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★ 書名
「よみがえる人生」
向坊 弘道 著、
樹心社、1992年
★書評 (中島)
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(筆者紹介)
向坊弘道氏は頸髄損傷、一九三八年、北九州市生まれ、東大在学中の二一才
の帰省時に交通事故、四〇代で若松区の海岸そばに自立する。
駐車場やビル管理会社の社長、パソコンを駆使して株もやる。松井和子医師らと
「はがき通信」発行、グリーンライフ研究所、フィリピンやネパールで日本人障害者
の滞在所を運営。障害者運動家であり著述家でもあるが、何といっても篤い浄土
真宗の門徒であり、ブラジルやヨーロッパまで布教の講演に出かけている。
(内容)
東大三年生のとき自家用車で帰省中、自宅まであと少しというところで自損事
故を起こし頸髄損傷となる。まだ頸髄損傷の治療のノウハウが知られていなかっ
た時期に苦労する様子が描かれている。そのため、わが子可愛いさのあまり母親
が新興の宗教に頼りその信仰療法を勧めるのに反発したりする。
医学的知識の乏しい状況ではありがちなことで、多くのセキソン・ケイソンたち
があらぬ祟りや因果のせいにされて迷惑してきたことであろう。そうして長い確執
の末、浄土真宗の教えと出会い自分らしい生き方に開眼してゆく。その一方でビ
ル管理などの事業にも苦労を重ね、次第に軌道に乗ってゆく様が描かれている。
なお、樹心社は障害者関係の本をよく出している出版社である。 他には「春秋
社」「ぶどう社」「エフエー出版」「かもがわ出版」「三五館」「明石書店」などがある。
(中島評)
一九五九年に大学生で自家用車を持っていたというところに、彼の恵まれた生
い立ちが察せられる。しかし深い恵みを負って生まれ育ったものほど、初めは(宗
教などに対して)強い抵抗を示すものなのかもしれない。やがてそれを克服してか
ら飛躍的な成長がみられる。
今でこそスーパーマン並みの活躍をみせる向坊弘氏だが、自立までに何十年
もかかっている経緯が、この国の福祉の状況を表している。と同時に同行の私た
ちを勇気づけてくれもする。つまり自立はどんなに遅くなっても出来るのだというこ
と。なお、本文中に宗教観にもとづいた詩が交えられているが、それは文学の文
脈の中で批評すべきものというより、一種の「和讃・礼讃」(法要の席などで参会者
たちが声を和して仏を称える歌を歌うもの)として読みとるべきもののように思う。
ちょうど宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のように。この本から「よみがえる」シリーズが
続いてゆく。 |
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