「JOY-VAN通信 1999年増刊号」


★書名  「JOY-VAN通信 1999年増刊号」
     (ジョイプロジェクト編、身体障害者団体定期刊行物協会発行、1999年、100円)

★書評 (中島)

  ジョイプロジェクト(渡邊敬二代表)は、1995年に発足した。頸髄損傷者など四肢マヒ
の障害者でも運転できる自動車を、日本にも走らせたいというプロジェクトである。
当初は遠大にみえた計画も、オフィス・ボウのディレクターK氏や、キリン福祉
財団や日本財団ボランティア支部などの支援、さらに全国の障害者たちの支援を受け
て、1997年4月にわが国で初めての『電動車いすのまま乗りこみ、ジョイスティック
コントローラーで運転できる車』が運輸省から認可され、1998年8月に運転免許の交
付を受ける。しかしあくまでも扉を開いただけで、現実的な移動の道具にはなりえて
いない。

  私もほしい車だったので賛助会員(会費30000円)になっているが、電動車いすか
ら専用の運転席へ乗り移らねばならない点や、後部ドアからスロープで乗れるタイプ
ではなく運転席横のドアから乗りこむ点、値段が500万円以上もするなど、頸髄損傷
者にはまだまだ使い勝手が悪くリアリティがないと忠告してきた。もっと多くの仲間
の細かいニーズを把握することが必要だろうと思われた。 

  そのため、1998年10月から支援者らに発行されている「JOY-VAN通信」と
いうニュースレターで、1998年末から1999年3月にかけて渡邊氏らは10000人アンケー
トを実施した。運輸省と社団法人日本自動車工業会から異例の後援名義をもらえたた
め、全国規模で関係者(脊髄損傷、頸髄損傷、脳性マヒ、筋ジストロフィー、骨形成
不全など)を網羅することができた。その集計結果をまとめたものがこの大版の冊子
である。大勢の車いす支援者を写した表紙の写真がなかなかよい。

  アンケートは居住地域、年齢、性別、障害の種類、介助、生活形態、使用道具、
友達、相談相手、外出、移動手段、自動車免許、取得場所、適性検査、検査の問題
点、社会をよくする方法、社会的障壁、電動車いすの問題点、バリアフリーの認知度、
自動車の必要性、交通期間の不備、ジョイプロジェクトの認知度、電動車いすのまま
乗りこめる車の必要性、ジョイスティックの必要性、公的補助の必要性、などについて、
「個人」「通所作業者」「施設入居者」別に訊いている。円グラフも大きくてわかりやすい。

  巻末に回答者からのコメント集が載せられていて、いかに彼らの要望が切実なも
のであるかわかる。関係者には貴重な資料となるだろう。ちなみに見開きの用紙を束
ねただけで閉じられていないので、読みやすいとも読みにくいとも言える。





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