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■ 文部科学省・角膜など再生支援

(毎日:2001-07-21)

文部科学省 角膜など再生支援 
4分野の医療研究 10年で約50億円

 文部科学省は来年度から、網膜や角膜、内耳、せき髄を再生する医療技術に対する本格的な研究支援に乗り出す。10年間に総額40〜50億円を投入し、これらの技術の確立を目指す計画で、来年度予算の概算要求に4億円を盛り込む。日本の分野の基礎研究で世界のトップクラスにあり、再生医療によって、多くの失明者や難聴者、せき髄損傷者が回復する可能性があるという。

 計画は、「フェニックス・プラン」と名づけられ、4分野のプロジェクトのリーダーが文科省の特殊法人、理化学研究所の委託を受ける形で研究する。

 各リーダーは、京大医学部の高橋政代助手(網膜)▽東京歯科大の坪田一男教授(角膜)▽京大医学部の伊藤寿一教授(内耳)▽慶応大医学部岡野栄之教授(せき髄)の4人。

 高橋助手は今年春、ラットの神経幹細胞に特殊な遺伝子を組み込んで培養し、網膜の細胞がつくるたんぱく質をつくらせることに成功。神経幹細胞はさまざまな神経細胞に分化する能力を持ち、損傷した網膜にこれを移植し、視力を回復できる可能性が出てきた。

 坪田教授は角膜のもとになる細胞を約150人の患者に移植し、角膜の上皮を再生させている。今後は角膜全体を研究室で再生し、移植用に提供したいという。

 伊藤教授は神経幹細胞をラットの内耳に注入し、感覚組織を再生させることに成功。岡野教授もラットの神経幹細胞をせき髄の損傷部分に注入し、一部の機能を回復させている。 

文科省では、角膜については移植用に年間5万枚程度を生産する技術の確立を目指し、網膜、内耳、せき髄は再生組織を患者に移植、機能を回復させるところまでいきたいとしている。【「新・神への挑戦」取材班】




■ 札幌医大・神経幹細胞を培養

(朝日:2001-08-08)

神経幹細胞を培養 
札幌医科大 献体を教育外利用

 札幌医科大学の研究グループが、解剖実習のために献体された遺体の脳組織から、多様な神経細胞を生み出す「神経幹細胞」を分離して培養することに成功した。この細胞は、脳こうそくなどで壊れた神経の再生・治療の基礎研究に使える。本来は医学教育用だった献体が、再生医学研究の進歩で、使われる目的が広がってきた。提供者の同意の必要性の有無などについて、国レベルの議論が必要となる。同大の本望修講師によると、使った遺体は、生前に献体篤志家団体「札幌医大白菊会」登録していた人のもので、遺族から改めて研究利用の了解を得ている。

 これまでに70〜90代の7人の、死後数時間以内の遺体の脳の側室と呼ばれる部分から細胞を採取。独自の方法でその中から神経幹細胞を分離し、培養することに成功した。培養細胞を脳こうそくや、せき髄損傷を起こしたサルの患部に注射したところ、症状が改善されたという。

 遺体からの神経幹細胞の培養は、今年5月に米国の研究者が初めて報告しているが、日本では初めてだという。

 同大倫理委員会は昨年5月にこの神経細胞再生の研究を承認、さらに今年7月までに、献体された死後約6時間以内の遺体の組織を使って、加齢に伴う脳の変化と、肩の関節の動きを調べる2研究の実施も承認した。

 献体法では、本人の意思表示が必要な献体の目的を医学教育の解剖実習に限っている。一方、死体解剖保存法では遺族の合意だけで遺体を研究利用できるとしており、遺体利用の解釈が分かれている。


遺体利用ルール きちんと議論を

《解説》

 欧米では、遺体を利用した研究は広く行われており、遺体の特定の組織だけを集めいてる研究機関もある。死後まもない遺体を使えば、再生医療に限らず人への臨床応用に直接役立つデータが得られる。

 しかし日本ではまだ、遺体を使った研究についての同意の取り方が徹底していない。札幌医大の村上弦教授(解剖学)が献体を受けている全国の施設を調べたら、同意を取る際に、研究利用を明示している施設は3割に満たなかったという。

