第2回日本再生医療学会抄録No.2525(2003/3)


「脳脊髄液経由でニューロスフェアーを脊髄損傷部へ移植する方法の開発」
鈴木 義久ら(京都大学医学部形成外科)
井出 千束ら(京都大学医学部機能微細形態学教室)

 脊髄損傷の治療に神経幹細胞の有効性が期待されている。そこで、脳脊髄液経由で神経幹細胞を脊髄損傷部に移植できないかを検討した。GFPラット*により海馬由来のニューロスフェーアー〔細胞塊〕を作成した。4週令のラットのT8-9レベルで脊髄に圧挫損傷を加え、第4脳室〔延髄の直近の上部〕に注入した。術後1ヶ月の観察では、脳脊髄液と共にクモ膜下腔を移動し脊髄表面の軟膜に付着していた。

 また損傷部で多くの移植細胞が脊髄実質へ遊走し突起を出して宿主組織に組み込まれていた。免疫組織染色ではアストロサイト、オリゴデンドロサイトへの分化が観察された。神経根内ではシュワン細胞様の形状を呈していた。これらのことから、周囲の環境により幹細胞の分化の方向が決定されると考えられる。以上、脳脊髄液中に注入した神経幹細胞は損傷された脊髄および神経根の表面に付着し、さらに組織実質内に進入、分化することが明らかになった。

* GFPラット:緑色蛍光タンパク(GFP)でマーカーされた遺伝子改変ラット。

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