「ミナ子のおてなみ」



★書名 「ミナ子のおてなみ」 (加木博子著、チャック絵、私家版、2002年)

★書評(中島)

 いやあ、障害者の世の中も進んできたものだ。
これはインターネット上のホームページで公開されているデジタル絵本である。
だから街の本屋さんでは読めないし、市販されてもいないし、パソコンを扱えない人
は読むこともできない。そういう意味ではごくごく一部のマニアの間での流通にすぎ
ない。しかしこれからこういう試みは増えることはあっても減ることはないだろう。

 文を書いている加木氏は広島県の頸髄損傷で学習塾経営。なお加木氏について
はこの書評欄「文学」の「上無」の項に詳しく書いているので、参照していただきたい。
自分のホームページ「 ヒロコのHP」http://ww41.tiki.ne.jp/~do-believe/で、友人の
チャック氏に絵を付けてもらって公開している。
加木氏のホームページはクリスチャンとしての布教の趣が強いため、信仰を異にす
る人などはなかなか近寄り難いだろうが、この絵本は信仰色は皆無である。

 5歳のミナ子が、母子家庭の母親が仕事で遅いため、お手伝いとして自分で朝食
をつくる手順がていねいにかかれている。料理をしない最近の子どもたちのレシピと
もなるだろう。チャック氏の絵は「ああ、どこかで見たことがある」と思わせるなつかし
さがある。ことに料理の絵は食堂のショーケースに陳列されている見本を連想させる。

 母子家庭を設定してあるところが現代的とも言える。ただし、母親が朝遅く帰って
くるというのは,「どういう仕事してるんだ?」と不自然に感じる人もいるかもしれない。
あとはキャピキャピした語り口で他愛ない。欲をいえば「陰影」がほしい。




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