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(書評・中島虎彦) 別名「われら自身の声」といえば覚えのある方もおられよう。障害者運動の前線を伝えるものだが、いくぶん政治的な傾向も帯びていたような気がする。 以前のタブロイド版からいつのまにか「DPI」と名前が変わり立派な冊子になり、表紙のデザインもカラーのビビッドで洒落たものに変わっている(おそらく障害者自身の描いたCG(コンピューター・グラフィック)を使ってあるのではないだろうか。頚髄損傷にも群馬の上村数洋氏など早くからCGを描き雑誌に採用されている例がある)。 ちなみに、Dはdisabled 、Pはpeople’s、Iはinternational の頭文字である。「国際的障害者」とでもいうニュアンスだろうか。世界的組織の日本支部である。脊(頚)髄損傷関係では東京の三沢了氏や今西正義氏らが関わっておられるようだ。 今号の特集は最近何かと話題に上ることが多くなってきた「障害者自立支援法」。いろいろと問題の多いらしいこの法案が、今年(2005年)の5月11日に国会に上程され、いよいよ審議されようとしている。不勉強ながら私は詳細についてあまり知らなかった。 しかしそれに対してすでに自立生活を送っている障害者たちや、さまざまの障害者団体から異論が出されているし、大阪などでは予想外に大人数の抗議集会なども行われている。一昨年の「支援費制度」のときの盛り上がりをほうふつとさせる。 さて、そこでDPI日本会議事務局長の尾上浩二氏が問題点を整理して論じている。具体的にいうと、次のような点らしい。 @ 障害者(児)の定義があいまい。難病の患者が置き去りにされる。 A 市町村の審査会と障害程度区分に障害者自身の参加が必要。 B 移動介護の支援が再編されて不自由になる。 C グループホームが再編されてその生活援助が不足する。 D 応益負担の導入で障害者の生活が苦しくなる。 E 国庫負担金と上限問題が不透明である。 伝えきくところでは、今回も障害当事者たちの話をきかず、官僚たちが密室で強引に決めようとしていることが全国の障害者たちの反発を買っているようだ。お役所というのは(前回あれほど騒動になったにもかかわらず)何と学習能力のないところだろう。彼らにしてみれば『わがままで世間知らずの障害者たちに代わって、常に日本全体のことを視野に入れて立案している私たちに任せておけばいいのだ』とでもいうような、変なプライドが邪魔をしているのではないだろうか。 確かに彼らは優秀だし、日本の針路を握っているという自負があるのだろう。『鳴り物入りで導入した介護保険制度が数年ももたずパンク寸前になっているのは、高齢者や障害者たちが必要以上のサービスを要求してきたからだ、ことほどさように彼らの言うことを無制限に聞いていたら日本の財政はとんでもないことになる。彼らがまたうるさいことを言い出さない前にこっそり通してしまおう』とでもいうような本音が透かしだされる。 なるほど日本の財政難は深刻な状態だ。障害者たちも理を尽くして説得されれば全く聞く耳を持たないわけではないだろう。本当に国民全体が痛みを分かち合う必要があるのなら、しぶしぶながら従うにやぶさかではあるまい。 ところが最近の厚生労働省や社会保険庁ほかの税金の無駄遣いや、天下りの贅沢三昧は目を覆いたくなるほどひどい。道路公団などの無駄な公共事業もなくならない。国会議員も法外な議員年金を改めようともしない。既得権益を一度手にした人間がそれを手放すことはいかに難しいか思い知らされる。(障害者の中にもそれはあるかもしれない)。 そんなありさまを見せつけられて、国民や障害者たちが素直に痛みを分かち合う気持ちになれるだろうか。その前に襟を正さねばならないところがあるんじゃありませんか、とみんなは思っているのである。実際、どこぞの無駄なダム建設を一つ減らせば、無年金者救済問題の財源なんかとっくに捻出できているはずだ。 まあ、ここで憤ってもどうなるものでもないが。その他、メインストリーム協会の佐藤聡氏らがエッセーを寄せている。「太りすぎ」の悩みで、こちらも私などには身につまされる。 |