2006年4月7日
「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(案)」へのパブリックコメント
〒183-0034 東京都府中市住吉町4丁目17番地16号
特定非営利法人日本せきずい基金
理事長 大 濱  眞
 1. 指針の適用範囲に関して
 指針案・第1章第3:適用範囲では、「この指針の対象外として②胎児(死胎を含む)から採取されたヒト幹細胞を用いる研究。」とある。
 本指針は本来1年程度で策定する予定が4年以上にわたり議論され、指針策定の遅延は、臨床研究の停滞とともに、治療研究の進展を熱望する難病等の患者に失望(損失)と不信感とを与えた。
 その大きな原因は、胎児組織の研究利用に関する論議をめぐって、一事不再議という会議体の運営原則が一部委員によって無視されてきたことにある。しかし、これまでの審議過程を顧みれば、胎児由来組織の研究利用に関する論点はすでに出尽くしていることは明らかであり、敢えて②を指針の対象外とする必要はないと考えられる。
しかし、別途、新たな委員で検討するということであれば、胎児組織の研究利用に関する指針は本指針策定過程でも十分議論された経緯を踏まえて、胎児組織の研究利用に関する委員会を早急に立ち上げ、本年度(平成18年度)内に策定されることが望ましいと考える。
 胎児(死胎)由来のヒト幹細胞の取扱については、第21回専門委員会までの議論で、それを本指針の適用範囲に含めるという点においては合意されており、今後いかなる手続きを経てそれを取り扱っていくかを議論することになっていた。
 特に、第5回委員会では、慶應義塾大学整形外科の中村参考人が、脊髄損傷の治療においては、胎児脊髄由来神経幹細胞移植療法の開発が有効で、コモンマーモセットにヒト胎児由来神経幹細胞移植を行なった結果その有効性が証明されていると述べている。
 現在わが国においては、母体保護法のもと、年間33万から34万件の中絶が行なわれている。本来であればそれをそのまま葬られる生命を、十分なインフォームドコンセントの保証など厳格に規定された指針のもとで難病治療のための臨床研究に提供していただくことは妥当と考える。したがって、今回先送りとなった胎児(死胎を含む)から採取されたヒト幹細胞を用いる研究についての指針案を早急に作成することを望む。

 2.倫理審査委員会に関して
* 指針案・第2章第一の7:倫理審査委員会
(1) について
 倫理委員の構成については、単に「複数の外部委員を含むこと」とするのではなく、「複数の利害関係を有しない外部委員」と規定すること。
(2) について
 倫理委員会の審査記録については、「審議の終了後3ヶ月以内に公開することを原則とする」と、公開の時期を規定すること。

 患者団体からの意見聴取について
倫理委員会の審議においては、事前に患者団体からの意見聴取に努めることと規定すること。

 3.厚生労働大臣の意見等に関して
指針案第2章第2:厚生労働大臣の意見等
 厚生労働大臣等が意見を述べる期間を、研究機関の長の申請から原則3ヶ月以内と規定し、延長を要する場合はその期間と理由を研究者の長に明示すること。

 4.生命倫理に関する識見を有する者に関して
第2章第一の7  生命倫理に関する識見を有する者。について
 倫理審査委員会においてどの程度の識見を有するものが委員になりうるのか不明なので、但し書きや添付文書等で例示すること。

以上