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脊髄損傷の希望の根拠 2005版 Bases for Hope for Spinal Cord Injury
ワイズ・ヤング(米国・ラトガーズ大学教授)
(2005年2月にCare Cure CommunityへUP、2005年5月JSCF事務局試訳)
原文参照→http://carecure.rutgers.edu/spinewire/Articles/SCIHope05.htm
1.希望の根拠―――――――――――――――――――――――――
■ 外科的、医学、リハビリケアの進歩は、脊髄損傷からの回復をかなり改善させた。
■ 研究者は、脊髄損傷動物を再生させ再髄鞘化させる、多くの治療法を発見した。
■ 第一世代の臨床治験が現在行われている。第二世代の治療法は、すぐに始まる。
脊髄損傷研究のためのより挑戦的な機会は、これまでにはなかった。
希望は、もう一度、科学者の心と思考の中にある。
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
- 脊髄それ自体は修復や再生できないとする伝統的なドグマは、決定的に破綻した。
- 大部分の科学者は、再生・再髄鞘化療法が可能なだけでなく、目前に迫っていると考えている。
人間の歴史のほとんどの期間において、脊髄損傷は不可逆的であるとみなされた。多くの医師は、それが回復しそうになく機能復元の治療を望んではならないと脊髄損傷患者や家族に告げてきた。本稿では、希望を抱く多くの理由があることを、あなたがたに確信させたい。我々がそこに到達するためには多くの作業が必要だが、トンネルの先には光が差し込んでいる。この分野の進歩を例示するために、我々は1995年と今日の到達点を比較し、ゴールへの過程を描き出す。
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2.1995年の最新療法 ―――――――――――――――――――――
■ 急性期・亜急性期の治療法
■ 痙縮と痛みの治療
- メチルプレドニゾロンは、神経保護的である(NASCIS、1990)
- GM1は、ヒトの移動能力の回復を促進する(Geisler、1991)
新たな治療法
- 鞘腔内のバクロフェン・ポンプ(Medtronics社)
- 三環系抗うつ薬アミトリプチリン(Elavil)
- IN-1抗体は、ラットにおいて再生を刺激する(Schwab, 1991-)
- 4−アミノピリジン静脈注射は、慢性脊髄損傷者の機能を向上させる(Hansebout, 1992-)
- 胎児組織移殖は動物を生存させる(Reier, 1992-)
- 神経栄養因子を分泌している線維芽細胞の移植(Tuszynski、1994)
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
1995年、クリストファー・リーブは脊髄を損傷後に機能を復元できる治療法があるかどうかを私に質問してきた。そしてもしそうなら、いつそのような治療が可能になるかと。私はもし、私たちが全ての資源を保有し、多くの労力を費やし、幸運に恵まれれば、回復治療法を初めて見出すまで最低7年は必要だろうと述べた。
1995年当時の私の意見表明の根拠はどこにあったのか?
第1に我々は1995年当時に、メチルプレドニゾロンが脊髄の損傷後早期に投与されたとき、神経学的回復をもたらすことを知っていた。
第2に、GM1またはmonosialicガングリオシドと呼ばれている薬剤は、損傷後48時間で開始され6〜12週継続して投与すると、患者の運動器官を改善することがFred Geislerによって報告された;当時、GM1の第3相臨床治験が進行中だった。
第3に、バクロフェン・ポンプは重篤な痙性に役立つことが示された。
第4に、脊髄損傷のニューロパシー痛への第1の治療選択として、三環系抗うつ薬が出現していた。
最後に、いくつかの治療は、IN-1(再生刺激抗体)、4−アミノピリジン(脱髄された軸索の伝導をの改善す薬)、胎児細胞移植、遺伝子改変の線維芽細胞を含む動物実験で有望であることが示された。
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3.外科的進歩―――――――――――――――――――――――――
■ 脊椎の除圧と安定化
- プレートによる前方・後方固定法
- チタン・ケージによる脊椎の部分修復
- 遅効性の除圧法は、損傷数年後でも機能を回復する(Bohlman)
■ 泌尿器科の処置
- 恥骨上カテーテル法
- Mitrafanoff法:へそを通して膀胱へカテーテル処置する集尿器の使用(皮膚膀胱ろう?)
