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第4回脊髄再生研究促進市民セミナー
「骨髄由来細胞の移植による脊髄損傷の治療」
2004-10-16セミナー記録(JSCF事務局編)
AM10:00−12:20 (神宮前)こどもの城・801-804会議室にて
報告者: 鈴木 義久(京都大学形成外科助教授)
井出 千束(京都大学機能微細形態学教授)
福島 雅典(京都大学探索医療部教授)
中谷 壽男(関西医科大学救急医学科教授)〔順不同、敬称略〕
《はじめに》
大濱〔基金理事長〕:今日は「骨髄由来細胞の移植による脊髄損傷の治療」ということでお話しいただきますが、再生医療においては現在さまざまな細胞ソースが取り上げられています。話題になっていますOEC〔嗅神経鞘細胞〕、間質細胞、もちろん幹細胞もその1つですが、再生医療のためのさまざまな細胞ソースがあるということで、私たちはとても期待しているわけです。今後どのような形で実現するかはまだ不明ですが、私自身も含め脊髄損傷の仲間がみんな治りたいという思いで大きな期待を抱いております。
今回のセミナーでは、脊髄の再生研究がどのような形で現実味を帯びているかを先生方に詳しくご説明いただきたいと思います。
今日はその前に、皆さんご存知のように先だってクリストファー・リーブ氏が亡くなりましたが、彼はいろいろな意味で私たちにとって象徴的な存在でした。脊髄の再生について彼自身非常に前向きな考えで取り組んでいたわけですが、残念ながら亡くなられました。この件に関して私たちの国際関係の執行役員である広瀬のほうから若干報告させていただきます。
広瀬〔基金副理事長〕:皆様ニュースでご存知のように、映画「スーパーマン」の俳優であるクリストファー・リーブ氏が今月の10日に心不全のために亡くなられました。彼は我々と志を同じくして再生研究を応援し前進させてきた実績を持っていたのですが、我々基金の設立イベントに際しても、ビデオメッセージを特別に寄せていただいたという経緯がありますので非常に残念なことだと思っております。ICCP、International Campaign for Cures of Spinal Cord Injury Paralysisという脊髄損傷の治癒を目指す世界的な団体がありますが、オーストラリア、アメリカ、カナダ、イギリス、フランスの団体、そして今回我々も参加することになりました。我々は国際的な交流や情報交換に非常に力強いグループに所属したのではないかと思っております。このICCPは中枢神経再生研究の推進、公的機関への研究支援の要請、あるいは脊髄再生による社会的コストの削減という経済的効果を強調することにより各国政府機関への再生研究促進を要請するといった活動をやっています。クリストファー・リーブ氏もこの中心的存在として活躍してきました。彼の死は何か、我々の力強い戦友を亡くしてしまったような感じで、非常にさびしい気持ちです。我々のお悔やみのメールに対しまして、クリストファー・リーブ基金からの返信を紹介します。
「我々も非常に悲しみに暮れている。あなたがたのご意志を彼の奥様と家族にお伝えします。さらに、彼の遺志をついでこれからも、彼が信じて行ってきた活動を引き続き行います」
ここで彼の冥福をお祈りし、ここで皆様と共に黙祷したいと思います。黙祷……
ご協力ありがとうございました。
大濱:それではこれからセミナーに入りたいと思います。先生方、よろしくお願い致します。
井出:京都大学の井出です。今日はこういう市民セミナーを開いていただいてありがとうございます。私たちは脊髄損傷の再生の研究を始めましてもう何年かになりますが、去年、関西医大の救急部の中谷先生のところで倫理委員が通りまして、臨床応用できるという状態になりまして、この1月、せきずい基金さんのお世話で、東京で説明会を開かせていただきました。今回、それを踏まえて細胞の培養及び厳密なプロトコルというものをはっきりさせまして、改めて臨床応用の前段階に到達したという状態でございます。今日はその前にまたこうした市民セミナーという形で説明会を開催していただきまして本当にありがとうございました。そういう意味で私たちのやってきた研究の概要、また今後どのようにやっていきたいのかを説明させていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。
