| 〔2004-02-14〕 ワイズ・ヤング教授のネット・フォーラムから |
2003年11月、ワイズ教授の主催するCare Cure Communityで交わされた投稿とその返信を以下に紹介する。
(2004年2月、基金事務局試訳)
* スティーブ:posted Nov 21, 2003 10:59 AM
私は2003年9月末に黄紅雲医師にMRIを送った。私は治療を受けいくつかの運動機能が回復できるかどうかを知りたかった。私は1991年以来、C4完全麻痺、ASIA−Aレベルである。彼はEメールで返信してきた。
「スティーブ、大変残念ながら私が対応するには遅すぎました。あなたの脊髄の退化(atrophy)は大変深刻です。あなたが我々の治療を受けても効果があるかどうかは確かではありません。また、あなたがOEC移植を行うことで呼吸器官や肺が感染することをどのように防ぐかということを私は心配しています。」
残念ながら、私は他の方法を待たなければならない...それが私のような脊髄が退化した、者にとって可能な場合であるが。
* 黄紅雲 医師:posted Nov 23, 2003 12:33 PM
スティーブ、私の手紙があなたをそのように失望させたことは大変残念です。たぶんあ
なたは私の言うことを誤解しているのでしょう。「あなたがこの治療を受けても効果があるかどうかはわからない」という一文は、あなたが手術の候補者となれるとか私たちの治療で効果が得られないということを意味するものではありません。治療効果が確かでないということだけなのです。あなたに伝えたようにクリスにも伝えました。あなたのような何人かの患者は我々の治療を受けて効果がありました。もしあなたが本当に望むならやってみましょう。しかし私は、あなたが私たちの治療を受ける前にどれだけの機能的な改善を得ることができるかを、まだ伝えることができません。
* fuentejps(メールネーム) Member
posted Nov 23, 2003 10:37 AM
「hope2findacure」さん(メールネーム)へ:脊髄が切断(横断切断)されなかった限り、あなたはこの治療法に適した候補者だろう。黄医師は、脊髄が損傷部位自体で退化していることを問題としているのか。あるいは損傷部以下が麻痺しているのか。多くの人々の損傷部以下の脊髄は退化しているのではないのでないか。現に私の夫は受傷後2年ほどしかたっていないにも関わらず、C7−T1の脊髄はとても細い(MRI強調画像でないと映らない)・・・それは彼がこの治療法に適した候補者でないということを意味しているのだろうか。
*ヤング博士のスティーブらへのコメント:
posted Nov 22, 2003 01:55 PM
最近我々は、損傷ラットにおいてOEG細胞が再髄鞘化にどれだけかかるかを注意深く見た。それは数週間、作用した。黄医師が早期の回復を成し遂げたことを我々が見出したあと、我々は移植2週間後に殺したラットを非常に注意深く見るために引き返した。我々は、これらの動物に再髄鞘化をほとんど見出さなかった。しかしながら4週間後、OEG細胞は、軸索の多くを再髄鞘化し、また14週後でもさらに多くのOEG髄鞘があった。ラットの要する時間は人間より短い。なぜなら損傷による隙間はヒトのほうがとても大きく、ラットに比較して人間の代謝と増殖は一般に4倍遅く、一般にラットの1週が人間の4週に等しいものと私は考えている。したがって、私たちの結果は、OEG細胞が数か月の間、人間の脊髄を再髄鞘化しないことを示唆する。
したがって、OEG移植はいくつかの軸索が損傷サイトを横断している人々に有益であろうと移植の概念は展開する。私はこの概念に抵抗し、観察された初期の回復のメカニズムに関するより根本的な理論を「エキササイズ・フォーラムのトピック」で明瞭に表現しようとした。以下によりシンプルにその理論を繰り返して表明したい。
〔訳注:以下は脊髄損傷の新たな研究から回復の可能性をヤング教授が論じるもの〕
脊髄の自然な再生があると私は信じる。過去数年、私は数百という脊髄損傷動物を見てきた。軸索はコンスタントに成長状態にあり、成長円錐(脊髄神経の先端部)を形成し、損傷部位に接近し、しかるべき場所に達することができない場合、「後ろを切り取る」(pruning back)ことを見た。私の見るところ、再成長する継続的な試みは時間とともに減少しない。軸索のいくらかは損傷部を越えるが、しかしほとんどのシナプスのサイトが局所的に軸索を伸展させることにより占拠されるので、それらは入るべき場所を持たない。OEG細胞は様々な神経栄養因子の分泌によって、脊髄をより多く可塑的にしているかもしれないし、それらの接続を変えるよう局所の軸索を促進するかもしれない、と私は仮定する。