- Vocare仙椎刺激
■ 脊髄空洞症嚢胞
- 脊髄の癒着を剥離し除圧することが、脊髄空洞症嚢胞の再発率の低下につながる
- 脳脊髄液の循環が、嚢胞発現を予防する鍵となる末梢神経ブリッジ
- 引き裂かれた神経根または神経を脊髄に入れること(Carlstedt、その他2000)
筋肉の神経支配の再現- ニューロパシー痛の減少
- 損傷部位以下の器官に対するより損傷部位の上方からの神経のブリッジ(Zhang, 2001; Brunelli, 2000)
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
外科的前進は、脊髄損傷ケアに革命をもたらした。
急激な脊髄減圧術と安定化は脊椎の前方・後方プレート術で可能となった。Hank Bohlman(ケースウエスタンリザーブ大学の整形外科医)は、脊髄減圧術が受傷数年後でも、相当な機能を復元することができると報告した。
経尿道カテーテル法ができない四肢麻痺患者に、恥骨上カテーテル法またはMitrafanoff法のような泌尿器科の処置は、より大きな自立をもたらす。Vocare仙椎刺激システムは、膀胱の機能的電気刺激を可能にする。これらの外科的手法の前進は何千人もの患者の生活の質を改良した。
脊髄空洞症嚢胞の外科的療法:損傷部位周辺で脳脊髄液の循環を回復して、脊髄の癒着と剥離を除去することで、嚢胞の再発は20%以下になる。
末梢神経ブリッジ:脊髄性の軸索は脊髄に移植される末梢神経になって、筋肉を神経により再支配する。それは感覚機能を復元しないので、そのような移殖の機能的な効果が制限されるが、いくつかの研究は、適切な成長経路を提供される場合、脊髄の軸索が再生することができることを明らかに示した(Carlstedtら、2000)。一部の外科医は、膀胱を含む麻痺している筋肉に、損傷部位より上方の機能している神経からの末梢神経ブリッジを用いる(Zhang, 2001)。
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4.末梢神経ブリッジ―――――――――――――――――――――――
末梢神経は再生する。損傷部位以下で筋肉の機能を戻す一つの方法は、損傷部位より上に神経に末梢神経ブリッジを使用することである。下図はその方法を示す。
損傷部位以下に損傷部位より上方からの神経を接続することによって、膀胱を含む麻痺している筋肉を神経による再支配することは可能である。この手法は、いくつかの理由からまだ危険性がある。
第1に、それは損傷部位より上の神経を犠牲にする必要がある。しばしば、損傷部位の上下の神経は十分に長くなく、ブリッジする神経も必要である。第2に、損傷部位以下の筋肉への神経の切除は、しばしば筋肉の萎縮を引き起こす。なぜなら、軸索はゆっくりと1日に1−2mm日の割合で成長するので、再成長している軸索が筋肉に達する前に、筋肉はたいてい萎縮してしまう。これら双方の危険性は、損傷部位の上下に使用される神経を慎重に選択することによって減少することができる。例えば、脊髄損傷部位が胸部の場合、膀胱または脚の筋肉を神経再支配するために損傷部位より上に肋間神経を使用することは可能である。同様に、腓腹神経(脚の感覚神経)が神経ブリッジにしばしば使われる。にもかかわらず、これらの処置は非可逆的であるのでこれらの外科的処置のリスクと効果は慎重に比較考量しなければならない。
筋肉への末梢神経ブリッジ:損傷部の上方から筋肉へ末梢神経をブリッジ。
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5.薬物治療――――――――――――――――――――――――――
急性期・亜急性期の治療法
NASCIS 2:
*注:NASCIS= National Acute Spinal Cord Injury Study:米国脊髄損傷急性期研究プロジェクト
- 24時間のメチルプレドニゾロン(MP)<プラセボより8時間以上>
NASCIS 3:
慢性期の治療法
- 損傷後3時間以上経過して投与を始めたときより、48時間のメチルプレドニゾロン投与のほうが良い(1998)。
- 最初のMP注入後のTirilazadメシレートの48時間投与は、MPの24時間投与と類似している
- MP+GM1の投与はMP単独投与と比較して回復を1年でなく6週間加速する(Geisler, 1999)
チザニジン(筋弛緩薬、テルネリン):より少ない副作用で痙性を減らす
髄腔内バクロフェン投与:最小の副作用で重篤な痙性さえ効果的に減らす
経口の4−アミノピリジン(4-AP)投与:
- 疼痛と痙性を減らす可能性がある(Hayes, et al. 1998)
- 膀胱、腸、性機能を改良する可能性がある
- 患者の3分の1は、4-APの投与で、運動・感覚機能の改善の可能性がある
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
たくさんの新しい薬物療法が、過去5年間のうちに現れた。
第3次米国脊髄損傷急性期研究プロジェクト(NASCIS 3):このプロジェクトはメチルプレドニゾロン(MP)の48時間投与が24時間投与より優れていたことを明らかにした。
- Fidia GM1試験は、monosialic ganglioside(GM1)の6週投与が受傷後の機能回復を加速することを示した。しかしながら、それは受傷後6-12ヵ月の回復の最終的な範囲を変えなかった。これには、不十分な服用または治療の継続による影響の可能性があった。
- 3つの新しい薬物療法またはアプローチが、慢性脊髄損傷治療に一般化した。これらは、痙性のその効果においてクロニジンと類似しているチザニジンを含む。
髄腔内バクロフェン投与は、現在広く使われている。最後に、経口の4−アミノピリジンは、慢性脊髄損傷の約3分の1の人々の腸機能、膀胱機能と性機能を改良する。