 病死や胎児なども含めた遺体一般の研究利用に関して、死体解剖保存法は遺族の同意だけでいいとしている。しかし、この法律は50年以上前に作られたものだ。

 札幌医大が利用している献体は、「献体法」で定められているように医学系学生の人体解剖学習が目的で、研究利用を前提にしていなかった。

 文部科学省は「遺族から改めて同意をとれば問題ない」とするが、星野一正・京大名誉教授は「献体はあくまで教育が目的。研究に使うなら、生前に本人からきちんと同意をとるべきだ。遺族に本人の遺志は代弁できない」という。

 遺体の細胞培養が臨床応用されれば、脳神経やせき髄などの機能を修復させる可能性もある。それだけに基礎研究の段階から、遺体の組織・細胞を臨床利用することの是非や、提供者への同意の取り方などに関して、きちんと議論を重ねるべきだ。また、再生医学などの発展を考慮せずに制定された死体解剖保存法や献体法の見直しも必要だ。

                     (科学部 大岩ゆり)




■ 札幌医大:脊髄損傷、幹細胞移植で回復

(読売:2001-10-29)

脊髄損傷、幹細胞移植で回復 
ラット実験 札医大成功

 脊髄が損傷したラットに人の様々な神経細胞のもとになる神経幹細胞などを移植して運動機能を回復させることに札幌医科大学の本望修講師のグループが成功。患者にも応用可能とみられ、脊髄損傷の治療につながる成果と期待される。

 本望講師らは、脊髄の一部を切り取って、足の運動が不自由になったラットに、人間の胎児の脳と成人の脳、成人の骨髄から採取した三種類の幹細胞を移植した。

 三つの幹細胞のどれを使った場合でも、ラットは移植六週間後、歩いたり、走り回ったりするなどの運動機能が、約半分の水準ながら回復した。

 実際に治療後の脊髄を調べたところ、移植した細胞が、脊髄の神経細胞となって組織の修復に役立っていることが確認できた。

 本望講師は「三つの幹細胞には、増殖のスピードなどに差はあるが、ほぼ同等の成果が得られた。臨床尾用を考える場合、採取に倫理的な問題がなく、本人の細胞を使えて免疫拒絶反応の心配がない骨髄の細胞の利用が有力だろう」と話している。




■ 「骨のもと」から神経細胞

(読売新聞:2001-2-2) 

脊髄損傷など治療に応用へ 慶大グループ

 骨髄に含まれ、骨のもとになる「骨芽細胞」から、再生の難しい神経細胞をほぼ100%の高効率で作り出すことに、慶応大医学部病理学教室(秦順一教授)の研究グループが、マウスを使った実験で世界で初めて成功した。人間でも、この神経細胞を移植するなどの方法で臨床応用できれば、患者自身の骨髄を使うため拒絶反応の心配がなく、運動神経が調節できなくなるパーキンソン病や、事故による脊髄損傷治療などに活用できると期待される。

 梅沢明弘・同大助教授らは、骨や軟骨、心筋など様々な細胞に姿を変える間葉系幹細胞に注目。マウスの骨髄からこの細胞を採取、特殊な条件で培養すると、軟骨や心筋と共に神経細胞ができることがわかった。分析の結果、同幹細胞が骨の細胞に変わる途上の骨芽細胞が、神経細胞になったことが確認された。

 骨芽細胞だけを取り出し、神経を成長させる物質と一緒に培養したところ、四、五日後に神経細胞を構成する「細胞体」、電気信号の通り道となる「軸索」、信号を受ける「樹状突起」を形成。三週間後、神経伝達物質に反応を始め、神経細胞としての機能を確認できた。

 神経細胞は、一度損傷すると回復が難しく、事故の脊髄損傷、パーキンソン病などの治療の大きな障害になっている。神経細胞を再生、移植できれば、治療への可能性が大きく開かれるため、世界中の研究機関が、胚性幹細胞(ES細胞)から、神経細胞を再生する研究に取り組んでいる。

 骨髄の間葉系幹細胞から神経細胞を作り出す実験には昨年八月、米国の研究グループも成功しているが、骨芽細胞から神経細胞を作りだす慶応大グループの効率は、これを上回っている。研究グループは今後、作製した神経細胞をマウスの生体内に移植、神経が正常に機能し、病気が改善されるかなどを確認する。