他方で、マイアミプロジェクトで名高いBlair Calancieが神経外傷ミーティングで述べているが(注1参照)、損傷部以下の脊髄に多くの考えられないような「接続」が生じていることを示す研究に刺激されたことを私は指摘した。それらの接続は受傷の数年後に始まり、年数を経ると共に高まる。これは、脊髄は受傷後多くの年数に渡って継続的にそれ自身を改造(リモデリング)することを示唆するゆえにきわめて刺激的である。これは、新たなシノプスが形成され十分に発達していないことを私に告げるものである。それは静止したシステムではない。
それが真実であるかどうかを見るために我々はラットでの実験を開始する。これはラジカルな理論であるが、しかしもし真実であるなら、それは脊髄損傷受傷後の多くのばらばらな(共通点のない)回復現象について説明するものであろう。より重要なことは、これが脊髄再生への異なる治療のアプローチに合理的な基礎を提供するものとなることを私は望んでいる。なぜなら再生はゆっくりと長い時間を要して生じ、私たちが恐らく考えるべきことはすでに繰り返された治療である━━軸索成長の刺激(軸索成長の始動装置として示されるようなグリア由来の神経栄養因子を伴うようなもの)、それらが損傷部位を横断し、次に何かをするようにして(OEG細胞を置いたり、あるいはなんらかの神経栄養因子を注入するような)、損傷部以下の脊髄の可塑性を促進する(ないしそれ自身を行う)こと。それにはおそらく、軸索の成長と接続をもたらすよう「肘で軽く突いて合図する」ような治療の反復を何度も繰り返すことが必要であろう。
注1:脊髄損傷研究に関するグレート・セッション
(ヤング教授がまとめたもの)
posted Nov 06, 2003 10:17 PM
脊髄損傷の治療法において優先すべき治療法は何かを600人以上の投票で提示する会議はキム・アンダーソンの議長の下、アンドリュー・ブライトの紹介によって始まった。参加者の半数が対麻痺で半数が四肢麻痺である。四肢麻痺でもっとも優先すべきは、上肢の十分な使用でありそれによる自立である。対麻痺でもっとも優先すべきは排泄や性機能に関する事項である。アンダーソンは脊髄損傷研究の方向性について議論するために集まった科学者および臨床医のワーキンググループの議論を示した。テーマのいくつかは、コミュニティーの優先事項に取り組むために研究の優先事項いくつかを修正することを含んでいた。それらは、痛み、排泄、痙性、自律神経過反射のモデル化と判定法を開発することを含んでいる。それに続いたのは2つの大きな報告のための適切な導入である。
マイアミ・プロジェクトで名高く現在はニューヨーク北方のシラキューズ大学のブレア・カーラントはすばらしい報告を行った。彼は、右脚がなでられた時に左の親指が痙攣した患者をどのように見つけたか説明することから話し始めた。その後、彼は、200人以上の患者の数年以上の間の詳細な神経生理学的研究を示した。この脚の相互反射が損傷部以下に生じたのであり、これは健常者には現れることはない。これは受傷後の時間経過の中で次第に高まり、信じられないほどに安定して信頼できる反射であった。彼は、患者の膝の後ろを一本の髪の毛でなでることにより、どのように親指の痙攣を誘発することができるかを示した。これらの考えがたい神経の接続は数年以上にわたって発達した。
これらの考えがたい接続は年単位で発展した。彼は、そのような反応が最も早く現れるのが受傷後約6か月であることを知ることができた。彼は、これらの反応の大部分は遠位の脚(limb手と足?)の筋肉にあり、腕あるいは三角筋に近縁の筋肉に生じなかったことを次に示した。最後に彼は、血圧の変化と自律神経過反射に対するこれらの反応の協応を指摘した。
次に報告したリン・ウィーバーは、自律神経過反射が人の膀胱を満たすよう活性化されたいくつかの魅力的な写真を示し、まさにラットが同様な反応をすることを示した。次に彼女は、軽い皮膚感覚の刺激でさえ極度の自律神経過反射を起こすようされたラットが、ごくわずかの脊髄白質を保存することで自律神経過反射の発生を防いだことを時間経過の中で示した。彼女はニューロパチー痛〔末梢神経障害〕について述べ、5−HT3受容体をともなう痛みの協応を、その受容体のブロックによりどのように著しくアロデニア(神経障害性疼痛)の痛みを減少させたか、受傷直後に新しい抗体治療を処方されたラットの中でアロデニアの発生をどのようい防いだかについて報告した。最後に彼女は、これらは容易にラットにおいて研究することができ、その分野に関わる者がより多くの注意を払うべきものであることを指摘した。