多くの人々がこれらの薬物療法を脊髄損傷の治癒における重要なステップとみなさない中にあって、これらの処置は多くの患者の生活の質をかなり改良した。そして、慢性脊髄損傷の重いいくつかの合併症――痙性、腸機能、膀胱機能と脱髄――についても同様である。
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6.リハビリテーションの進歩――――――――――――――――――――
膀胱機能:
ニューロパシー痛治療:
- 尿流動態検査
- カプサイシンの小胞の点滴注入と痙性のためのditropan
抗てんかん薬:
- アミトリプチリン(Elavil)
Glutamate受容体拮抗薬:
- Carbamapezine(テグレトール)
- 高用量ニューロイチンNeurontin(ギャバペンチン)
- ケタミン
- デキストロメトルファン
- カンナビノイド
■ 機能的電気刺激(FES)
「学習された不使用」を逆転させること
- フリーハンドの手の刺激装置
- 手の外部刺激装置
- 脚/歩行刺激装置
- FES装置訓練
- サイクリング装置
- 強制的使用訓練
- バイオフィードバック治療
- 免荷トレッドミル運動訓練
- ロボット運動用具
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
大きな前進の多くは、過去10年のリハビリテーションの成果である
- 膀胱機能:尿流動態検査は、膀胱痙性への積極的治療と尿路感染の合理的治療法による臨床実践の定番になった。膀胱痙性の新しい治療法は、カプサイシンとditropanのintravesicular(生体内嚢?)投与を含む。ニューロパチー痛のためのいくつかの薬が現れた。そして、低用量アミトリプチリン(Elavil)、ギャバペンチン(ニューロチン)とcarbemapazine(テグレトール)を含む抗てんかん薬、グルタミン酸受容体遮断薬(例えばケタミンとデキストロメトルファン)とカンナビノイドを含んでいる。
- 機能電気刺激(FES):100社以上が、電気刺激装置を製造している。これらは、てのフリーハンド刺激システム(移植可能でコンピュータ制御による手の刺激システム)、運動と他の機能のための手の外部刺激装置、脚と歩行のための刺激装置(例えばParastepシステム、トレッドミルと自転車を含む種々のFES運動装置)を含む。
- 「学習された不使用」の逆転:リハビリテーション科学で最も大きな前進は、神経学的欠損の原因としての「学習された不使用」の理論の最近の出現である。使われないとき、筋肉は萎縮する。最近のデータは、筋肉が使われないとき、脊髄の神経回路が止まる(turn off)ことを示唆する。強制的使用訓練、バイオフィードバック治療、歩行トレッドミルおよびロボット訓練を含む多くの方法が、「学習された不使用』を逆転させることに利用できる。
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7.再生療法――――――――――――――――――――――――――
■ 軸索成長抑制拮抗薬
■ 軸索成長因子
- Nogo 阻害Humanized IN-1 t (Schwab, 2001)
- Nogo受容体拮抗薬(Strittmatter, 2001)
- コンドロイチン分解酵素(Fawcett, 2000)
■ 治療ワクチン
- NGF+BDNF+NT3 (Xu, 2001)
- イノシン(Benowitz(1999))
- AIT-082(新治療物質)
- アデノシン(Chao, 2000) 塩化リチウム(Wu, 2004)
■ 細胞療法
- 脊髄同質(homogenate)ワクチン(David, et al., 1999)
- ミエリン塩基性蛋白質及びcopaxone (Schwartz, 2001)
■ 細胞接着分子(L1)
- 活性化マクロファージ(Schwartz, et al. 1998-2000)
- 胚性・胎児性幹細胞
- OEC(嗅神経鞘細胞グリア)(Ramos-Cuetos, 2000)
- シュワン細胞移植(Xu)
■ 軸索成長メッセンジャー
■ 電気刺激
- 環状AMPの増殖(Filbin, 2002):・ロリプラムPDE4抑制薬
- C3 Rhoまたはロー・キナーゼ抑制薬(McKerracher(2001)
- 交流の電気(Borgens、1997)
*・・*・・・〔解説〕・・・*・・*
動物において多くの治療法が再生を促進する
- 軸索成長抑制抗体:IN-1抗体は、Nogo(軸索成長を阻害するタンパク質)に結合する。
Nogoレセプターのブロックおよびまたは、Nogo受容体蛋白結合成長抑制物質も、脊髄再生を刺激する。コンドロイチン-6-硫酸塩プロテオグリカン(CSPG)は軸索成長を止め、コンドロイチン分解酵素は再生を促進する。- 成長因子:NGF、BDNFとニューロトロフィン-3(NT-3)を含む神経栄養因子は、軸索成長を刺激する。ヌクレオチドは、イノシン、アデノシンとAIT-082(グアノシン誘導体)を含む軸索成長を刺激する。リチウムはコンドロイチン分解酵素の効果を増大する。
- 治療ワクチン:ワクチンは再生する抗体の産生を刺激する。Schwartzらはミエリン塩基性蛋白質(MBP)によって活性化するリンパ球と、copaxoneが回復を改善することを報告した。
- 細胞移植:細胞移植としては、機能回復を改善する活性化マクロファージ、胚性・胎児性幹細胞、OEC(嗅神経鞘細胞グリア)及びシュワン細胞。
- 細胞接着分子: L1は、脊髄再生を促進する。
- 軸索成長メッセンジャー:細胞内の環状AMPは軸索成長抑制物質にもかかわらず、軸索成長を促進する。
- 電流:交流電気は、脊髄の軸索増大を刺激する。
