会報10号 ページ8
4.類型W
(1)Hさん(62才男性)
E.健康と医療の問題と対応
20才のときに交通事故により頸髄4・5番を損傷した。障害経過年数42年と長く、様々な合併症にかかっている。しかし、医療機関とのつながりは月1回の通院程度である。
B.機能障害
顔に手を持ってくることはできるが、指先でスイッチなどを押すことはできない。
C.活動の制約
夜間は介助者なしで、一人で過ごしている。そのため、活動時間や内容はヘルパーの滞在時間によって制約を受ける。この状況は、類型Tで一人暮らしのCさんと同じである。しかし、週3回程度、外出をしている。外出をする日は午前から離床をするが、外出をしない日は昼食後に離床する。
D.参加の制限
外出の目的は買物や娯楽の他に、交際や会合・仕事など多岐にわたっている。外出をしない日は、読書やパソコンや手紙を読むなどしている。交流の幅が広く、郵便物等が非常に多い。書類整理等でも介助時間を多く必要とする。
夜間は一人でパソコンで文章を書いたり、電話などを利用し多くの人とコミュニケーションしている。また、電話で英語の家庭教師をしている。
F.介助者や社会的資源
一人暮らしであり、有償ヘルパーがもっぱら介助を行っている。また、このヘルパーは通いであり、朝の9時から午後5時半までである。タイムスタディ調査によると、Hさんの総介助時間はわずか629分である。行動的な類型Wのグループ平均の903分よりかなり短いばかりか、類型Uのグループ平均の781分をも下回っている。
しかし、介助力不足を補うために、通信機器がQOL向上のために大いに活用されている。24時間体制で介助者がいればさらに高いレベルの行動が可能となるものと思われるが、効率的な介助方法と積極的な通信機器等の利用によって、現在の生活が成り立っている。
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E.健康と医療の問題と対応 ・月1回程度、通院をしている。 |
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B.機能障害 ・C4/5 ・顔に手を 持ってくる できる。 |
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C.活動の制約 ・夜間は介助者が おらず、一人で 過ごす。 ・週3回程度外出 |
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D.参加の制限 ・外出目的は交際や会合・仕事など多様 ・夜間は一人でパソコンを打ったり、 電話で多くの人と話しをする。 ・電話を使って英語の家庭教師をする。 |
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G.個人的要因 ・一人暮らし ・語学が得意 である。 |
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F.介助者や社会的資源 ・毎日の通いの有償ヘルパーを利用 ・郵便物等が非常に多く、書類整理等で常に介助者が必要 ・通信機器がQOL向上のために大いに活用されている。 |
(2)Iさん(37才男性)
E.健康や医療の問題と対応
15才のときにスポーツ事故により頸髄4・5番を損傷した。障害経過年数は22年と長く関節拘縮などの合併症があり、月に1〜2回程度、整形外科や泌尿器科に通院している。
B.機能障害
上腕は全く動かせない。
F.介助者と社会的資源
一人暮らしで家族介助者がいないが、公的ヘルパーと有償ヘルパーが毎日、訪問看護婦が週3回介入している。有償介助者は就寝中にも常駐している。
Iさんの総介助時間は複数の介助者を導入していることもあり1250分で、類型Wのグループの中でも多い。特にQOL向上のための介助時間は610分であり、調査対象者中で2番目に長い。Iさんが全国的にみても際だって介護手当の水準の高い地方自治体内に住んでいるという点も、看過できない。
C.活動の制約
複数の介助者を得ているため、生活時間はIさんの生活リズムに合わせて組み立てることが可能となっている。夜は遅くまで車椅子を利用して様々な活動をしており、就寝準備は深夜1時頃で、2時近くに就床している。
D.参加の制限
週2回程度、外出をしている。外出は交際や会合・仕事などを含み幅広い。自宅では趣味の活動や仕事をしている。仕事として絵を描いるが、それは稼動所得となっている。
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E.健康と医療の問題と対応 ・障害経過年数は22年と長く関節拘縮などの合併症がある。 ・月に1〜2回程度、整形外科や泌尿器科に通院している。 |
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B.機能障害 ・C4/5 ・上腕は全く 動かせない |
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C.活動の制約 ・有償介助者は就寝中にも にも常駐している。 ・そのため生活時間は、自分 の生活リズムに合わせて 組み立てることが可能 |
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D.参加の制限 ・週2回程度外出。目的は 交際や会合・仕事など幅 広い。 ・自宅では趣味の活動や絵 の仕事をする。 |
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G.個人的要因 ・一人暮らし ・稼動所得あり |
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F.介助者や社会的資源 ・公的ヘルパーと有償ヘルパーが 毎日、訪問看護婦が週3回介入 |
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H.社会的要因 ・自治体の手当 が高水準 |
参加のレベルの高い類型Wでは基本的には、より多くの介助力を必要とする。その点では一人暮らしのHさんの場合には、通常であるならば「F.介助者や社会的資源」の不足によって「D.参加の制限」が生じる、という障害の構造が作られやすい。しかし、Hさんの個人的な資質によるところも大きいが、通信機器の導入によってそのような障害を克服していた。一方、Iさんの場合にも同じく一人暮らしであったが、介助手当の面でかなり恵まれている自治体に居住しており、「H.社会的要因」における利点を活かして、多くの「F.介助者や社会的資源」を得ていた。さらに、稼動所得を得ているという「G.個人的要因」も、「F.介助者や社会的資源」を得る上で好循環をもたらしていると考えられる。
本報告では事例として紹介しなかったが、QOL向上のための介助時間が最も長い人は710分であった。この人は世界身体障害者芸術協会からの奨学金を受け、また、ボランティアの協力も得て介助時間を確保し、絵を描いている。しかし逆にいうと、このようないくつかの有利な条件がない限り、現状では類型Wのレベルでの生活は困難であるといえる。
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