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4.調査の概要と結果
1 調査対象者の特色――基本属性に関する集計結果
【回収率からみると】
約1か月の期間で、「事例調査」の約47%、「統計調査」の30%近くという回収率数字は、わが国の障害者に対する郵送アンケート調査としては、比較的高いと見られる。これは、「日本せきずい基金」、「全国脊髄損傷者連合会」がその会報であらかじめ、実施予告と協力依頼を報じたことの効果と、患者のこのテーマに対する一定の関心の高さを示していると考えられる。
一方、「痛み」の問題に対しては、「痛みのない人」は関心が低く、「厳しい痛みを抱えている人」は質問票に答える余裕はない、という傾向がある。したがって、「痛みのない脊損者」と「最も厳しい痛みを抱える脊損者」からの回答は比較的少ないと考えられ、これらの意見が十分反映されていない可能性は否定できない。
【基本属性集計から見ると】
以下は「統計調査」の集計・分析にもとづいて論ずることとする。男女差では、男性が圧倒的に多い。外傷性と非外傷性の区別では、外傷性の方が圧倒的に多い。男女差は損傷原因を反映し、男性の方が受傷する機会が多いためと考えられる(表2、グラフ1)。
外傷と非外傷の差は、もともと外傷性に比較して、非外傷性脊髄損傷の発生数が少ないうえ、非外傷性の当事者は疾患ごとの「友の会」を結成することが多く、既存の脊髄損傷当事者団体に加入するケースは少ないためと言えよう。また、非外傷性脊損の統計自体が公的にもきわめて不備である。今回協力を得た代表的な当事者団体でも、非外傷性脊髄損傷の実態を把握することはむずかしい。発現する脊髄症状は、外傷も非外傷も同様である。
現年齢別では、3歳(母代筆)から84歳まで、すべての世代にわたるが、50歳以上が70%以上と高齢者が多く、受傷した時代は1980年代までが大半である。MRIが全国的に使用され始めるのが、80年代終わり頃以降であることを考慮すると、損傷部位や麻痺の診断にはある程度のぶれがあることが想定できる。受傷時年齢は比較的若く、20代が29.1%、30代が22.7%である。そのため損傷歴年が長い脊損者が多い。損傷歴30年以上が28.3%、25年以上が39.1%、20年以上で過半を占める。損傷原因の首位が転落で、自動車事故を超え、落下物や倒壊物が原因の場合と合わせると54.4%になることから、回答者の多くが、高度成長期やバブル期の青壮年期に労働災害・事故によって脊損になったと推測させる。より若い世代には交通事故やスポーツ事故の比率が増える(グラフ2,3,4,5)。
また、比較的若い脊損者は、「全国脊髄損傷者連合会」等の患者団体に組織化されない傾向がある。受傷後あまり年月の経ていない患者は患者団体の存在を知らないことも多い。また、頸髄損傷者、とくに高位頸損者は「脊損連合会」よりも「頸損連絡会」に加盟している傾向もある。「頸損連絡会」は、今回アンケート実施団体には入っていない。
したがって、この回答は、全国10万人といわれる脊髄損傷者(平成13年厚労省調査の最新全国調査)のすべてに一般化することはできない。
しかしながら、「日本せきずい基金」、「全国脊髄損傷者連合会」は代表的な当事者団体であり、「痛み」に関して偏りがある団体ではない。さらに、疼痛・異常知覚の調査という観点からは、受傷歴の長い脊損者がサンプルに多く含まれている方が望ましい。受傷歴が長ければ長いほど、自らの麻痺や異常知覚を対象化できているケースが多く、疼痛や異常知覚のさまざまなパターンを検出できる可能性が高いことに加え、受療経験も豊富であると考えられるからである。本調査対象群は、上記のような限界を持ちながらも、調査目的に適合していると言えるだろう。
【グラフ1】 性別 (N=1,659)NA(無回答)
【グラフ2】 現在の年齢 (N=1,659)
【グラフ3】 受傷・罹病時の年齢 (N=1,659)
【グラフ4】 損傷・発症年 (N=1,659)
【グラフ5】 損傷歴 (N=1,659)
表2 回答者概略
回答者の特色 回答者数(%) 回答者総数 1659 男性
女性1407(84.8)
235(14.2)損傷の原因
外傷性
(外傷の原因)交通事故
転落
落下物に衝突
倒壊物に潰される
スポーツ事故
転倒
その他
NA(無回答)
非外傷性(疾患、奇形、その他)
NA(無回答)
1414(85.2)
446(31.5)
507(35.9)
173(12.2)
89 (6.3)
88 (6.2)
38 (2.7)
96 (6.8)
18 (1.3)
161 (9.7)
84 (5.1)損傷部位(脊椎ベース)
頸椎
胸椎
腰椎
その他
NA(無回答)
470(28.3)
635(38.3)
351(21.2)
48 (2.9)
286(17.2)