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8.再髄鞘化療法――――――――――――――――――――――――
■ シュワン細胞移殖
■ オリゴデンドログリアの細胞移植
- 損傷部位にシュワン細胞を浸潤させる(Blight, 1985; Blakemore, 1990)
- シュワン細胞移植((Vollmer, 1997)
- 末梢神経移植(Kao)
■ 幹細胞
- 内在性の幹細胞は、オリゴデンドログリアの前駆細胞を形成する(Gage, 1999)
- O2A細胞は、脊髄軸索を再髄鞘化する(Blakemore, et al. 1996-)
- 移植された胚性幹細胞は、脊髄を再髄鞘化するオリゴデンドログリアを形成する(McDonald, 1999)
■ OEC(嗅神経鞘細胞グリア)移殖
- ラットへのマウス胚性幹細胞移植(McDonald,et al 2000)
- ブタ胎仔の幹細胞移植(Diacrin)
- ヒト胎児の幹細胞(モスクワ及びノボシビルスク)
■ 抗体療法
- 移植されたOEG細胞は、脊髄の軸索を再髄鞘化する(Kocsis, et al. 1999)
- M1抗体は、再ミエリン化を刺激する(Rodriguez, 1996-)
- Calpaxone(コポリマー2)は、ラットの回復を改善した(Schwartz, et al. 2001)
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
多くの治療法が脊髄を再髄鞘化する。これらは、以下を含む:
- シュワン細胞移殖:初期試験は、シュワン細胞が傷ついた脊髄に侵入することを示して、軸索を再髄鞘化する。多くの研究者が、シュワン細胞を脊髄に入れた
- 幹細胞移植:胚性幹細胞は、オリゴデンドログリアの前駆細胞を生産して、脊髄を再髄鞘化する。胎児の神経幹細胞は、同様に再髄鞘化された軸索にできるオリゴデンドログリアを生産する。いくつかの研究は、骨髄幹細胞それ自身が軸索を有髄化していることの説得力がまだ無いにもかかわらず、骨髄幹細胞が再髄鞘化を促進することを示した。
- OEC移殖:これらの細胞は、再成長を促進して、脊髄の軸索を再髄鞘化する。
- 抗体療法:いくつかの抗体は、脊髄で再髄鞘化を促進する。これらの抗体は、損傷によって誘導される自己抗体を含んで、脊髄損傷に関する治療ワクチンの薬効の一部である可能性がある。M1と呼ばれているモノクローナル抗体は分離された、そして、ヒトの抗体のパターンは現在見つかっている。同様に、copaxone(多発性硬化症治療薬)は抗体産生を促進して再髄鞘化を容易にするだろう。
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9.1995年以降の臨床試験――――――――――――――――――――
■ 胎児細胞移植による進行性脊髄空洞症治療(ゲインズビル:フロリダ、ラッシュ・プレスバイテリアン:シカゴ、カロリンスカ:スウェーデン、モスクワ、ノボシビルスク、中国) ■ 4−アミノピリジンによる慢性脊髄損傷治療(アコルダ社、第3相試験、Model SCI Centersにて) ■ 活性化マクロファージによる亜急性期の脊髄損傷治療(プロニューロン社、イスラエル) ■ ブタの神経幹細胞の脊髄損傷サイトへの移植(Diacrinオールバニー医療センターとワシントン大学セントルイス校) ■ 交流電気刺激による亜急性脊髄損傷治療(インディアナのPurdue大学、更にはダブリン:アイルランド) ■ AIT-082による亜急性脊髄損傷治療(Ranchos Los Amigos、ゲイロード、クレイグ病院,トーマス・ジェファーソン・リハビリセンターにおける新治療法の治験) ■ 神経栄養因子を混合させた末梢神経ブリッジ(Cheng 台湾) ■ テオフィリン(気管支拡張剤)療法による呼吸器依存患者に対する呼吸機能の復元(Goshgarian、ウェイン州立大学) ■ その他の臨床試験:さまざまなリハビリ療法、痙性と神経障害性疼痛の治療法を試験する多くの治験が行われた。
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
1995年以降、いくつかの治療法の臨床試験が実施された。
これらは、以下を含む:
- 胎児細胞移植:フロリダ、スウェーデン、ロシアおよび中国の多くの施設で、慢性脊髄損傷者にヒト胎児細胞を移植が行われ、これらの細胞が慢性脊髄損傷者に安全に移植できることを示唆した。これらの細胞を単独で移植した場合の効果は限定されるが、他の治療法が併用された場合により効果的である可能性がある。
- 4−アミノピリジン(Fampridine):この薬は、軸索の伝導を改善して、おそらく慢性脊髄損傷者の3分の1の人々の機能を向上させる可能性がある。2つの最近の臨床試験は、それが慢性脊髄損傷者の痙性を持続的に改善しないことを示唆する。多発性硬化症に対するFampridineの臨床試験は、間もなく開始されるだろう。
- 細胞移植:活性化マクロファージは、2ダース以上の患者に移植され、若干の効果(modest benefits)をあげた。同様に、ブタ幹細胞は慢性脊髄損傷者に移植された。
- 交流電気刺激:電流は脊髄で軸索成長を刺激することが長年報告されてきた。Purdue大学でのこの研究では、受傷直後2週の間の患者に最初の治験が行われた。第1報では、感覚機能の改善の可能性を示唆している。
- ALT-082:この経口薬は、米国の4施設において亜急性脊髄損傷(2週以内)で試験された。成績は、まだ刊行されていない。
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10.他の臨床治療――――――――――――――――――――――――
■「学習された不使用」を逆転させる免荷トレッドミル歩行訓練
