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 マウスピースの起源は1530年のイタリアで、ふいごを使って口のところで換気を補助したのが始まりです〔図75〕。このように換気すると、当然下がっていた酸素が上がって、上がっていたCO2は下がると思います。

75. 煙突ふいご(chimney)によるマウスピース換気は1532年にParaselusにより初めて使用された。
図75

 たいてい患者は、換気が足りなくなると一生懸命努力して呼吸を補助して、換気をアップすると思います。これは少しの時間はいいのですが、長くなると疲れて結局換気を維持できなくなります〔図76〕。もしそうして疲れてきてしまうのなら、そうするよりか、マウスピースを加えて酸素飽和度が95%を超えるまで深呼吸をしてはいかがでしょうか。

76. 呼吸筋の弱い患者は、短時間強く呼吸することにより肺胞換気を正常化することができるが、これを続けると疲れてしまう。疲労、高炭酸ガス血症、酸素飽和度低下を避けるため、マウスピースを通して必要とされる量の空気を吸入する。
図76

 マウスピースの使い方は人によってさまざまでしょうが、1分間に2、3回吸う人もいれば5分に1回吸う人もいれば、あるいは日中30分だけこれをしてあとは疲れないでいる人もいるでしょう〔図77〕。

77. 空気は簡単なマウスピースを通して送られる。
図77
78. この患者は47年間持続的にマウスピースIPPV(間欠的陽圧換気)を使用した。
図78

 起きているときであれば酸素飽和度が95%を下がらないように、自分で好きなように換気補助をすればよいでしょう。


 この患者は自分で車椅子にマウスピースをセッティングしておけば、自分で好きなときにいつでも深呼吸をすることができます〔図79〕。彼女は自分で呼吸はできないのですが、40年これをやっています。

79. この患者は電動車椅子の呼気コントロールに近接して設けられたマウスピースを使用して、51年間持続的にマウスピースIPPVを使用した。
図79


 彼女は電動車椅子の操作をチンコントロールとマウスでやって、苦しくなるとマウスピースで換気補助をしています〔図80〕。この患者も気管切開チューブをすることは必要ないと思います。

80. この患者は電動車椅子のチン(顎)コントロールに近接して設けられたマウスピースを使用して、48年間持続的にマウスピースIPPVを使用した。
図80

 この方はほっぺたまたはチンコントロールでの電動車いす操作とマウスピースを併用できます。


この方は電動車椅子にテレホンホルダーでマウスピースをセッティングしています〔図81〕。

81. この患者は18年間持続的にマウスピースIPPVを使用している。患者はマウスピースを口の近くに持っておくため電話ホルダーを使用している。
図81

 もしマウスピースをくわえていて、たまたま昼寝をしてしまったときには、エアが漏れて酸素が下がってCO2が上がると思います。でも患者はマウスピースを落としてしまうということはありません〔図82、83〕。

82. 患者がマウスピースを口に入れて眠っている時は、空気漏れが多すぎてCO2は増加する。
図82
83. これが引き金となって、脳が働き反射活動で空気漏れを止める。補助換気が再び有効的となり、血液ガスは正常化する。
図83

 ただ、中には酸素飽和度がかなり下がってしまう人もいます。どうしてもマウスピースではエアーリークして酸素が下がってしまい重症になる人はリップシールを使えばよいと思います〔図84−86〕。

84. この結果「のこぎり歯状」パターンの酸素飽和度低下が起きる。
図84
85. 酸素飽和度低下のなかには重大なものもある。
図85
86. その解決方法はベネット式リップシールの使用である。
図86
これによって寝ていたとしても酸素飽和度はずっと正常に保つことができます。


 これは新しいタイプのインターフェースですが、まったくベルトもなしでこれを口に入れてリップシールのように使うと、リップシールと同じ効果があります〔図87〕。

87. これにより口からの空気漏れは防止される。
図87
88. 肺胞換気は睡眠中に有効である。
図88


 このオラクルというマスクは、舌に当てる部分が付いているのですが、意外とこれはじゃまなので患者によっては切ってしまっています〔図89〕。

89. 新式リップシールはオラクルのもの。
図89
90. 現在その評価を行っているところである。
図90
91. アクリル製のリップシールは歯にぴったり合わせることができ、
図91
92. 口の周りをぴったり覆うことができる。
図92

 どうしても市販のものがあわない人はカスタムメイドで、その人に合った型どりをしてリップシールを作る人もおります〔図101−108〕。バイトプレート[咬合床]をもったタイプですね。特に固定にはベルトは必要ありません。


 彼は1953年に脊髄損傷になりまして、1982年に初めて呼吸不全ということで呼吸器内科を受診しました〔図93-94〕。

93. この脊髄損傷患者は自分の肘を曲げて、リップシールを着脱することができる。
図93
図94

 この方は呼吸不全ということで20回ほど気管内挿管をされていました。また、ネガティブタイプ、つまり陰圧式人工呼吸器を使ったりしていました。陰圧式だと上気道が閉塞してしまうので、夜間に何回も閉塞性の睡眠時無呼吸を起こしていました。そして6年間に9回も気管内挿管をされてしまいました。

 それからようやく彼は私のところを訪れました。そのときに、O2が低くCO2が高いということが、日中も夜間もあることがわかりました。彼はリップシールを使うことになったのですが、リップシールの一番の問題は、何かあったときに自分ではずせないと危険ということです。しかし、彼は何とか腕を曲げることができるので、それで仕掛けを作り、苦しくなって排痰をするとかしゃべりたいときには、じぶんではずせるように工夫しました〔図94〕。リップシールを使うようになってからは、もう10年間入院をしていませんし、もちろん気管内挿管もしておりません。日中はマウスピースを使って彼は深呼吸もしています。


 この患者は気管切開チューブをしていたのですが、病院ではどうやって人工呼吸器から離脱しようかと6ヶ月間やってきました。ある病院では6ヶ月間、人工呼吸器からまったく離脱できず気管切開だといわれていたのですが、私のところにきたときにはすぐに気管切開カニューレを抜いて鼻マスクの人工呼吸にしました〔図95〕。

95. この患者は抜管して日中はマウスピースを通して送られる持続的非侵襲的換気に、夜間は鼻インターフェイスに切り替えられた。
図95
96. この多発性硬化症患者は人工呼吸器からの離脱前に、100mlの低肺活量で4日間持続的な鼻マスク換気が必要であった。
図96
97. この患者の平均酸素飽和度は自発呼吸の睡眠中に55%、鼻換気を使用して95%であった。
図97

 もちろん、鼻マスクの人工呼吸はマウスピースと同様の効果があります。でも鼻の形は人さまざまですから、たった1つのマスクで全員にそのマスクがフィットするとは考えないでください〔図98〕。

98. 人の鼻の形はそれぞれ違います。いろいろな型の鼻インターフェイスを使用することが大切である。
図98

 いろいろなマスクがあります。特に赤ちゃんではいいマスクがないので、これは私のところで工夫して作ったマスクを使用している方々です〔図99〕。市販のマスクがどうしても合わない方はかたどりしてこのようなマスクを作製しています。

99. 年齢が6ヵ月未満の幼児に対する市販のCPAP用鼻カニュラを改造した鼻インターフェイスである。
図99
100. 理想的なインターフェイスは空気漏れがなく快適で手入れを要しないものでなければならない。
図100
理想的なインターフェイス

・ リークが自由であること。
・ 快適であること。
・ 管理しやすいこと。
101. これらは特注の鼻インターフェイスの見本である。
図101
図102
図103
図104
図105
図106
図107
図108


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