「地球を歩いた車いす 」
世界40カ国を訪ねた重度障害者の海外旅行記

★ 書名 「地球を歩いた車いす」世界40カ国を訪ねた重度障害者の海外旅行記
      (上山睦雄著、三推社、1600円、1997年)

★ 書評 (勝矢光信)

 47才の時、オートバイ事故で障害者に。極めて重度であるが、奥様の支えで、あら
ゆる国を旅行している。受傷後経験した記録であって、国ごとの旅行記ではなく、読者
を意識していない点は、残念である。

 バリアフリー情報も、抽象的で「快適である」「最高である」などの表現で終わってし
まっている。しかし、彼の意図である、重度障害者でも工夫しだいで旅行が可能にな
る事は伝わってくる。

 どうしても持っていく医療備品が多くなり、下の失敗もあり、大変である。大変である
が、なんとか切り抜けてきた。医療的な問題の方が、車イス問題よりも深刻である。
バリアフリー化のすすんだ今日、車イスでの旅行に困難は無くなってきたが、尿袋や
カテーテルをつけての旅行は、車の乗り降り、ベッドからの移動において、大変な事が
多い。

 疲労しやすい体である事も、困難の1つである。周囲の景色や現地の体験よりも、
身の回りの問題が多くなる。これからの重度障害者旅行は、医療備品の簡素化など、
医療関係の工夫が必要になる。

 様々な携帯用品の中で「車イス国際シンポルマーク」が、各所で役立っている。
このマークを示すだけで、言葉が通じなくても、相手にわかってもらえると。
40カ国80都市を回って、それが「重度でも元気で健康に暮らしている」証明となって、
周囲の人を安心させている。

 これほど重度でも旅行できる時代になった事がわかる。願わくは、奥様以外の介助
での旅行にも挑戦し、更なる可能性を開いていただきたい。それが、他の重度障害者
にもユニバーサル旅行の可能性を伝えていく事になる。





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