「 空飛ぶ車イス 」
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| ★ 書名 「空飛ぶ車イス」 (木島英登著、IMS出版、2001年、1600円) ★ 筆者紹介 キージー、こと木島氏は1973年、大阪府生まれ。府立池田高校3年のとき、ラグビー 部の練習中に下敷きとなり、胸椎11番の脱臼・骨折して脊髄損傷となる。以後、車い すの生活。その後、神戸大学卒業。学生時代からアメリカにホームステイし英語を身 に付け、以後世界中を旅するようになる。卒業後は広告会社「電通」に入社。 2000年3月から、ホームページ「Travel For All」 (http://www.tam.nada.kobe.jp/KIJI/)を開設しマスコミで話題になる。 それらの紀行文を一冊にまとめたのこの本である。 本書で訪れている国や土地は、サンフランシスコ、ロサンゼルス、プサン、慶州、 ソウル、パリ、オスロ、ベルゲン、フィンランドのオリベシ、ドイツのノイシュバンシュタイ ン城、ポンペイ、ミラノ、ジェノバ、ベネチア、バルセロナ、ペナン島、シチリア島、チュニ ス、モスクワ空港、マニラ、ラグナ州、ウイーン、ルーマニア、南京、蘇州、上海、桂林、 ハノイ、ホーチミン、マルタ島、ミャンマーのポパ山、マカオ、メキシコのカンクン、アンコ ールワット、台北、ヨルダンのぺトラ、死海、シリアのパルミラ、ホムス、レバノン、ベイ ルート、カイロ、ジブチシティ、ウィンターパークなどなど。 おそらく車いすの旅行者としては「地球を歩いた車イス ー 世界40ヶ国を訪ねた 重度障害者の海外旅行記」(上山睦雄著、三推社、1600円)などとともに、最も多数の 国を訪れている一人ではないだろうか。 ★ 書評(中島) 当ホームページ書評欄で、勝矢光信氏もこの本を取り上げておられ、そちらのほう で真面目な評価は十分になされているので、こちらでは少し柔らかい話題を。 電通に入ったときのエピソード。面接で「次に行きたい国は?」と聞かれて、「ベトナ ム。女子高生がみんな白いアオザイを着ていて、学校の前へ行くと下着が透けて見え て最高だと、友人が言っていたから」と答え、めでたく採用される。キージーも面白い が、電通という会社もさばけている。 ゲイの多いマ二ラでは、ジヨナサンというそれっぽい少年をからかったら本当に惚れ られて、ずっとつきまとわられて困ったとか。 ベイルートで知り合ったアレックスとイービーというカップルが 「The most important thing for my life is smiling.」 「The most important thing for my life is black triangle.」 などという会話を交わしてゲラゲラ笑い合ったとか。 ベトナムの少女と恋に落ちて、一時は本当にベトナムに住もうかと思い悩んだとか。 死海に浮かんだら、その前にうんこしてお尻を切っていたので、ひりひりして 痛かったとか。 その手の愉快な話もたくさん散りばめられているので、そういう方面から読んでみる のもまた一つの楽しみ方であろう。 同じ障害者でありながら、これほどまでに世界中を飛び回っている人がいるのだ、 ということに圧倒されて、『それにくらべて自分は・・・・』と自己嫌悪に陥る障害者もい るかもしれないが、そういう人はまだまだ初心者なのである。 人にはそれぞれ向き向きというものがあり、たとえば星野富弘氏が口に筆をくわえ 神への祈りをこめて花の詩画を描くのも、私などが一日パソコンに向かって小説や短 歌の原稿を書くのも、脳性マヒの真理子さんが生活保護を受けながらラブホテルで男 遊びをしまくるのも、結局はおんなじようなことなのである。 キージーが旅をせずにいられないのもおんなじようなことなのである。みんなみん な、そうせずにはいられないからそうしてるだけなんですね。他意はないんです。 それだけのことなんですね。なんと痛快なことでしょう。
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