脊髄のCPG(セントラル・パターン発生器)を活性化し脊髄を刺激する(アリゾナ大学、ツーソン)
- トレッドミル歩行訓練をテストする米国NIHの多施設臨床試験(NICHD)
- ドイツとスイスでのLaufband(トレッドミル)臨床試験
実験的な外科療法
- 脊髄の除圧・開放、末梢神経移植、大網膜移植、高圧酸素療法、4−アミノピリジン(エクアドルのDr. C. Kao)
- 慢性脊髄損傷のための胎児幹細胞移植(A. S. Bruhovetsky博士、モスクワ)
- 胎児幹細胞とOEC(嗅神経鞘細胞)グリア移殖(Dr. S. Rabinovich,ノボシビルスク)
- 横切脊髄の末梢神経ブリッジ:・サンパウロ大学のBarrosは、6人の患者にブリッジした
- 台湾の鄭(Cheng)は20人の患者にブリッジした:北京でも治験を行う
- 尺骨の坐骨神経ブリッジ(Brunelli, イタリア)
- 大網膜移植(キューバ、中国、イタリア)
- サメ胎児の移植(ティファナ:メキシコ)
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
他の臨床いくつかの治療は、世界中の臨床施設で検証されている。
これらは、以下を含む:
- 免荷トレッドミル歩行運動訓練:ヨーロッパのいくつかのグループは、脊髄損傷後これまでに歩けなかった48%もの人々が、免荷トレッドミル歩行運動装置を使用して再び歩くために訓練を受けることができたと報告した。
- CPG(脊髄の歩行運動発生中枢)への脊髄電気刺激:アリゾナ大学で、彼らは歩行運動を活性化させるための脊髄電気刺激の臨床治験を開始している。これは、特に移動訓練に役立つ可能性がある。
- 実験的な外科的アプローチ:多くの施設において、実験的な外科的療法を提供している。これらは、ロシアでのOEC移植、下部の末梢神経に対する上の神経の末梢神経ブリッジ、切断された脊髄の末梢神経ブリッジ、そしてサメ胎児の移植さえ行われている。
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11.治験中またはまもなく実施予定の治療――――――――――――――
OEC移殖
■ シュワン細胞自家移植(エール大学及びマイアミプロジェクト)
- ヒト胎児OEC移植(北京、ロシア)
- ヒトの鼻粘膜移殖(リスボン)
- ヒト鼻粘膜のOEC自家移植(ブリズベーン、オーストラリア)
- 慢性脊髄損傷を再生させるIN-1抗体(Novartis社, チューリッヒ大学)
- Nogo受容体拮抗薬(Biogen社、エール大学)
- 慢性脊髄損傷において軸索伸張を刺激するイノシン(BLSI, MGH)
幹細胞移植
■ コンドロイチン分解酵素(ロンドン(中国))
- 骨髄幹細胞(骨髄間質細胞)
- 臍帯血幹細胞移植
- 遺伝子改変の幹細胞自家移植(BDNF及びNT-3)
■ cAMPを併用した細胞移殖 (Rolipram & dibutyryl)
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
いくつかの治療法ではすでに、又はすぐに治験が行われる。
- OEC移殖:脊髄へのヒト胎児OEC移植(北京)、または鼻粘膜からのOEC移殖(リスボン、ブリズベーン)が行われた。北京では、Hungyun Huang(黄紅雲)博士は、500人以上の患者に胎児のOEGを移植した。
- ヒューマナイズド・インジウム1(IN−1):ノバルティス社は、ヒューマナイズドNogo結合抗体を開発して、1年以内に臨床治験をする予定になっている。
- イノシンは、脊髄損傷の臨床治験のためにボストン・ライフサイエンス社によって開発されている。
- シュワン細胞移植:成体末梢神経(エール大学及びマイアミ)から、または組織から(昆明)増殖させ、他の治療法と結合されるとき、シュワン細胞は再生を刺激する可能性がある。
- ヒト幹細胞移植:これらには、骨髄由来の成人幹細胞自家移植、神経栄養因子を発現させた遺伝子改変の幹細胞、臍帯血幹細胞を含む。
- コンドロイチン分解酵素:この酵素が脊髄でどのように成長を促進するかについての肯定的な報告がいくつか寄せられており、これは使われるようになるだろう。それは細胞移殖や塩化リチウムを含む他の治療と結合されるだろう。
- シュワン細胞とロリプラム・dB環状AMPの併用:これらは現在、霊長類で試験されている。
上↑
12.最近の治療的前進――――――――――――――――――――――
胚性幹細胞(ESC):移植されたESCは、脊髄で運動ニューロンを産生するだろう(Harper, et al. 2004; Wisconsin, 2005)
ジブチリル環状AMPまたはロー・キナーゼ抑制薬と併用される胚性幹細胞移植は、軸索に前根の外へ送信する運動ニューロンを産生する(Harper, et al., 2004)
■ Nogo受容体拮抗薬:Nogo受容体蛋白及び抗体(Strittmatter, et al., 2004) ■ コンドロイチン分解酵素:コンドロイチン分解酵素は脊髄再生を刺激し、機能回復をもたらす ■ Ephレセプター: EpHレセプター抗体は、ラットでの再生を刺激する。(Eph=ニューロンの分子結合のタイプ) ■ 神経栄養因子由来グリア: GDNFは、神経保護的であり、ラットで機能的な回復を改善した ■ 併用療法
シュワン細胞はジブチリル環状AMP及びロリプラム(ホスホジエステラーゼ阻害薬)と併用された(Bunge, et al.)
シュワン細胞はコンドロイチン分解酵素とGDNFと併用された(Xu, 2003) シュワン細胞移植と組合せニューロトロフィンすなわちBDNF、NGF、NT-3との併用(Xu, 2002)
コンドロイチン分解酵素とリチウムの併用は単独投与より効果的である(Wu, et al, 2004).
