| 全米希少疾患患者組織(NORD)の活動について |
1.NORDの基本的スタンス
患者中心の医療を推進する
- 患者は消費者である。
- 製品を購入する際、誰でも次の3つを求める;品質・満足・選択肢
- 消費者は団結して声をひとつにした時、最も強い影響力を発揮する。
2.NORDの歴史
- 1970年代、慈善事業を通じて希少疾患の調査研究資金を集める。
- 学術研究者が治療薬を発見しても、製品化する製薬会社がなかった。そのような事態に対する対応策が必要であった。
- ある1つの希少疾患の患者に対しては誰も耳を傾けないが、全ての希少疾患の患者が集まれば、非常に大きな経済的・政治的力を持つ。
稀少疾患患者グループの声からは以下の問題点が明らかである。
経済的問題――医療的サービスの需要と供給が中々マッチしない。
人権の問題――希少疾患患者は、マイノリティーである。
政治的問題――自分自身が希少疾患にかかることを懸念している者はいない。家族が希少疾患にかかって初めて問題を認識する。従って中々政策問題になりにくい。
- NORDの非公式組織時代:主として以下の活動に力を注いだ。
○啓発活動――希少疾患の問題を一般大衆と政治家に対して教育
○「オーファンドラッグ法」の議会承認を目指す。
注)オーファンドラッグとは、希少患者向け薬剤を開発できるよう優遇税制や独占販売権などのインセンティブを行うもの。
以下のような薬の開発に対して経済的インセンティブを与える立法である。
@薬を必要とする患者が少ない。
A新薬の研究開発には多額の資金が必要である。
B利益を上げる可能性がほとんどないか、あるいはまったくない。
即ち、経済的問題に対する経済的解決である。例えば、7年間の独占販売権、臨床研究に関する優遇税制、患者負担ゼロ、小規模な研究に対してのFDA(食品医薬品局)による承認の迅速化、等々。
- このような活動の成果として、 数千人もの希少疾患患者から、支援を求める声が寄
せられるようになる。- 1983年、「オーファンドラッグ法」成立。公式の連合会としてNORD誕生。
- 数千人もの人々が1つの目標に向けて力をあわせることへの動機が生まれる。
- 1993年、日本のオーファンドラッグ法が成立
- 2000年、欧州連合による希少疾患治療薬に関する法整備。
- 広がる各国の対応;オーストリア、韓国、台湾、シンガポール、他。
3.NORDに対するガバナンス
- 半分(51%)が非営利患者組織の代表者、半分(49%)が個々人の患者。
- 問題点:個別の希少疾患の患者数は全米で20万人以下。
6000種類に及ぶ希少疾患の患者数を合計すると全米で約2500万人。
4.NORDのミッション
- 教育プログラム、調査研究、アドボカシー(権利擁護)活動、患者サービスを通じて、「希少疾患」の発見と処置、治療を支援する。
(1)教育活動
目的:医療機関の誤診を防ぎ、どこで治療を受けるかを患者に示すこと。
○ ウェブサイト 希少疾患データベース
オーファンドラッグ・データベース;承認薬240、指定薬900
希少疾患関連組織データベース2000件○ 出版物 NORDリソ−スガイド
NORD希少疾患ガイド(4人の医師が執筆、LWW.com )
小児科・内科医向け個別小冊子○ 医学的質問に
対する回答遺伝子や遺伝性疾患に関する常勤の相談カウンセラーを
配置して対応。
(2)調査研究活動
○ 若手研究者にたいして希少疾患に対する研究を奨励し、新しい治療方法と治療薬の開発を進める。 ○ 学術研究者にたいして臨床研究のための助成金、研究奨励金を給付する。
(3)アドボカシー活動
○ 常設のワシントンDCオフィスによるロビー活動。 ○ 全ての希少疾患に共通の問題への取組み。
例)調査研究のための資金調達、オーファンドラッグの開発、保険制度問題○ メンバー組織に対する医療技術面での支援。
(4)患者サービス
○ 治療以外の質問に対する回答(保険、生活・就業上の不都合、人権問題など)。 ○ 医療保険に加入していない低所得者の患者に対する治療薬の無料提供。 ○ 患者が遠方の治療機関、検査機関に行くための旅費の支援。
5.NORDのメンバーシップ
2種類のメンバーシップ:○個人会員、○組織会員(全米レベルの組織、小規模組織)。
6.NORDの資金源(年間予算400万ドル・4億円以上)
会費、献金、ロイヤリティ(印税・データベース利用料)。
財団および企業からの寄付金。 例)全米の小児科医に冊子を送るための寄付を企業に募る。
契約上の資金(政府・業界)、イベント(資金集めパーティなど)、遺贈。
7.すべての患者支援組織に関係する問題
- リーダーシップの質;対外的に責任の共有を求める。
- 調査研究とサービスに対する資源分配の衝突をどうするか。
- 役員会は方針の決定を行うが、運営管理の細部に関与しない。
- 資金調達。
絶対に1ヶ所の資金源のみに依存しないこと(多様化すること)。
献金に関する諸問題(文化的限界、税制上の優遇措置のあり方)を考慮。
イベント:ゴルフやボーリングのトーナメント、ディナーショーなど
(何らかのイベントを行っていくこと)
財団、政府、企業(製薬会社に限定しない)からの寄付金や補助金。
遺贈、調査研究のための寄付金、特別教育プログラムのための寄付金。
− 資金調達上のヒント −
- 寄付金を何に使うかを、寄付者に明確に伝えること。
- 具体的なプロジェクトを計画してから寄付を募ること。
- 改善すべき点は何かを考えること。ヘルスケアシステムや医療関連の職業制度、大学や企業による調査研究活動、税制の中で何を改善すべきか、等々。
| 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「たとえ小さなグループであっても、 深い思慮と強い決意をもった市民が集まれば、 世の中を変えることが出来ると、信じて疑わないこと。 事実、過去において、 それが世の中を変えてきた唯一の主体であった」 ――人類学者 マーガレット・ミード 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 |