鈴木:今日は朝早くからおいでいただき、またこういう説明の場を与えていただきまして本当にありがとうございました。それでは私たちが今まで進めてまいりました研究についてお話させていただきます。
まず、どういう経緯で骨髄間質細胞というものを使うに到達したかについて、実験的データをもとにご説明させていただきます。私たちは共同研究者の井出からお話がありましたとおり、10年以上前から脊髄再生の研究を始めまして,
いろいろな物質あるいは細胞を使って研究をしてまいりました。まず人工材料というもので、海にいる海草の一種である褐藻類という多糖類から抽出した人工材料を用いて脊髄の再生の実験を始めました。その後、神経幹細胞を使う実験を始め、今も続けております。そして今日メインにお話しする骨髄由来の間質細胞についても研究をしてまいりました。また最近、骨髄由来の単核球の働きを詳細に調べております。また骨髄由来の細胞を特別な方法で神経系の細胞に分化させたものを移植するという方向性でも並行して研究を進めております。
こういう全体的な研究の中で、今回なぜ骨髄間質細胞というものをまず最初に我々が臨床応用することに至ったかという理由をご理解いただくために、これらの研究の概略をご説明させていただきます。
《人工材料による脊髄再生研究》
まず人工材料を使った脊髄再生の研究を我々はしてまいりました。動物からとったコラーゲンなど、いろいろな人工材料を使ったなかで一番再生に適しているのはアルギン酸スポンジである、ということになりました。このアルギン酸スポンジというのは海草から抽出した多糖類を中心にしたものです。それを特殊な方法で改良すると小さな孔がたくさん空いたスポンジ構造の材料に加工することが出来ます。この材料は生体内で分解吸収性があり、これを脊髄の損傷部(ギャップ)に移植しますと、ある一定時間がたつと生体内で分解され消滅します。その生体内で分解するのと並行して脊髄の再生が起こるという物質です。
では実際に人工材料でどのように研究したかを述べていきます。ラットの脊椎(背骨)を開いて白く見える部分が脊髄です。露出させた脊髄をある部分でカットして約2mmのギャップを空けます。ここの脊髄を再生させる目的で、走査電子顕微鏡で示しましたがスポンジ状構造の生体吸収性のアルギン酸スポンジをその部分に埋め込みました。このあと組織学的に詳細な検討を行いました。再生部分を共焦点レーザー顕微鏡で、免疫染色をカラーで表示する装置を使って観察すると、先ほどのスポンジ構造が黒く抜けて見えます。これがまだ吸収されていないアルギン酸があるところです。そこに赤で示したグリア系細胞がアルギン酸材料の隙間を再生していることが確認できます。グリーンで示した部分は軸索、神経の突起を免疫染色したものです。すなわち脊髄を切り取った間隙に埋め込んだアルギン酸スポンジの隙間を神経の突起が伸びている、つまり神経の再生が得られていることを示しています。
その倍率をさらに上げて電子顕微鏡で観察すると、ギャップの中を再生している神経の突起が見えます。周りの人工材料の中をうまく再生しています。
また別の評価法では、特別な抗体−−つまり錐体路、大脳皮質の運動野から脊髄を下行するファイバーが選択的に染まるという抗体を使って赤で染色してみました。これは人では運動知覚、例えば手を動かしたいとか歩きたいと大脳皮質の運動野で考えたときに、そこにある神経細胞から命令が出て脊髄を下行し脊髄の前角細胞でシナプスを起こすというファイバーです。このモーター・ファイバー〔運動神経線維〕を染色したところ、アルギン酸で再生させたギャップ、つまり脊髄の間隙のところにも縦に流れるファイバーが確認できました。ファイバーが回復している、再生しているということがラットで証明されたわけです。
それでは再生したファイバーが下行して前角細胞でどのようにシナプス結合が行われているか、次の細胞にバトンタッチしている様子を見るために、電気生理学的考察を行いました。再生したファイバーが次の細胞にバトンタッチしていることが電気生理学的評価でも確認できました。