神経幹細胞とL1細胞接着分子(Grumet, et al., 2004)
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
この分野の全ての主要な治療的進歩をチェックすることは、可能でない。しかしながら、最近のいくつかの前進は、脊髄損傷で非常に治療的な可能性を拡大した。
- 胚性幹細胞(ESC):胚性幹細胞は脊髄に移植されると、ニューロン、オリゴデンドログリアと神経膠星状細胞を産生する。最近の研究では、胚性幹細胞移植が運動ニューロンを産生するだけでなく、軸索が神経根(the vental roots)の外へと送られ筋肉への神経再支配を行うことを示唆している。
- Nogo受容体拮抗薬:Nogoは、脊髄で最初に発見された軸索成長抑制物質であった。Nogo受容体はNogoに反応するだけでなく、他のいくつかの成長抑制性の分子に反応する。 最近の研究からは、Nogo受容体拮抗薬とNogo受容体蛋白それ自身が再生を刺激することにより効果的なことを示唆している。
- コンドロイチン分解酵素:この酵素は最も一般的な軸索成長抑制物質(コンドロイチン-6-硫酸塩-プロテオグリカン、CSPG)を分解させる。コンドロイチン分解酵素は最高1週間にわたりCSPGを脊髄の細胞外間隙から除去し、軸索を最後まで成長させる。
- 神経栄養因子由来グリア(GDNF):グリアによって産生されるこの神経栄養因子は、ニューロンを保護するだけでなく、神経成長をも刺激する。
- 併用療法:多数の併用療法は、個別療法より良いことが現在報告されている。
上↑
13.治療法の世代分類――――――――――――――――――――――
■ 第1世代の治療法:4-ピリジニン(Acorda社)
増殖因子:GM1(Fidia)、AIT-082(新治療法)、電気刺激(Purdue大)
細胞移植:胎児の細胞(UFG)、マクロファージ(Proneuron)
ブタの幹細胞(Diacrin)、ヒト胎児幹細胞、末梢神経移植
移動訓練:免荷トレッドミル歩行訓練(UCLA)、移動FES(アリゾナ大)■ 第二世代の治療法:抗体療法;Humanized IN-1(ノバルティス社)、M1抗体(Acorda社)、Calpaxoneコポリマー(Teva)
成長因子:ニューロトロフィン(Regeneron)、イノシン(BLSI)、Rollipram(PD-4抑制薬)
細胞移植:OEC、骨髄幹細胞、ヒト神経幹細胞、ヒト幹細胞、遺伝子改変の幹細胞、臍帯血幹細胞
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
治療法を世代として認識することは有益である。
第1世代の治療法:現在あるいはまさに臨床治験が開始された治療法である。これらの治療は、脊髄損傷後の機能を復元する第1の試みである。それが成功している場合、それは若干の機能を一部の人々に戻しそうである。これらの治療法は、例えば4−アミノピリジン、軸索増殖因子(GM1、AIT-082など)、電気刺激を含んでいる。 これらの治療法はさらに、特に集中的なリハビリテーションと移動訓練と結合されるとき、細胞移植を含む第1段階の臨床試験の多くが限られた機能を一部の人々に回復する可能性があるだろう。
第2世代の治療法:より多くの人々にたぶん、より効果的である。これらの治療は、再生を促進し再髄鞘化する抗体で、IN-1抗体、M1抗体、calpaxoneなどが含まれる。多分治験がなされるであろう成長因子は、神経栄養物質、イノシンとホスホジエステラーゼ4(PDE4)抑制薬の併用を含む。OEC,自家骨髄幹細胞(成人)移植、ヒト神経幹細胞、ヒト胚性幹細胞、そして遺伝子改変細胞を含むより効果的細胞移植の治験が恐らくなされるだろう。全てのこれらの処置が効果的であるというわけでない、しかしこれらのうちの1つか2つの治療法が機能を復元することがわかれば、我々は脊髄損傷後に機能を復元する最初の治療法を受けることになるだろう。
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14.第3世代の治療法――――――――――――――――――――――
併用療法
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
- 再生:隙間をブリッジする、成長因子、軸索抑制因子の克服、軸索の目標への誘導
- 再有髄化:再有髄化刺激、シュワン細胞・OEG・O2A・幹細胞移植
- 回復:4−アミノピリジン、バイオフィードバック治療、強制的使用治療
1995年には予想されていなかった治療法
再生的再有髄化作用を持つワクチン- 幹細胞:神経置換による運動ニューロンの差替え、細胞の静脈内投与、萎縮過程の反転
- 軸索誘導:細胞接着因子(L1とEpH)、軸索成長を導くラジアル細胞とOEC
第3世代の治療法は、我々が「治癒」と言うかもしれないものにより近い。
- 併用療法:再生と機能的な回復のためのいくつかの障害に併用療法は対応する。例えば併用療法としては、神経の間隙をブリッジするために成長因子、成長抑制抗体に加え、軸索をそれらの目標へ導く細胞接着分子を用いるだろう。再生療法は、再髄鞘化刺激、シュワン細胞とオリゴデンドログリアの移植、そして幹細胞の抗体を含む再髄鞘化治療と結合されるだろう。
最後に、機能を復元する治療として、4−アミノピリジン、バイオフィードバック法、強制的使用訓練を含むものが用いられるだろう。- いくつかの治療法は、3年前でさえ想像できなかった:損傷脊髄の再生と再髄鞘化をもたらすワクチン、ニューロンの代替により筋萎縮を逆転させるための幹細胞移植の使用、そして、失われた運動ニューロンの代替のようないくつかの治療法は、1995年に予測することができなかった。例えば、中枢神経系における成体幹細胞は、1998年まで示されさえしなかった。L1とEphレセプターのような細胞接着分子は、以前には脊髄再生の役割を演じることは知られていなかった。我々は、併用療法の驚くべき有効性を予想することができなかった。
