(Kocsis, et al. 1999; 本望ら、2002)。

D 免疫療法 : M1抗体活性による 有髄化 (Rod-riguez, 1996-)、Copaxone(copolymer 2) によるラットの回復の誘導(Schwartz, et al. 2001)。


 現在実施中の脊損の臨床試験
これらの治療では、世界中でさらに多くのものがすでに臨床試験が行なわれている。

@ 多くのセンターで脊髄空洞症の治療に胎児脊髄移植が行われている。フロリダ州 ゲーンズビル、 Rush Presbyterian(シカゴ)、カロリンスカ研究所(スウェーデン)、モスクワ、ノボシビルスク、北京。

A 脊髄損傷による神経伝達の治療のために、4-アミノピリジンという薬の臨床試験が行われている(Acorda社)。これは米国及びカナダの82施設において第3相の治験中である。

B 亜急性期の脊髄損傷の治療のため、活性化マクロファージ移植が行われている。プロニューロン社:テルアビブ・シバ医療センター、ブリュッセルのエラスムス病院、デンバーのクレイグ病院〔会報15号参照〕。

C 米国で9名の慢性脊髄損傷の治療にブタの神経幹細胞移植が行われている。Diacrin: ニューヨークのアルバーニ医療センター、セントルイスのワシントン大学〔注:この異種間移植には批判もある〕。

D またインディアナ州のパーデュー大学において、交流の電気刺激による亜急性の脊髄損傷の臨床試験が行われている。

E また、現在米国の4ヵ所のセンターでAIT-082(neotrofin) という物質の臨床試験が行われている(Ranchos Los Amigos, Gailord, Craig, Thomas Jefferson)。

F 最後に、世界の数ヵ国でOEG移植の臨床試験が行われている。オーストラリアのブリースベンでは、3名の慢性患者に対して、嗅粘膜の移植が行われている。リスボンでは3名に、北京では150名の患者に胎児性のOEGの移植が行われている。ということで、今から半年から1年のうちに現在行われている臨床試験の結果が次々に判明する。どういった結果が出るか、非常にエキサイティングな状況である。


 OEG細胞  このOEG細胞は非常に興味深いもので、組織培養の結果、3つの形態ができる。

 1つはバイポラー、2極ということであるが、2つの点があるものでこれは移動するものである。もう1つはマルチポラーというもので、たくさんの点を持ち、これは非常に長いものだが、これが細胞を導いていく元と考えている。最後に、軸索が結合した形態のOEGで、これはフライドエッグ(目玉焼き)のような形ができる。これは細胞が鞘(さや)で覆われた形をしている。


 その他の臨床研究  

@ トレッドミルによる歩行訓練: 非常にエキサイティングな研究がドイツで発表されている。受傷後まったく歩けなかった人の70%が歩行トレーニングすることで歩けるようになった というものである。

A 腰髄2番の刺激: また非常にエキサイティングな臨床試験としては、腰髄の2番を刺激することにより、運動機能をさらに活性化できたという報告がある(アリゾナ州ツーソンのDick Hermann、ウィーンのMilan Dimitrijevic)。

B 実験的外科療法: 多くのセンターで実験的に外科的なアプローチが行われている。その中にはお腹の体毛の移植(米国、キューバ、中国、イタリア)、脊髄神経を繋ぐ(サンパウロ大学)、胎児性幹細胞の移植(モスクワ、ノボシビルスク、北京)、末梢神経を脊髄に繋ぐ(イタリア・ブッレシアのBrunelli)、また末梢神経を膀胱や筋肉に繋ぐ(上海のZhang)、脊髄損傷部位を末梢神経や神経成長因子と繋ぐ(台湾のCheng)、癒着を剥がす・末梢神経移植・網膜移植・4-アミノピリジン(エクアドルの Carl Kao)、末梢神経の移植(メキシコのティファナ)、等。

 ここに羅列したものの詳細は、今は時間がありませんが、その詳細は喜んでお知らせしたい。


 脊損治療研究の「世代」  こういった治療法を「世代」に分けてみるのも非常に役に立つことだろう。現在行われている臨床試験は、脊髄損傷の治療としては第1世代ということになる。以下のようにこれだけある。見ただけでも多いという感じだが、あと2、3年内には第2世代の治療が次々と出てくるはずである。


 ◆ 第1世代の治療法

@ 伝達促進療法: 4-アミノピリジン(Acorda社)

A 軸索成長刺激物質: GMI(Fidia)、 AIT-082(Neotherapeutics)、交流電気刺激(Ourdue)

B 移植: 胎児脊髄移植(UFG)、マクロファージ(プロニューロン社)、 ブタ胎性幹細胞 (Diacrin社)、ヒト胎性幹細胞(ロシア、中国)、末梢神経移植片(台湾)、OEGグリア(北京)、嗅覚粘膜のオートグラフト(リスボン・ブリスベン)

C リハビリ: バイオフィードバック・トレーニング、歩行サポートによるトレッドミル・トレーニング(ボン、チューリッヒ、 UCLA等)、 L2 locomotor centralpattern generator stimulation(アリゾナ、ウィーン)


 ◆ 第2世代の治療法

@ 有髄化療法 : M1抗体( Acorda)、 Copaxone(Teva)

A 軸索成長刺激物質: ヒューマナイズドM1(Novartis)、(PDE-4阻害剤)、C3ロホ・キナーゼ阻害剤 (バイオ・エクソン)、 コンドロイチナーゼABC(生化学)、ノゴ受容体抗体(バイオ・ジン)、イノシン(BLSI)、Neuregulins(CENES)

B 移植:成人OEG、骨髄幹細胞、ヒト神経幹細胞、 遺伝子改造 幹細胞、 腸グリア幹細胞、 Neuro-trophin-secreting cells

C リハビリ:バイオフィードバック法と歩行療法の連携、腰髄2番の刺激

 動物試験と臨床試験はともにパートナーとなって一緒に進んでいくべきものである。というのも、臨床試験を行うことによって動物実験で非常に重要な結果が得られるということがあり、動物実験を行うことで臨床試験をよりよいものにすることができるわけである。


 幹細胞と脊損コミュニティ  クリストファー・リーブ氏は、米国において胚性幹細胞とクローニングを非常に力強く提唱している。彼は、ヒトの胚性幹細胞の研究を禁止することは他の細胞移植の発展を遅らせてしまうと言うが、私もまった同感である。この非常に有望な脊髄損傷の再生医療、再有髄化の治療、また細胞移植治療というものの可能性に扉を閉じてしまってはならない。

 さらにリーブ氏は、脊髄損傷に関わる人たちは、「他の障害にとっても重要となるような治療法を、ぜひサポートしていくべきである」と述べている。多くの研究者が考えているのは、今世紀において幹細胞というものが外科治療上もっとも重要な進歩である、ということである。そして我々は、この幹細胞をめぐる論争の中で重要な役割を果たしていくべきである。

 幹細胞研究の結論としては、胚性幹細胞を厳格なガイドライン、すなわち「絶対にそれはこういうことで必要なのである」という裏づけをきっちりと証明するガイドラインを定めた上で、この研究を認めるべきである。

 また、受精卵の移植を禁止するということで、生殖目的のクローニングを禁止することができるはずである。

 治療目的のクローニングは認められるべきである。さらに、成人の体性幹細胞の研究を強く奨励すべきである。こういった政策は、日本でも奨励しうるものであると思う。■



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