■ 夢へ「材料そろった」

(毎日新聞:2001-1)

せき髄再生 研究前進

 神経を接合し、再生する。ひと昔前にはできないとされていた「神経の修復」を最新医学は可能にしつつある。神経の修復が日常化すれば、交通事故などで中枢神経や末しょう神経を切断し、手足がまひしても、回復できる。患者団体は治療や研究の進展に大きな期待を寄せる。

 ダンススクールに通う女性(26)=東京都目黒区=は、少しだけ右腕を上げ、指を動かしてみせた。

 「まだリハビリ中だからぎこちないけど、手術前はまったく動かなかった。夢のようです」

 女性は1996年、交通事故で負傷した。右腕の神経が切断していたため、左足から約30aの神経を移植するという、ほとんど例のない難手術を受けた。

 手足を走る末しょう神経は、直径数_以下。約1万本もの神経線維が詰まっている。顕微鏡下で行う微細手術の進歩や、神経線維の束が運動系か感覚系かを見分ける技術が生まれ、最高レベルの医療機関で手術がようやく可能になった。

 女性の13時間に及ぶ手術は成功し、2000年9月には、約1000人の観衆を前に舞台で踊れるようになった。神経を取った左足にも支障はないという。

 手術を担当した慶応大の仲尾保志医師(42)=末しょう神経外科=は、末しょう神経の再生治療を目指したマウス実験も行っている。

 1982年に交通事故に遭い、首から下が不自由になった「日本せきずい基金」の藤木徳雄事務局長(43)は「こうした治療や研究が積み重ねられると、自分も自力で歩けるようになるのではと、希望がわいてくる」と話す。

 米映画「スーパーマン」の主役として知られる俳優、クリストファー・リーブさん(48)は95年、落馬事故でせき髄を損傷した。車椅子生活を余儀なくされたが、翌年には「クリストファー・リーブ財団」(現クリストファー・リーブ麻痺財団)を設立し、せき髄再生の研究を支援する活動を続けている。

 末しょう神経を修復した例は出てきたが、せき髄のような中枢神経が切れた場合は、有効な治療法はない。しかし、動物実験では、スイス・チューリヒ大や京大、大阪大のほかにも、せき髄再生の可能性を示す実験結果が報告されている。

 2000年10月、リーブさんは、米マイアミ大に完成した「ポープ・ライフ・センター」の落成式に招かれた。建設費3700万j(約42億円)を患者団体などの寄付でまかなった世界最大規模のせき髄損傷研究施設である。

 あいさつに立ったリーブさんは、戦争で障害を負った退役軍人や車椅子の子供ら数千人を前に「(せき髄損傷の治療のための)材料は出そろった。私自身の損傷もきっと回復するはずだ」と力強く訴えた。




■ 頭部移植にも現実味

問われる人間の根源
<新・神への挑戦 第1部・生命を再生する>


(毎日新聞:2001)

 じっと鏡を見る。そこに映る「自分」。日々、悩み、怒り、喜ぶ「自分」。一方、いまこの地球に存在する霊長類ヒト科ホモサピエンス。「自分」はその一人でもある。20世紀末、ヒトのゲノム(全遺伝情報)がほぼ解読され、ヒツジやウシでは、クローン(もとの個体と同じ遺伝子を持つ生物)が誕生した。1971年、毎日新聞は「神への挑戦」を長期連載し、生命操作がもたらす夢と危うさを描いた。それから30年。「挑戦」はすでに新たな段階に入った。人間とは?生命とは?文明の行方に深くかかわる問いは、一層鋭く私たちに突き付けられている。どのような答えがあるのだろうか。最先端の現場をめぐるところから、私たちの新しい世紀の「知の旅」を始めよう。

 2匹のサル。AとB。元々早々、サツバツとした話を許していただきたいが、A・B2匹とも頭と胴体を切り離す。Aの頭をBの胴体に移植する。つまり、頭の(あるいは、胴体の)すげ替えである。

 こんな実験がかつて米国クリーブランド市で行われていた。最初は、摘出したサルの脳や頭部を人工心肺装置につないで血液を供給する実験だった。毎日新聞の連載「神への挑戦」でも紹介された。「すげ替え」は、その次のステップだった。73〜76年に約15例行われた。最長1週間生きた。すげ替えサルの視覚・聴覚・嗅覚は完全に正常だった。

