| ★ 書名 「カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の地域呼吸管理システムと教育プログラム」 (浜松医科大学医学部臨床看護学科、松井和子訳・著、2000年3月、私家版) ★書評 (中島) (著者紹介) 以前の「頸髄損傷 自立を支えるケアシステム」(松井和子著、医学書院 ) などを参照 (内容) 1994年の「カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の四肢マヒと生活型呼吸管理 プログラム」 > の続編。 付録として「デンマークにおける在宅人工呼吸使用者の生活実態調査報告」が ある。在宅の人工呼吸( ベンチレータ)管理の先進地であるカナダの公的な地域 ケアシステムの概要と、ケアスタッフを対象とした教育プログ゛ラムのマニュアル を、その開発者であり実践者であるアイリーン・ヘンリー氏が紹介している文献を、 日本における頸髄損傷研究の専門家松井氏が懇切に翻訳し編集し紹介したもの である。 気管切開、ベンチレータ管理、酸素療法、呼吸補助具、モニタリング装置、ネブ ライザーのテクニック などのノウハウから、それらのケア提供者の訓練、看護タス ク、処置の委任、ナースの役割と責任、 エージェンシーとケア提供者の役割と責 任、身体障害者居住施設、オリエンテーション、など細かな 項目についてのマニ ュアルがグラフや図解入りでわかりやすく解説されている。 近年、交通事故などによる頸髄損傷の発生で高位ケイソン者が増えているとい う実態があり、今後ますます人工呼吸器の使用者は増えてゆくものと思われるの で、関係者には貴重な資料となるだろう。アイリーン氏によるとベンチレータを外す 訓練も早ければ早いほどよいらしい。また病院や施設に入っている人工呼吸者の かなりが地域で暮らせるし、行政の費用も軽減されるという。それら具体的な数値 には説得力がある。 実際にベンチレータを使用していない頸髄損傷者には、なかなか医学用語がむ ずかしく、今ひとつピンとこないが、関係者には喉から手が出るほど欲しい情報な のだろう。それを地道に翻訳・紹介しておられる松井氏には敬服するかない。ブリ ティッシュ・コロンビア州ではかなりの高位ケイソンでベンチレータ使用者でも質の 高い自立生活を維持しているという。そういう報告を聞かされると、自分のふがい なさが責められてちょっと気が重くなるが、それもやがては克服してゆかねばなら ないことだろう。 ただ、ここに紹介してある例はほとんどが成功例で、何か不具合や問題点はな いのだろうか。実際、患者たちへのアンケートではカナダでもデンマークでも大多 数が「満足している」と回答しているにもかかわらず、ごく一、ニ割の人たちが「不 満」や「生活が貧困」」と回答している。その人たちはいったいどういう実態にある のかよくわからない。さらにゆくゆくは精神的な領域にまで踏み込んだリサーチも 見てみたい気がする。 |
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