| 2001年(平成13年)12月4日(火) 東京新聞に掲載された 「日本と米国の脊髄損傷のリハビリ体勢の違い」の記事 |

東京新聞 2001年(平成13年) 12月4日(火曜日)
そこが! 聞きたい
治療システム確立めざす
交通事故やスポーツ事故で脊髄(せきずい)を損傷し、全身または半身がまひした脊髄損傷者。日本には十万人以上おり、毎年、約五千人ずつ増えているとされる。だれもが損傷する可能性があるが、治療とリハビリテーションの体勢は米国に比べて大きく立ち遅れている。それはなぜか。自信も脊髄損傷者でNPO法人(特定非営利活動法人)「日本せきずい基金」(府中市)の副理事長・藤木徳雄さんに聞いた。
(立川支局・川上義則)
■ 日本と米国の脊髄損傷のリハビリ体勢の違いは
一つはリハビリに対する考え方。交通事故などで首を損傷した場合、米国では首の固定後すぐ、指や足、腹筋など少しでも動くと思われる部分を徹底的に強化し、完全に回復できなくても自力でできることを増やそうとする。筋肉は使わないと硬直して退化する。早期のリハビリは損傷者の自立のために重要だ。
しかし、日本では救命に精いっぱいで早期のリハビリには関心が薄い。体に無理をかけないようにと、リハビリが始まるのも二週間ほどたってから。リハビリ施設の入所も回復が見込める損傷者が優先され、重度損傷者はリハビリを受けることすらできないケースが多い。しかも、重度損傷者の長期入院は病院がほとんど引き受けず、家族に大きな負担がかかる。
■ 制度の違いは
米国では、交通違反の罰金の一部を損傷者の治療やリハビリにあてるよう決められ、財源が確立している。しかし、日本の診療報酬では、一人当たりのリハビリ費用が限られ、ケアの人員が充分配置できない。日本では最近、多額の費用をかけて米国に渡航するケースが出始めた。知る限りでも四、五例ある。
リハビリ体勢 日米に差
■ 日本の治療体勢が遅れているのは何故
脊髄損傷に関する情報不足が原因と思う。医療関係者、行政担当者も現状を正しく把握していない。医療の進歩による新たな問題とも言える。かつては脊髄を損傷すると治療によって回復しないと数年で死亡していたが、今は治らなくても生き続けることが出来る。
役立つ情報の発信続ける
■ 「基金」の活動は
五年前に発足し、脊髄損傷者と医療関係者ら約十人で活動している。講演会や書籍の出版、ホームページなどを通じ、関係者や一般の人に現状を知ってもらうことで、リハビリを含めた治療システムを確立したい。
まだ例はないが、脊髄の再生技術の研究者に資金提供も行いたい。技術の進歩は目覚ましく、動物実験では成功例も出ており、人体への応用も行われている。近い将来、損傷者が機能を回復するめどが立ちつつある。
「基金」は会員制ではなく、寄付金が財源。脊髄損傷はだれにでも起こりうるだけに、会員だけに情報を提供しても仕方がない。広い層にお金を出してもらい、変わりに書籍の配布や相談を原則無料にしている。資金面は苦しいが、役立つ情報を発信し、寄付者が納得できる活動をしたい。
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寄付金の振込先は 日本せきずい基金=郵便振替 00140-2-63307
または、第一勧銀多摩桜ヶ丘支店普通口座 1702639
問い合わせは 同基金=電 042(366)5153=へ。