朝日新聞 (平成16年)7月6日 火曜日


朝日新聞 2004年(平成16年)7月6日 火曜日

 長嶋監督をリハビリ治療した医師

                石川誠(57)

   ひ と

 脳梗塞で倒れた長嶋茂雄氏が転院してきたのは今年4月のことだ。アテネ五輪を控えた野球日本代表監督。世間の関心は高い。「失敗は許されない。緊張しました」

 患者本位の治療がモットー。約30年前、脳神経外科医として手術した男性が寝たきりになったのをきっかけに、リハビリ治療を追求してきた。「患者が自立して生活できるように」が第一の目標だ。

 高校、大学とラグビーに明け暮れた経験から、役割分担し、協力する「チーム」の発送を医療に生かす。医師、看護師、理学・作業療法士らがチームを組む。各専門家が素早く対応するためだ。

 都庁舎を見上げる都心に2年前、リハビリテーション病院を開いた。充実したリハビリには、スタッフも量の確保が欠かせない。一般に病床と、事務職を除くスタッフの数が1対1なら手厚いとされるが、173床にスタッフ340人を配置。「最先端の機器や薬より、人手をかけたほうが効果がある」

 この方針が、長嶋氏の入院につながった。家族の記者会見でも、「想像をはるかに超えた回復」という。

 院内には、白衣姿も「先生」もいない。平均年齢27歳のスタッフ全員が呼び合う時は「さん」付け。都市型のモデル施設を目指す。

 ここ2年間で休みは1日。「既存の医療に挑戦的なことをする。わくわくします。」

文 吉野園子
写真 水村 孝



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