そういうことで、我々は最初、人工材料で脊髄の再生を試みていましたが、ラットの最初の実験のスライドから分かるように脊髄を完全に切ったギャップを作って埋め込むということで、こういう人工材料を現時点で使うにはヒトへの臨床応用を考えるに当たっては現実にそぐわないという問題が生じてきました。
ですから次の段階として、最終的に患者さんに応用するにはどういう方法が模索されるかを考えたときに、ギャップを作って埋め込むのではなく別の方向性のアプローチが必要になります。
《神経幹細胞による再生研究》
そこで次に幹細胞というものを並列で研究してきました。神経幹細胞は一般に海馬とかあるいは現在では脊髄そのものからも得られるという報告がなされています。脊髄から得られた神経幹細胞を培養するとニューロスフェア――丸い塊になる性質がある――というものになります。赤で染色したものがネスチンと言われる、非常に未熟な、神経幹細胞に近い細胞を染色したものです。つまり、この丸いダンゴの中には神経幹細胞に近い、あるいは神経幹細胞が非常にたくさん含まれています。そして、この細胞はグリーンで標識されているラットから採りましたので、ここから採りだした神経幹細胞はすべてグリーンで標識されています。赤く見えるのがラットの脊髄ですが、隙間にグリーンで標識されている神経幹細胞を移植してみました。すると損傷部近くに、拡大してみますと非常にたくさんの細胞が生着し突起を伸ばしている、修復に与っている、グリーンの細胞が観察されました。つまり移植した神経幹細胞が周りの脊髄の組織に非常に多くの突起を伸ばして再生に有効に働いているような像が得られました。
今お話したのは脊髄の損傷部に直接ニューロスフェア=神経幹細胞を注入する方法でした。こういう脊髄に直接注射針で注入する方法は、すこし現実にそぐわないのではないかと我々はそのときに考えました。どうしてかと言いますと、この注入操作をするだけのためにもう一度脊椎を開けなければならないという大きな手術が必要になります。
現在行われている中国の方法(OEG移植)あるいはイスラエルで行われている移植の方法(活性化マクロファージ療法)も脊椎をはずすという大きな手術が必要になってきます。できるだけそういう方法でないほうが患者さんのベネフィットは大きいのではないかと我々は考えました。それともう1つは、脊髄に直接針を刺して細胞を移植するという方法では、中枢神経系は絹ごし豆腐のようにとても柔らかい組織ですから、その操作自体でまた新たなダメージを作るのではないかと我々は推測しました。
そこでできるだけデメリットをなくすために考えた方法が、脳脊髄液内に注入することによって移植した細胞が損傷部に到達することができないかどうかということです。
それをラットのモデルで述べていきます。ラットの第四脳室というところに脳脊髄液が溜まっている部分があります。そこに培養した神経幹細胞を注入すると、脊髄の表面を流れ移植した細胞が損傷部を自ら見つけてそこに修復作用を及ぼすのではないかと想定しました。その結果ですが、脳脊髄液内に注入したグリーンで標識している神経幹細胞は自ら損傷部を認識し、損傷部に入り込んで修復に関与するということが分かりました。さらにくわしく見ると、移植した神経幹細胞が損傷部の上に貼り付いているのが分かります。脊髄の表面に貼りついているこの神経幹細胞はちょうど脊髄の損傷部に自ら遊走していっている。それだけでなく、移植した神経幹細胞がアストロサイトというグリア系の細胞に分化していることが分かります。
ただここで私たちは問題点を少し発見しました。神経幹細胞を移植して3日目の、5日目、7日目、21日目の写真を示します。脊髄の表面に茶色でドット(斑点)のように見えるのが移植した細胞です。今回は茶色で発色するよう染色してみました。この茶色の像をよく見ますと、3日目より21日目になるとかなり増殖します。これを我々のグループは1年以上追跡してみましたが、やはり移植した幹細胞の増殖が止まらないと。ですからここで、私たちはこの神経幹細胞の実験を続けることは、果たして臨床応用という面で近い将来できるものかどうか、ハタと考えました。何をおいても、神経幹細胞を臨床応用できるためにはこの増殖を止めなければならない。どんどんどんどん増殖していくことは、いわば良性腫瘍に近い。腫瘍的な増殖をするのではないか、と考えました。