 ケース・ウエスタン・リザーブ大のロバート・ホワイト名誉教授(73)に会った。この実験の当事者である。実験を中心になって行ったのは、脳神経外科医の高岡淑郎氏(61)=現・同大教授=だった。高岡教授は顕微鏡でのぞきながらサルの細かな血管を縫いつなぎ、頭と胴体を見事につないだ。

 その結果を踏まえて、同時、ホワイト名誉教授は「人体への応用も可能だ」と語った。当然、大きな議論を呼んだ。しかし、賛否はともかく、実のところ、当時それは「夢物語」に過ぎなかった。

 頭と胴体の血管がつながっても、首の部分で切断されたせき髄の神経はつながらない。だから、脳からの信号は胴体には伝わらない。すげ替えサルは手足が動かず、寝たきり状態になる。せき髄のような中枢神経は再生しないというのが、当時の常識だった。

 「せき髄が再生できなければ、移植自体に有用性はない。それに実験は脳の働きを調べるのが目的だったから、拒絶反応や感染症対策についても何も考えていなかった」と、高岡教授は振り返る。

 だが、医学の世界では「夢」はいつまでも「夢」のままではない。さきの常識を覆す成果が次々に明らかになっている。

 京都大の川口三郎教授(61)=神経生理学=らは、せき髄を約2_切り取ったラットに別の胎児ラットのせき髄を移植し、運動機能を回復させた。移植を受けたラットの神経細胞が胎児ラットのせき髄を足場に再生し、約3週間後にはほぼ完全につながった。おりの中を走る移植ラットは正常なラットとまったく区別がつかない。米国では、この方法を人間に応用することも検討されているという。

 「胎児のせき髄には神経の再生を促す物質があるのだろう。これを突き止めたい。せき髄を損傷して車椅子生活になった人が歩けるようになる瞬間が確実に近づいている」と川口教授は自信を見せる。

 大阪大の岡野栄之教授(41)=分子神経生物学=らのグループは、せき髄が押しつぶされ、前脚がまひしたラットをほぼ元通りに回復させた。胎児のラットのせき髄から、神経細胞のもとになる神経幹細胞を取って移植した。

 交通事故などでは神経が押しつぶされ、後遺症で体が動かなくなることが多い。修復するのは、切断された神経を治すより難しいとされる。しかし、実験では神経幹細胞が増殖して神経細胞になり、損傷した神経をつなぎ直した。損傷に伴う炎症が治まるころに移植すると、最も効率よく再生することも分かった。

 スイス・チューリヒ大のマーティン・シュワブ教授(51)は95年、ラットを使った実験で、神経の再生を妨げる働きを持つたんぱく質を発見した。このたんぱく質の作用を抑える抗体をラットに2週間投与したところ、約2aにわたって切り取られたせき髄が再生した。シュワブ教授は、人にも同様のたんぱく質を作る遺伝子があると考えている。「人体への応用も数年後には必ず成功するはずだ」と教授は語る。せき髄の再生ができるようになれば、頭部・胴体のすげ替えが現実味を帯びてくる。

 ホワイト名誉教授の頭部移植の実験は、引き継ぐ弟子もなく中止された。案内してくれたかつての研究室で「ここももうすぐ博物館になる」と冗談を言った後、ホワイト名誉教授は続けた。

 「脳は臓器と違ってどんなに医学が進んでも機械への置き換えはできない。新世紀にはヒトの頭部移植が実現し、私たちの業績が先駆的な研究として評価されるだろう」

 だが、頭部移植が現実となったとき、次のようなことも起きるかもしれない。

 金持ちの中年が若く魅力的な肉体を手に入れるために脳死した若者の体を自分の体と取り換える。頭部をのぞいて、がんが全身に広がった科学者が、その頭脳を生かすために脳死者の胴体をもらう―。

 根源的な問題もある。ヒトAとヒトB。Aの頭をBの胴体に移植して、ヒトCが生まれたとき、Cは人格としてAなのか、Bなのか。ホワイト名誉教授の論文を邦訳した和歌山県立医大の板倉徹教授(54)=脳神経外科=は、こう指摘する。