最後に、我々は研究が進行するにつれて、我々がおそらく現在想像することができないより多くの治療法の登場を予想しなければならない。
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15.新しい科学的トレンド―――――――――――――――――――――
■ 高用量スクリーニング:高用量スクリーニングのテスト法、より良い組織培養と動物モデル ■ 遺伝子発現研究:再生の新たな測定法(RAGs)、成長因子と遺伝子を脊髄に運ぶ遺伝子改変幹細胞 ■ 組換え型の分子および遺伝子治療:生体外・生体内の遺伝子治療、遺伝子搬送用の非ウイルス・ベクター ■ 免疫療法:活性化マクロファージとTリンパ球、内因性の抗体産生を刺激する治療ワクチン
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
新しい科学的ないくつかの傾向は、この分野における進歩を非常に加速する。長年、脊髄損傷研究は、小規模で非常に労働集約型の実験で、行われきた。
- 高用量スクリーニング:まず初めに、我々には処置メカニズムのより良い定義づけと薬効のより迅速な実証を可能にする高用量スクリーニングテスト法がある。例えば、いくつかのグループは、現在系統的にすでにFDAから他の薬効の承認を得た多くの治療を評価しており、脊髄損傷で薬効を持つ可能性がある。
- 遺伝子発現研究は、特異的な遺伝子と損傷に対する反応を識別する。例えば、遺伝子チップは、治療的研究のために再生と他の現象の定量的計測を提供する可能性がある。
- 組換え型の分子および遺伝子治療は、細胞と動物に適応されている。遺伝子操作技術は、現在、脊髄の細胞に特異的な分子の遺伝子を挿入するのと同様に、治療のためのタンパク質と合成の分子を作るために、利用できる。
- 免疫療法:我々が理解する免疫療法の最近の進歩は、脊髄を再生させ再髄鞘化を促進する非観血的治療をもたらしそうなことである。同時にこれらの技術は、来るべき脊髄損傷研究の質と評価を著明に改善するだろう。
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16.回復に備えること――――――――――――――――――――――
■ 不可逆的な手術を回避しなさい:脊髄後根切断術、回腸導管、末梢神経ブリッジ ■ 筋肉、骨、神経の萎縮を予防しなさい:痙性を除去してはいけない、骨に重力を加える立位訓練、神経回路の使用 ■ 「学習された不使用」と萎縮を逆転させること:理学療法、Fampridine(4−アミノピリジニン)、立位台、振動盤、強制使用訓練のパラダイム(注:マヒした手足を他動的に動かすリハビリを行うことによって、筋量の増加と筋肉の自律運動の回復を意図していると思える)、機能的電気刺激、バイオフィードバック療法、運動プログラム。
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
最もしばしばされた質問された問題の1つは、来るべきいくつかの臨床試験に備えるために脊髄損傷者は何をなすべきか、である。
これらの取り組みの主な長所は、それがまた若干の機能を復元するということである。再生・再髄鞘化療法が最適化されて実施できるようになったとき、これらの取り組みはそれぞれの治療法を通じてあなたの身体に効果を挙げるようになるだろう。
- 不可逆的な手術を回避しなさい:脊髄後根切断術、外科的な尿管迂回路の造設、末梢神経ブリッジのような回復不能な治療を回避しなければならないことは常識的なことである。腱移行術や尿管のmitrafanoffなどのいくつかの手術は可逆性である可能性がある。
- 筋肉、骨、神経の萎縮の予防:マヒのために筋肉、骨、ニューロンが使われなくなったことによる萎縮を予防することもまた重要である。比較的信頼できる簡単な方法は一定濃度(titer)の抗痙性治療であるが、それは完全に筋緊張を除去しないことで、痙性それ自身により筋肉量を維持し続けられる。人間は立っていることで骨にいくらかの圧力にさらすことになり、そのことが骨塩量の減少する脱灰となることを減少させる。
- 「学習された不使用」の逆転:人は、学習された不使用となることを予防して、そのメカニズムを逆転させるために、それらの神経回路を使用していなければならない。理学療法、強制的使用訓練パラダイム、機能的電気刺激、バイオフィードバック治療、運動プログラムを含む多くのアプローチが可能である。
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17.機能を復元すること―――――――――――――――――――――
「完全マヒ」は完全ではない
脊髄が横に切断されることは、珍しい現象である。
10%以上の軸索が残存していれば、相当な機能的な回復を支持することができる
「完全マヒ」の損傷さえ、若干の機能を回復する
■ 残存している軸索は、有髄化される必要がある
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
- 4−アミノピリジンは、ニューロンの伝導を改善する
幹細胞や他の細胞は脊髄の軸索を再髄鞘化(有髄化)する
学習された「不使用」を逆転させること
短期間の「不使用」でさえも、(神経)回路をオフにすることができる- 集中的な「強制的使用」運動は、機能を復元する
おそらく、脊髄損傷の臨床試験の最も大きな障害のうちの1つは、機能を復元しているどんな治療法に対してもその見通しに関する臨床家の悲観論である。この悲観論は、脊髄損傷の3つのよくある誤解から生じている。
