「車椅子の上の夢」

★ 書名

 「車椅子の上の夢」

ジャン・ハイディー
(張 海迪)著
飯塚 陽 訳、

新潮社、1994年


★ 書評 (中島)

(筆者紹介)

  張海迪氏は脊椎血管瘤で下半身不随、作家、医師、翻訳家、一九五五年、中
国山東省生まれ、五才で発病、十四才で両親の下放にともなって寒村へ、独学で
医師をつとめる、山東省身障者連合会副主席、自伝「車椅子の上の夢」。


(内容)

  毛沢東指導による中国の文化大革命のさなかに、幼い障害者として過ごさなけ
ればならなかった作者の、友人たちや地域との思想的確執、誤解、やがて理解、
勉強、協力などを綿密に描いている。


(中島評)

  何よりもあの悪名高い文化大革命のさなかに、多感な少女時代のみならず車
いす生活を過ごさなければならなかった点が、私たち平和な日本に過ごしてきた
障害者には興味をそそられる。彼女はほとんど家の中のベッドに寝たきりだった
のだが、窓の外を行き来するおない年くらいの子どもたちのさんざめきに耳をそ
ば立てる。やがて向こうも好奇心を抱き、おそるおそる顔を覗きにくる。そうして交
流が始まり学校の勉強も伝えてもらう。

  しかし文革の厳しい言論統制の中で物の言い方にはくれぐれも注意しなければ
ならなかった。まして障害者福祉への要望など簡単には望めない。何をやるにし
ても回りの厚意にすがるしかない。そういうあり方に少しずつ疑問を感じはじめ
る。そこからが茨の道となる。




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