 「心が脳に宿るとすれば、胴体は臓器の集合体だとも言えるが、心は体全体に宿ると考える文化もある。頭部移植が現実化する前に、それが人間にとって望ましい医療かどうか、改めて議論しなければならない」。




■ 骨・皮膚・神経 ピッカピカに再生
   
<「再生医学」特集 未来診察室>

(朝日新聞:2001-1-1)

 将来、臓器移植などに代わって医療を一変させる可能性を秘めているのが「再生医学」だ。

 「心臓をまるごとつくれなくても、細胞が部分的に死ぬ心筋こうそくなどは、心筋細胞を補えば治療できるはず。構造が比較的単純な皮膚や骨、軟骨などは新しくつくって取り換えられるようになるでしょう」。

 数十年後の姿を予想するのは、慶応大医学部の福田恵一講師(心臓病先進治療学)だ。

 四年前のある日、培養中のマウスの骨髄細胞のなかに、ピクッ、ピクッと小刻みに動く細胞をみつけた。初めのうち、それぞれ勝手に動いていたが、しばらくすると、くっつきあって木の枝のような構造になった。動きの周期も同調しはじめた。

 「拍動ですよ。ほかの性質も調べてみましたが、これは心臓の細胞に間違いないと思いましたね」

 骨髄細胞の中には、どの組織や臓器になるか決まっていない「幹細胞」と呼ばれる細胞が含まれている。これをいろいろな方法で培養すれば、血液や骨だけでなく、心筋などの細胞にも育っていくことがわかってきた。

 もうひとつ脚光を浴びているのが「胚性幹細胞(ES細胞)」だ。より多くの種類の組織や細胞に化ける可能性があるので「万能細胞」とも呼ばれる。

 人間のES細胞が登場したのは一九九八年。米国ウィスコンシン大学の教授が、不妊治療で体外受精させた胚のうち、使わなくなった胚を特殊な方法で培養して作り上げた。

 国内では昨年、京都大のグループがマウスのES細胞から血管をつくることに成功した。「動脈硬化などの治療につながるかもしれない」と期待されている。

 大阪大の研究グループは、人間のES細胞を使って神経難病パーキンソン病を治療するための基礎研究を計画している。もし神経細胞を再生できれば、交通事故などでせき髄の神経を損傷した人たちの治療にも役立つかもしれない。

 ES細胞の研究には、生命の始まりといえる人の胚を利用する点などに倫理的問題が横たわっている。複雑な構造の臓器を作り上げることができるようになるのか、可能性が注目される医学のフロンティアだ。




■ 日本再生医療学会プログラム

(一部)  2002年4月・京都

 招待講演 
  1. Human Embryonic Stem Cells:Technology Development for Regenerative Medicine Applications Jane S. Lebkowski Geron Corporation, CA, USA

  2. Adult Autologous Progenitor Cells for Myocardial Revascularization
     Douglas W. Losordo Cardiovascular Research, St. Elizabeth Medical Center, Tufts University School of Medicine, MA, USA

  3. Gene Transfer into Germline Stem Cells
     Maria P. De Miguel and Peter J. Donovan  Kimmel Cancer Center, Thomas Jefferson University, PA, USA

  4. Current R&D and Market Opportunities for Regenerative Therapies
     Christopher Roberts New Product Development & Clinical, Advanced Tissue Sciences/Smith & Nephew Dermagraft Joint Venture, CA, USA

 特別講演

1.Stem Cell Biologyと再生医学:
  高久 史麿  自治医科大学学長

2.再生医療:国の政策と日本の役割
  水島 裕 東京慈恵会医科大学DDS研究所所長
  聖マリアンナ医科大学名誉教授

3.21世紀の医学と再生医療:
  井村 裕夫  総合科学技術会議


 教育講演

1.再生医療の倫理的・法的・社会的問題─日本における課題
  塚田 敬義 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学


シンポジウム

 シンポジウム4
 ◆21世紀の再生医療の現状とその実用化にけて
    ─幹細胞・ES細胞─

  司会:浅島   誠(東京大学)
      中内 啓光(筑波大学)

