〔2004-2-5〕
「黄医師らの論文要約と脊髄専門医のコメント」

UP用中国OEG要約
「脊髄損傷へのOEG細胞移植後の
機能回復における患者の年齢の影響」
HUANG Hongyun 黄紅雲(北京・首都医科大学朝陽病院脳神経科)
Chinese Medical Journal 2003;116( 10):1488-1491

〔抄録〕
目的 OEC(嗅神経鞘細胞)の髄腔内移植を受けた様々な年齢の脊髄損傷患者の機能修復の評価。
方法 この研究では171人の脊髄損傷患者が対象である。男性139人、女性32人で、年齢は2歳から64歳(平均年齢34.9歳)。すべての脊髄損傷患者は手術時にOECが注入された。年齢に基づき患者は5グループにわけられた:20歳未満(9人)、21-30歳(54人)、31−40歳(60人)、41-50歳(34人)、51歳以上(14人)である。OEC移植の術前と術後2−8週にASIA機能評価スケールで脊髄機能の評価がなされた。一元配置分散分析(one-way ANOVA)及びqテストによる統計分析を行い、データは標準偏差(SD)で示した。
結果 術後、5グループ別の運動機能スコアは次のように向上した:20歳未満(5.2±4.8)、21-30歳(8.6±8.0)、31−40歳(8.3±8.8)、41-50歳(5.7±7.3)、51歳以上(8.2±7.6)(F=1.009, P=0.404)。
 ライトタッチ・スコア(表在触覚)は以下のように向上した:20歳未満(13.9±8.1)、21-30歳(15.5±14.3,)、31−40歳(12.0±14.4)、41-50歳(14.1±18.5)、51歳以上(24.8±25.3)(F=1.837, P=0.124)。
 また、ピン刺激スコア(ピン痛覚)は、以下のように向上した:20歳未満(11.1±7.9)、21-30歳(17.2±14.3)、31−40歳(13.2±11.8)、41-50歳(13.6±13.9)、51歳以上(25.4±24.3)(F=2.651, P=0.035)。
 51歳以上の者のピン刺激の回復度は21-30歳グループを除き他のグループより良かった。
結論 OEC移植は彼らの年齢に関係せず脊髄損傷患者の神経学的機能を改善できる。長期の経過観察による更なる研究が必要であろう。■


◎ 上記論文に対するある脊髄専門医のコメント(2004-2-4)

 OEGの細胞の起源、術後経過観察期間が明示されていないなど科学論文として問題が多いと思います。 データそのものは現時点ではほとんど無効ということです。

 運動機能のみについて言えば集中的なリハビリテーションを行えば、移植をしなくてもこれぐらいは稼げるかもしれません。ただ痛覚で有意差ありというのは将来を期待させます。それは、痛覚の伝導路が運動の伝導路に近接しているからです。

 記事にもありますように適切な時期、適切な損傷形態を選べば将来は可能性はあると思います。

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