双方の研究は共に、損傷部位以下の脊髄の本質的な再組織化をきわめて強く示唆するものであり、そこには運動神経および交感神経系の双方に想像しがたい神経の接続があるかもしれず、それは痙性と自律神経過反射の結果であろうし、そのような反応は重要な現象の反映である。
* ヤング教授: posted Nov 22, 2003 11:35 AM
フェンテへ、私は黄医師が、脊髄損傷受傷後の経過時間がOEG移植からの回復の可能性を狭めることを、あなたとよく合意したとは確信していない。彼は受傷後何年もたった人々に細胞移植を行っている。私は北京で、受傷後16年経過して移植し、とても回復したたように見えた1人の患者に会った。
スティーブ、落胆してはいけない。なぜなら黄医師は損傷部にではなく、移植細胞が損傷部に遊走することを期待して脊髄のその上下に移植しており、彼は、脊髄のより退化の少ない患者を捜している。これは、厳しく退化した脊髄を持った人々にとってOEG移植が有効ではないだろうということを必ずしも意味しない。それは単に異なる移植戦略を必要とするかもしれない。例えば、オーストラリアのブリスベーンでは、根本的に異なる移植アプローチをとっており、損傷部位全体に150ヵ所以上の、文字通り少量のOEG細胞を移植している。OEG移植のより多くの経験から、代替的な移植アプローチがすべてのタイプの脊髄損傷のために開発されるであろうと私は考えている。
*ヤング教授: posted Nov 08, 2003 07:04 AM
他のトピックは、ブレア・カーランシーの報告に関して述べたものである。彼は、多くの脊髄損傷者が頚髄と腰髄の分節の間の、極めて強い明確な信じがたい神経接続を向上したこと、これらの神経接続は年とともに向上し、受傷後の時間経過とともに強さを増し、それが痙性と自律神経過反射のベースになるものであろうことを示した。その後、すくなからぬ人々がそれらの経験を投稿してきた。
* カール・Rの投稿
ヤング先生、私は先生がブレア・カーランシーの報告についての記述を妻に試してもらいました。それは、正確にあなたが述べたたようにではないが動くように見えました。妻が私の左膝に触れたとき、私の左の人差し指の内側は親指に近づきます。
彼女が右膝に触れると、私の右の親指は指先の中ほどでグッと引いた。左の人差し指は右の親指よりもっと明白な動きを見せました。
私は、多くの人々が同様の経験をしているように、カーランシーの指摘が私にも当てはまると思いました。パットとカールはカーランシーの指摘している事柄の興味深い2つの変化を述べている。カーランシー医師は足の刺激による手と前腕の協応反応を記述している。彼は、刺激された脚の対側(反対側)でそのような反応の約70%が生じると報告した。パットの場合、彼は頚髄から腰髄への神経接続を持っている。私は、他の人が同様の経験を持っているのかどうなのかと思います。
*リック: posted Nov 15, 2003 08:24 AM
私は、私の経験がこの議論に適切か、あるいはそれらが痙性により達成されるべきであるものかどうか確かではありませんが、あなたの考察のために述べます。私は膀胱の感覚があるが、それを感じるのはいくらかの圧力を感じ始める直前のことです。私は右足にぐっと軽く引く感じがします。これはとてもはっきりしたシグナルです。私は腹部を摩擦し、下肢伸筋の痙性を引き起こすことができます。これは除圧と体位交換に役立ちます。
仰向けで水平に横になる練習の初めに、私が腕を頭上に伸ばすと、膝を胸まで持ってくる腹筋と四肢の収縮を引き起こすでしょう。私が練習中に、より多く柔軟になるとともに、この反応は多少減少します。私は右腕を伸ばすことができ、わずかに腹部の収縮を引き起こすためにそれをねじることができる。これは血圧を維持することを助けます。
* ヤング教授: posted Nov 15, 2003 12:55 AM
これまでのところ、我々には5種類の接続を行ったように見える。
- 背中からつま先へ。
- 右膝から右親指へ、そして左膝から左人差し指へ(同側の足から手へ)
- 近接した(挙げた)腕から腹筋と四肢へ。
- 仙髄から頚髄への接続
- 足から腕の交感神経(発汗)
ブライアー・カーランシーによれば、彼が報告したとき、彼は200人以上の患者を研究し、その70%は脚から対側の前腕と手への接続を有していた。私は、機能の残存は脚から同側の前腕および脚まであると考える。彼は、脚からより中心に近い筋肉までの接続に遭遇したことがないと言う(たぶん、これはC4以上の高位損傷であることが必要なのでまれである)。■