- 完全な脊髄損傷 :長年にわたり臨床家は、人は損傷部位以下のいかなる神経学的機能も有していないとき、これが損傷部位で全ての軸索の完全な損失と同等視されることができたと思ってきた。これは、真実でない。脊髄が物理的に横に切断されることは、非常に珍しい現象である。脊髄の軸索が10%未満残存するだけでも、相当な機能をサポートすることができる。
- 損傷部位の下の機能の欠如は、軸索の欠如を意味しない。ニューロンの脱髄は神経学的喪失の原因となる。損傷部位の多くの軸索は脱髄されるだろう。4−アミノピリジニンという薬剤は、脱髄された軸索のインパルスの伝導を改善することができ、また脊髄を再髄鞘化する多くの方法がある。
- 回復の破綻:「学習された不使用」という概念は、脊髄の損傷後40%もの人々がなぜそれ以上回復できないかを説明する重要な理由となっているであろう。現在いくつかの研究が示すところでは、受傷後けして歩けない40%もの人々は集中的なトレッドミル歩行運動訓練を通して再び歩くために訓練することができるということである。
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18.細胞の喪失と代替――――――――――――――――――――――
細胞の喪失:
- 第1次細胞喪失
- 第2次壊死;中枢部の出血による壊死、ワーラー変性*、アポトーシス(プログラムされた細胞死)、脊髄灰白質の受傷48時間以内の神経学的アポトーシス、2週間以内のオリゴデンドロサイトのアポトーシス
- 嚢胞性の脱髄:脊髄空洞症、慢性脊髄症
- 筋肉のアポトーシス
* ワーラー変性:脊髄の損傷後、数時間から数日後に軸索や髄鞘は傷害部位から末梢に向かって徐々に崩壊していくこと。
細胞喪失への処置
*・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
- 内在性幹細胞:上衣細胞=脊髄幹細胞、軸索成長をサポートする上衣(細胞)の「足場」
細胞代替療法- 胚性幹細胞、NRPsとGPRs、鞘内幹細胞、組織幹細胞
- 筋萎縮予防のための胎児性神経幹細胞移植
- 神経の喪失:多くの科学者が脳と脊髄の下方との接続のための再生と軸索の再髄鞘化に焦点を当てているが、脊髄におけるニューロンの喪失はシリアスな課題である。脊髄への最初の外傷は、カルシウムの流入、フリーラジカル(有害な活性酵素)により二次的な神経の喪失につながり、炎症性反応にさらされるが、その一部はメチルプレドニソロン療法により保護することが出来る。脊髄空洞症嚢胞の形成と進行性脊髄症の存在を含む脊髄の慢性的変性という変化の問題がある。最後に筋萎縮が生じる。脊髄損傷の治癒には、細胞代替療法が含まれることが必要である。
- 細胞代替:長年にわたり、ニューロンの代替は不可能であると考えられてきた。しかし最近の研究から、脊髄には幹細胞があり、おそらく脊髄のニューロンとオリゴデンドロサイトは差し替え可能であることが示唆されている。その手法は細胞代替療法のために開発されている。それらの手法としては、脊髄への胚性幹細胞の直接移植、神経・グリアとなるよう限定された前駆細胞の使用、幹細胞の髄内注入、幹細胞の血管内注入、および幹細胞の筋肉内注入(筋萎縮の予防)が含まれる。これらの細胞代替の新アプローチは、頚部や腰レベルで神経を損傷した人々の機能を回復させるであろうし、同様に脊髄虚血や感染によりニューロンが死滅した(ポリオのような)患者にも役立つだろう。
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19.問題解決法――――――――――――――――――――――――― *・・・*・・・〔解説〕・・・*・・・*
- 脊髄損傷研究の深化
- 有望な治療法のシステマティックな前臨床試験
- 米国における脊髄損傷の臨床試験
- 多様で大量の移植可能な幹細胞資源
- 特異的状況に最適化された遺伝子改変幹細胞
組み合わせ療法
ラトガーズ大学におけるプログラム- 脊髄損傷研究を実行するための研究室での教育
- 脊髄損傷研究を向上させるためのツールの提供
- SCI Cure と NGELのデータベース作成
- 細胞代替療法の標準化
- 科学者・臨床家の年次シンポジウムの開催
- 臨床試験実施のための「中国脊髄損傷ネットワーク」の構築
- 北米脊髄損傷ネットワーク
動物モデルで作用する治療法が、人間で必ずしも機能する保証はない。有望な臨床試験の勝算を増加するために、我々は有望な臨床試験のための最適の治療法を系統的な前臨床試験として確立しなければならない。我々は多数の共同研究を開始しなければならない。幹細胞移殖は脊髄損傷において主要な役割を演じるであろうが、しかし我々は移植する適切な幹細胞資源を現在のところ持っていない。最後に、併用療法は将来の手法である。我々は併用療法を系統的にテストしなければならない。
ラトガーズ大学で、我々は治療法を開発し最適化する脊髄損傷研究室の数を増やすことに注意を集中している。こうするために、我々は現在までに200以上の研究室をよく標準化されたラット脊髄損傷挫傷モデルを使用するために訓練した。我々は、前臨床テストの効率を高める実験的なツールを開発している。例えば、我々のセンターではラットの遺伝子チップを開発したが、これは治療評価のアセスメント、再生を可能にする遺伝子の同定、ニューロパシー痛、痙性、脊髄の修復、再髄鞘化と再生・修復を大きく促進する幹細胞の動態に関する研究室の能力を顕著に早めるものである。我々は科学者、臨床家とともに年4回のワークショップと年次シンポジウムを開催し、最新の脊髄損傷研究について学んでいる。最後に、我々は治療法のテストのために中国臨床研究ネットワークを開発し、また米国において同様のネットワークの開発に着手した。■
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