4-1:造血幹細胞を用いた再生医療
   京都大学発達小児科学 中畑 龍俊

4-2:体外増幅造血幹細胞の臨床応用
   東海大学血液リウマチ内科 堀田知光、他

4-3:羊膜上皮細胞の分化ポテンシャルと再生医療への応用
   国立小児病院小児医療研究センター実験
   外科生体工学部、他 絵野沢 伸、他

4-4:ES細胞の試験管内分化誘導
   大阪大学微生物病研究所遺伝子動態研究分野 仲野 徹

4-5:幹細胞による体細胞の再プログラム化と再生応用
   京都大学再生医科学研究所 多田高.他

4-6:中枢神経系の再生医学
   慶應義塾大学医学部生理学、CREST・JST 岡野 栄之


 シンポジウム5
 21世紀の再生医療の現状とその実用化に向けて
      ─脳・神経─

   司会:清野 裕(京都大学) 
       寺岡 慧(東京女子医科大学)

5-1:神経再生戦略における幹細胞療法の検討
     ―各種幹細胞の比較解析―
   札幌医科大学脳神経外科 本望 修、他

5-2:ES細胞を用いた神経再生
   慶應義塾大学医学部生理学、CREST・JST 島崎 琢也、他

5-3:ヒト胎児由来神経幹細胞の解析
   京都大学医学研究科脳神経外科 高橋 淳、他

5-4:成体体性幹細胞を用いた神経再生医療の現状と
   実用化への課題
   協和発酵工業(株)東京研究所再生医療グループ 桜田 一洋

5-5:神経幹細胞の異種間移植による神経再生医療の可能性
   慶應義塾大学医学部脳神経外科、他 内田 耕一、他

5-6:神経伝達物質・神経栄養因子産生細胞 株の脳内移植
   岡山大学大学院医歯学総合研究科脳神経外科 伊達 勲、他

5-7:神経疾患に対する細胞移植療法
   和歌山県立医科大学脳神経外科 板倉 徹、他



 パネルディスカッション(一部)
 21世紀の再生医療とベンチャーの創出


PD2:「ヒト幹細胞を用いた臨床研究の指針」の策定に向けて
    厚生労働省健康局疾病対策課 日下 英司

PD4:再生医療と社会システム
    岐阜大学大学院医学研究科再生医科学専攻倫理
    社会医学部門 塚田 敬義

PD10:再生医療におけるNPOの役割
    京都大学再生医科学研究所器官形成応用分野 日裏 彰人、他




■ ICCPについて

International Campaign for Cures of Spinal Cord Injury Paralysis
<せき髄損傷治療法確立へ向けての国際キャンペーン>

ホームページより

 ICCPとは?

 ICCPは、せき髄損傷による麻痺の治療法研究に資金を提供するために活動している関係諸団体をまとめる『上部団体』であり、せき髄損傷の治療法発見を促進するという共通の課題を目指すメンバー団体の連合体である。

 このホームページは、せき髄損傷に関する研究について理解を深め、貢献したいと願う個人、団体、行政当局に情報を提供するために作られたものである。

 せき髄損傷治療法の開発への支援を希望する方は、各地域のICCP加入団体に、この募金活動への参加方法を問い合わせられたい。また探している情報が、このページで見つからない場合は、連絡されたい。

 これから、このグループの背景、任務、そして活動の目的、関連団体のリンクを紹介しよう。ICCPのメンバーは、世界各国で主導的な役割を果たしている代表的なせき髄損傷研究募金団体であり、せき髄損傷、その現時点での研究の状況、そして治療法の発見を支援するには何ができるかについて、豊富な情報を集めている。

 ICCPの情報と財源は、そのメンバー団体の努力と支援によって支えられている。


 ICCPの使命

 せき髄損傷麻痺に対する治療法の発見の促進

 <その背景>

 20年近くにわたって、世界各国の少数の募金団体が、せき髄損傷の治療法発見を促進するための活動を続けてきた、この活動が始まった頃は、せき髄損傷による麻痺やその他の障害は治療不能であり、一度損傷を受けたせき髄は修復できない、という見方が一般的であった 。

 今日では、これらの団体が、この分野における多くの重要な発見をもたらした研究に資金援助を続け、科学者に新たな希望を与え、せき髄損傷に苦しむ人々の将来に明るい展望を開いて来たことが、高く評価されている。

