四肢マヒの30代男性
交通事故などで脊髄(せきずい)を損傷した患者に、自分の骨髄の細胞を移植して神経細胞の再生を促す治療の臨床試験が、関西医科大滝井病院(大阪府守口市)で始まった。骨髄細胞を使った脊髄損傷の治療は世界でも例がないという。研究グループの鈴木義久・京都大助教授(形成外科学)が13日、岡山市で開かれた日本形成外科学会で発表した。
事故直後、救命救急センターなどに運ばれた重度の脊髄損傷患者が対象。骨折治療用の腰の骨を取る際に同時に骨髄液を採取、間質細胞と呼ばれる成分を培養して増やし、患者の腰から脊髄内に注射する。移植した細胞が損傷部にまで移動し、神経幹細胞の増殖・再生を促す効果をねらっている。23例の治療を目指す。
昨年7月に同医科大で計画が承認され、中谷寿男教授(救急医学)らの研究グループが準備を進めていた。
1例目の患者は転落事故で首の骨を折り、3月に同病院高度救命救急センターに運ばれた30歳代男性。重症度は最も重い四肢マヒで、十分な説明と同意の後に治療を実施した。今のところ、状態は安定しているという。
移植から1か月後に外部委員を含む検討会で安全性を評価し、3か月後、6か月後に運動や知覚機能をチェックする。鈴木助教授は「安全性を最優先に慎重に進めていきたい」と話している。