| クリフトファー・リーブ麻痺財団 |
| (Christopher Reeve Paralysis Foundation、CRPF) |
同財団は、アメリカにおいて脳脊髄損傷治療に関連する研究の推進と障害者支援を目的として活動する、著名な民間団体である。同財団のプレスリリースをもとにその概要を紹介する。
1, 財団の設立
CRPFは、1999年4月、アメリカ麻痺協会(American Paralysis Association、APA)とクリストファー リーブ財団(Christopher Reeve Foundation、 CRF)の合併によって成立した。APAは1982年に設立されて以来、脳脊髄中枢神経系研究に対する資金援助において、国際的に指導的な役割を担ってきた。設立以来の17年の間に投じた資金は1700万ドル以上、支援を受けた研究者は世界各国にわたり365名以上に達する。それはいわばシード・マネー(Seed Money)となり、脊髄神経再生の可能性が明らかになったことも含め、中枢神経分野の研究において今日重要な意味を持ついくつかの突破口が切り開かれるのに大きく貢献した。
CRFは1996年クリフトファー リ−ブによって創設された。これまで300万ドル以上の資金を調達し、そのうち75%を直接APAの研究プログラムに対して、25%を障害者のQOL(生活の質)向上を目指す障害者団体に対して、助成金として振り向けてきた。APAとCRFは、その資金とその持てる力を統合して両組織の力を一層強化するために合併を決定した。
2, 財団の使命
CRPFは、脊髄損傷とその他中枢神経系傷害を原因とした麻痺の有効な治療方法の開発にねらいを定めた研究を奨励し支援していく。支援にあたっては、研究プログラムに対して助成金を授与するものとし、国際的に認められた第一線の神経科学者と臨床学者の会議によって、助成対象となる研究プログラムを評価し選定する。一方、障害者のQOLを改善する為に障害者団体に対して助成金を拠出する。
これらは以下の現実認識を踏まえたものである。アメリカにおける脊髄損傷者は約25万人と推定される。そのうち47%が四肢麻痺者である。さらに毎年約1万1千人の脊損者が発生している。そのため障害者の長期ケアに要する費用は数10億ドルに達している。脊髄損傷を負った麻痺者も医学の歩によって、受傷後平均40年生きながらえることが出来るようになった。しかしその間、膨大な医療費と生活費を背負わなければならない。このような麻痺からの解放を実現する根本的な治療法の一刻も早い開発が期待されている。そしてそれまでの間、麻痺者のQOL向上を不断に追求しなければならない。
3, 助成プログラム
(1)研究プログラム
(@) CRPFコンソーシアム:CRPF脊髄損傷コンソーシアム(CRPF Consortium on Spinal Cord Injury)を形成し、国際的な神経科学者のグループの専門知識と科学的手段を脊髄損傷の治療法開発に集中させる。このような協力は脊髄研究の分野においては第一になされるべきことである。
(A) 個々の研究プログラムへの助成:科学諮問委員会(Science Advisory Council、 SAC)が助成申請のあった研究プログラムを審査し、理事会に対して助成金授与の推薦を行う。助成プログラムは一件当たり年間助成金額上限を5万ドルとし期間を2年間とする。ただし2年目も継続して授与するかどうかは1年目の成果次第としSACの承認を必要とする。
(B) 助成対象として重点を置いているテーマ
・ 損傷した中枢神経の再生につながる神経細胞、シナプス、ミエリンに関する研究。 ・ 二次的神経損傷を防ぐための薬物等の効果に関する研究。 ・ 脊髄損傷に関連した諸問題(例えば、排泄機能、生殖機能、慢性的疼痛)に関する研究。 ・ 脊髄損傷の解剖学的な特徴を明確なモデルで説明する研究。とりわけ神経システムと失われる機能についての研究。 ・ 受傷後どれだけ回復できるかに関して、新しくより正確な判断基準を作る研究。より効果的な治療法を開発することがCRPFの研究プログラムの目的であるが、重要な関連テーマも助成対象とする。基礎研究も明らかに重要と思われるものは対象となる。
(2)QOLプログラム
年に二度の助成金授与を通じて、障害者のQOL向上を目的としたプログラムに支援を行う。地方や地域のこの目的にもっとも適した組織機関に対して助成金を授与する。
4, 首脳陣
会長 クリフトファー リーブ(Christopher Reeve)
(前CRF理事長)理事長
(CEO)ミッチェル R ストーラー(Mitchell R Stoller)
(前APA理事長)副理事長
(研究担当)スーザン P ホーレイ(Susan P Howly)
(前APA研究担当理事)副理事長 ミカエル マンガニーロ(Michael Manganiello)
(前CRF専務理事)連絡先 500 Morris Avenue、Sprimgfield、NJ07081
www.paralysis.org
(なお、このプレスリリースは、1999年4月のCRPF発足の時点で出されたもので、 発足の原点が簡潔に記されています。その基本仕組みは大筋において変わらないものの、その後の発展や活動状況については、同財団のホームページ http://www.apacure.com/ をご覧下さい。)
(訳者 阿部 由紀)