ですから、研究としては現在も続けておりますが、まだまだこの増殖する過程をどこかでストップさせるメカニズムも同時に研究しなければ、なかなかヒトへの臨床応用は出来ない、と我々は考えています。
増殖をコントロールできなければ神経幹細胞あるいはES細胞のようなものを人に使うことはなかなかむずかしいと考えております。これらの倫理的問題については後ほど福島先生のほうからお話があると思います。
《骨髄間質細胞による再生研究》
臨床応用により今すぐ患者さんを助けることができるのに何があるかを考えた場合、自らの骨髄系の細胞を使うことがよいのではないかと考えました。骨髄系の細胞というものは、フリーのボーン・グラフトつまり骨移植という方法が世界中で何十年も前から行われています。例えば、骨折したところに自分の骨を移植することは非常に昔から行われ、その方法は安全性が確立しております。
そこで、骨髄の骨細胞中の一部の細胞を使ってみようと考えたわけです。ラットに骨髄間質細胞を脳脊髄液経由で注入してみたところ、やはり同じように損傷部にグリーンで標識した骨髄間質細胞が遊走し、周囲の損傷部に有効な働きを及ぼしていることが分かりました。
実験結果ですが、軽い損傷と重い損傷で、骨髄間質細胞を入れたものと入れないものを比較しますと、軽症でも重症でもやはり、脊髄が損傷すると空洞が空きますから1つの見方として空洞のサイズを比較しますと、明らかに骨髄間質細胞を移植したものはダメージが抑えられ、小さい空洞しかできていないことが確認できます。
また行動解析ですが、ラットのBBBスコアという行動解析の指標がありますのでそれに基づいて評価してみました。重症のラットあるいは軽症のラットでも非投与群に比べて行動の回復パターンが良かったことが分かりました。ではなぜ骨髄間質細胞が有効に働いたかを調べるために、骨髄間質細胞を投与したラットの脳脊髄液の一部をとりまして、それを培養したニューロスフェア(神経幹細胞)に振り掛けるという実験を行いました。画像でみますと、非投与群には細かい突起が出ておらずもとのまま神経幹細胞が浮遊しています。しかし投与群には突起が出ていることが観察できます。つまり骨髄間質細胞を投与したラットの脳脊髄液にはこの神経幹細胞を分化させる働きがあることが分かりました。
1つの可能性としては、骨髄間質細胞から何らかの栄養因子つまり修復に与る分子が放出されて、このように再生に有効な働きをもたらしているのではないかと考えています。
《骨髄由来の単核球》
このほかにも我々は骨髄由来の単核球という間質細胞とはまた別の細胞の研究も行っております。骨髄の海綿骨を遠心分離で骨髄単核球のみの層を分離します。赤血球とかは別の層に含まれています。その単核球のみが分離された層をとりまして、それを脊髄の再生に利用する研究も行っています。
それをラットの脊髄の損傷部に脳脊髄液経由で移植しますと、やはり損傷部にグリーンで示しますように遊走することがわかりました。この骨髄単核球を移植した群は移植しないコントロール群にくらべて損傷が少なく、修復が進んでいることが分かりました。また行動解析でも非常によい結果が得られています。
《シュワン細胞》
別の研究としては、骨髄間質細胞からある特殊な方法で分化させたシュワン細胞を脊髄損傷の再生に使えないかという実験も並行して行っております。シュワン細胞は、神経細胞を支持するという働きのあるグリア系の細胞ですが、骨髄の細胞を神経系のシュワン細胞に分化させ脳脊髄液経由で同じように投与しますと、脊髄の損傷部に集積する傾向があることが分かってきました。
電子顕微鏡写真では、神経突起が見え、その神経突起の周りをミエリン〔髄鞘〕が囲んでいます。ミエリンを作るのが移植したシュワン細胞の役目なのですが、これが確かに神経の修復に関わっているということが現在までの研究でわかっております。
