| k16.lzh ワード圧縮 |
| SSKU 特定非営利活動法人 Japan Spinal Cord Foundation |
| 日本せきずい基金ニュース No. 16
|
〔目次〕
- 第2回脊髄再生市民セミナー報告
- 幹細胞研究の課題と展望(W.ヤング)
- 質疑応答
- 会場アンケートから
- 痙性と座位バランス
- 日本せきずい基金2001年会計報告
- ヘルパー等吸引問題について
- ヒト幹細胞研究指針について
- 高位頸髄損傷者のリスクマネジメントに関する研究
第2回脊髄再生市民セミナー
報 告
11月10日、東京の後楽園会館で開催したセミナーには約100人が参加、W. ヤング・ラトガーズ大学教授、およびヤング教授に師事した本望修札幌医科大学講師が講演を行った。
本望修先生はご自身の動物実験を紹介しながら、要旨以下のような講演をされた。
(「連合・愛のカンパ」助成事業)
幹細胞による神経再生戦略 本望 修先生
- 神経再生研究には確かに可能性があるが臨床応用にいたるには現時点では様々はハードルがある。
- 脊髄を損傷しても、受傷部位が全て損傷してしまうのではなく、24時間後、あるいは1週間後に損傷していくところがあり、そこに新たな治療の余地がある。
- 髄鞘を治す細胞にはシュワン細胞やOEG細胞(olfactory ensheathing glia、臭覚神経に栄養を与えたりサポートする)などいろいろある。受傷後は炎症が起こり瘢痕が形成される。この瘢痕が神経再生を抑制する大きな壁となっているが、OEG細胞を使って脊髄神経の再生がうまくいったという報告がいくつもで出て来ている。
- 骨髄にも幹細胞があり、静脈注射による自家移植であれば拒絶反応がなく、可能性がある。
- 神経幹細胞を比較すると、成人・胎児・骨髄・胚性幹細胞のどれも移植により生着し生き残るが、細胞数の確保や自家移植の点で、骨髄幹細胞が臨床にいちばん近いのではないか。
- 慢性の場合には、急性期とは全く違った戦略となる。脱髄の治療や神経線維の再生、損傷部位によっては神経ネットワークの再構築が必要であり、どのような細胞を使うかも含め、まだまだ研究の余地がある。
Wise Young,Ph.D.,M.D. <ヤング氏の写真、略>
ニュージャージー州立ラトガーズ大学・W.M.KeckCeter for Collaborative Neuroscience 教授。
ヤング教授は、国際脊髄外傷学会の産みの親であり、世界的な脊髄損傷研究のリーダーである。
▼ ヤング教授の講演は、ヒトへの臨床応用の前段階の状況を伝える、きわめて注目される内容であった。 世界各地においてさまざまな臨床応用へ向けた研究が現在行われており、その結果がここ半年から1年で次々とその評価が明らかになる見込みであるという。
また米国においては、ブッシュ政権のもとで、ES細胞(ヒト胚性幹細胞)研究にブレーキがかかっていること。胚性幹細胞を移植する技術はもう5年前にできていたはずであり、そのために「もう、5年の時を失ってしまった」と述べている。
なお、次頁以降に紹介する講演のうち、幹細胞に関する宗教的見解・哲学的見解、連邦政府の規制などは、本年7月刊行の会報に掲載しており、割愛する。