「車いすでカリフォル二ア」

★ 書名 「車いすでカリフォル二ア」
      (小濱洋央・小濱真美子著、日本評論社、1997年、1500円)

★ 筆者紹介

 小濱洋央(こはまあきひさ)氏は1964年、横浜市生まれ。1980年、高校生の部活中に
事故で頸髄損傷(5番)となる。一橋大卒業のあと、東大大学院博士課程修了、専門は
原子核理論(ハドロン理論)。1991年に地域作業所で働いていた真美子氏と結婚。
大学そばのマンションに住む。その年の夏の二ヶ月間、アメリカのカリフォル二ア大
ノースリッジ校で研究生活を送り、その記録をまとめたのがこの本である。現在は日本
社会事業大学非常勤講師。1993-96年にかけて日本学術振興会特別研究員。趣味は
パソコン、読書、甘いものの探訪という。

 (旧姓大木)真美子氏は1965年、横浜市生まれ。日本社会事業大卒。社会福祉士。
1986年に洋央氏と知り合う。趣味は旅行、音楽。夫を介助して国内・国外を頻繁に
旅行する。夫の介護のため仕事をやめ「主婦」と呼ばれることに違和感を述べる。

★ 書評 (中島)

 洋央氏は高校生で頸髄損傷になったあと、刻苦して一橋大と東大大学院を修了し、
原子核理論物理学という難しそうな学問の研究者となっている。ゆくゆくは日本の
ホーキング博士というところであろうか。同じ頸髄損傷者からそのような逸材が出て、
誇らしい気持ちになる。それには奥さんの真美子さんの支えが大きいであろう。
それを証しするように、この本はご夫婦がかわるがわる執筆している。写真をみると
美男美女のカップルで、すっかりあてられる。また元東大総長で文部大臣でもあった
有馬朗人氏の推薦文などがあり、ちょっと気圧される。
  
 氏が大学の指導教授から勧められて、初めての海外旅行をする体験記だが、事前
にバークレー留学経験者で福岡の頸髄損傷清家一雄氏などから念入りに話を聞いて
いるところは用意周到である。電車や飛行機内でのキャスター上げの苦労話や、現地
での介護者や介護器具「こまわり」などのトランスファーの紹介、街並みや食事やバス
や大学の施設やCILやユニバーサルスタジオのバリアフリー度が写真入りでていねい
に紹介され、これから旅行する人たちには貴重な手引きとなるだろう。
 
 最近は海外へ出かける重度障害者も珍しくないが、この本の記述には今までに聞い
ていた現地のもようとは微妙に様子の変わってきているところが読み取れて、ときどき
新鮮な感じを受ける。願わくば、真美子夫人とのなれそめや夫婦喧嘩や性的生活のも
ようなども散りばめてほしかった。

小濱氏の研究内容については下記のホームページへ。
視覚障害者のための本文テキストも公開されている。
http://tkynt2.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~kohama





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