 今や問題なのは、効果的な治療法が発見できるかどうかではなく、いつ発見されるか、という点になっている。この状況をふまえて、せき髄損傷に関する研究を促進する諸団体は、合議の上、この分野の研究をさらに促進するために協力する方法として以下の各項を定めた。


 <このグループの目的>
  1. 中枢神経系の再生と修復の分野に、最も優秀な科学者、研究者および臨床医、特に最近卒業する若い研究者を集め、せき髄研究に専念するよう奨励する。

  2. だれでもいつでもせき髄損傷になる可能性があること、これからの世代にとって、治療法の確立がいかに重要かを訴え、効果的な治療法の開発への一般的な支援を推進する。

  3. せき髄損傷者を生涯にわたって介護する経済的な負担を強調して、せき髄損傷研究への政府からの財政援助を促す。

  4. せき髄損傷と治療法確立への研究が全世界に共通の課題であるという意識を高め、寄付を募るための共同キャンペーンを検討する。

  5. 研究所、科学者、医療現場、その他関係組織間の連携と情報交換を促進する。

  6. 募金団体相互のコミュニケーションを促進し、情報や専門知識の共有や活用を促進する。

  7. せき髄損傷研究分野の国際的な戦略や課題の優先順位の確立を促進する。

  8. このキャンペーンの前進や成果を客観的に評価し、その成果を報告する。

 当団体に加盟した団体は、ICCPメンバー団体と呼ばれる。

 <設立メンバー>

Australasian Spinal Research Trust

Christopher Reeve Paralysis Foundation

Kent Waldrep National Paralysis Foundation

Miami Project to Cure Paralysis

Paralyzed Veterans of America

Rick Hansen Institute


 <新メンバー>

French Institute for Spinal Cord Research(Institute pour la Recherche sur la Moelle Epiniere)

Spinal Research Fund of Australia, Inc.


 <参加へのよびかけ>

 ICCPと共通の目的をもち、加入に関心がある団体があれば、連絡されたい。

*このサイトでは以下の情報が提供されている。

資金援助を受けている研究補助金

一般情報 各国の状況 

政府による神経外傷対策

主要な連絡先 リンク 会議/シンポジウム

声明文 研究情報 新進研究者奨励賞

 ICCP加入団体による資金援助を受けている研究補助金


 近年、ICCP加入団体のボランティア、支援者およびスタッフの多大の努力の結果、せきそん研究促進のための募金活動は非常に盛んになった。これは、せき髄損傷の治療法開発のための研究支援への関心を高め、資金を募るために、クリストファー・リーヴをはじめ、ケント・ワルドレップ、リック・ハンセン、スチュワート・イエスナー、マーク・ボニコンチらが続けてきた活動に負うところが大きい。

 ICCP加入団体は、世界各国、主として合衆国、カナダ、英国、フランス、オーストラリアのせき髄損傷研究に資金援助を行っている。

 2000年度には、ICCP加入団体から150を超える研究プロジェクトへの資金援助は、$25,000,000以上にのぼっている。これらのプロジェクトへの援助は、従来から行われているさまざまな募金活動の結果であり、またRick Hansen Institute の提唱によるカナダ神経外傷プログラム(約$6,000,000)も含まれている。

 また、ICCP加入団体との直接的な関係はないが、麻痺の治療法開発のために多くの地域で続けられている募金活動や神経外傷研究推進運動による貢献も非常に重要な役割を果たしている。最近、ニューヨーク、ニュージャージー、およびカリフォルニアで発表された新しい神経外傷プログラムによって、さらにかなりの研究援助基金が集められるだろう。カナダでは、政府および地方自治体が神経外傷プログラムを通じて、研究補助に重要な役割を果たしている。

 募金活動や神経外傷研究支援はこのように大きく前進しているものの、せき髄損傷者の介護に関連して年々支出されている数十億ドルと比べると、あきらかに治療法開発のためにあてられている研究費の額は微々たるものに過ぎない。この分野の研究が前進することは、せき髄損傷への理解を深め、機能回復の範囲の拡大につながる可能性が高まる.その結果は、全世界にとって人道的にも経済的にも有益となるだろう。

個々の研究プロジェクトの詳細については、ICCP研究補助金データベース

http://wb4.pva.org/cfcsearch.asp を参照されたい。




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