また同じように、行動解析しますとシュワン細胞を移植した群のほうがよい回復が得られています。空洞の体積も測ってみましたが、再生によい働きがあるのではないかと推測されるような結果が得られています。
このようないろいろな研究を行ってきましたが、これらの結果に基づきまして今回、実際に患者様に使う臨床研究として、この骨髄間質細胞がよいのではないか、という結論に達しました。
《臨床試験のプロトコル》
次に今回骨髄間質細胞を用いた臨床研究のプロトコル〔臨床試験実施計画書〕について細かく一連の手順あるいは操作法についてご説明します。
プロトコルのタイトルは「急性期脊髄損傷に対する培養自家骨髄間質細胞移植による脊髄再生治療の検討」です。今回は第T相、第U相の臨床試験ということで、実験計画書をまとめてみました。
全体的なプロトコルの概要は以下の通りです
1)目的、2)背景と根拠、3)移植細胞の情報、4)適格基準、5)診断基準、6)患者の登録方法、7)治療計画と治療変更等の基準、8)有害事象の評価と報告、9)検査目的と研究カレンダー、10)目標症例数と試験期間、11)エンドポイントの定義、12)統計学的考察、13)症例報告集の記入と提出、14)倫理的事項、15)プロトコルの承認、16)プロトコル変更の手続き、17)安全性(効果安全性委員会を別に設けてそこで評価していただく)・試験中止の条件、18)研究組織、研究結果の発表、参考文献。
《患者登録》
全体的な流れをご理解いただくためにシェマ〔模式図〕を作ってみました。まず今回の臨床試験は1次登録と2次登録に分けて患者様に理解していただくようなシステムをとっています。といいますのは、実際に関西医大救急部に脊髄損傷の患者様が運ばれてきた場合に、だいたい交通事故から数時間以内に運ばれてきますので、その時点では臨床試験のお話をしてもそれどころではない、という精神状態に患者様あるいはご家族があるということが想定されていますので、まず第1次登録としてこの試験の概要をご説明して、培養に使う細胞を採取することに対する合意を頂くことから始めます。第2段階として、正式に移植を受けられるかどうかの判断を約10日から2週間たったところでご説明して確認します。
第1回目の登録を1次登録と定義していますが、1次登録の適格基準は、
@ MRIという断層撮影を用いた画像診断により脊髄の部分的な損傷を認められた脊髄損傷患者を対象とする。 A 脊髄損傷による運動感覚機能の欠如、ASIAの機能障害尺度のA,B,またはC――フランケル分類の改良版ですが――の方を対象とする。 B 受傷後72時間以内に脊椎の修復・整復手術が可能な患者様に行う。 C 1次登録において15歳以上60歳以下の患者を今回の試験の対象とする。と定義しました。
1次登録ではこの登録基準に合致した患者様にご説明して、承諾を頂くことを第1次登録と致しました。登録された患者様には脊椎の整復手術を行います。その場合、腰骨から通常、骨が採取され脊椎の修復に用いられます。そこで採取した腸骨の周辺の海綿骨を培養施設〔神戸市の臨床研究情報センター〕に運びましてそこで培養させます。プロトコルでは108以上を目標としていますが、この数を目標に培養を続けます。この間に1週間から10日かかる予定です。その間に、患者様の精神状態がやや落ち着くことを想定しておりまして、またこの間にもし可能であれば日本せきずい基金とかそういう患者様の団体の方との接触とか、いろいろな外部情報を患者様あるいはご家族が得られてよく検討していただく。そして第2次登録をここで行う。その間に培養は並行して行われています。
第2次登録の際の適格基準としては、
@ 培養によって移植に必要な間質細胞106個以上が確保された患者様、 A 受傷後3週間以内に移植が必要な患者様、 B 2次登録の3日前に脊髄損傷による運動機能または感覚機能の欠如の再評価が行われて、ASIAの分類のA,BまたはCが確認された患者様、
に対して行う。そして移植に対するインフォームド・コンセントをいただき、2次登録を行い、移植を行う。これが全体の流れです。目的・背景と根拠に関しては、先ほどの実験の説明でご理解いただけるものと思います。