脊髄損傷、その他麻痺疾患に関する海外諸団体紹介

《国際脊髄研究基金(ISRT)》

 国際脊髄研究基金は、1981年、スチュアート・エスナーによって、脊髄損傷による麻痺の治療を唯一の目的として各種研究を助成するために、ロンドンに設立された。

 スチュアートは自動車事故で首の骨を折り、医療では彼のために何もできないこと、二度と歩けないことを宣告された。同じ障害を持つ世界中の何百万の人々と同じく、スチュアートは、この宣告に納得出来なかった。そしてこうした圧倒的な悲観主義をものともせず、ただ一つの素朴な目的のために基金を設立した。その目的とは脊髄損傷治療研究のために募金を募ることであった。国際脊髄基金は、そうして集めた資金をもとに、脊髄損傷研究の普及を協調して行うための国際協力を推進してきた。

  以来、国際脊髄基金は脊髄損傷治療の研究分野で主導的な役割を果たすようになった。英国の何千という脊髄損傷者、世界中の何百万という脊髄損傷者に対して「希望はある」というメッセージを送り続けた。今まさに私達はバイオテクノロジーの分野で革命的な進歩を経験している。麻痺というものを忘却の彼方に追いやることも夢ではない。脊髄損傷という悲劇的な障害の治療方法が確立されたあかつきには、これから脊髄損傷になる人たちはかなりの恩恵を受けるはずである。彼らは麻痺のもたらす悲惨な影響について宣告されることはないと期待される。

出版刊行物:
 「オン・ザ・ムーブ」(ニュースレター、季刊。募金活動、イベント、運動の進展状況について等報告)。「リサーチ・ダイジェスト」(ニュースレター、年二回刊。研究成果や研究情報について報告)。年次報告書「医療研究情報概説」(毎年当基金の助成した研究の成果を発表)。

カンファランス:
 3年に一度脊髄研究についての国際会議を開催。


《米国脊髄空洞症連合プロジェクト(ASAP)》

1988年に設立された全国規模の非営利団体。主要な目標として次の2つを掲げている。第一に、脊髄空洞症による脊髄障害を持つ人々のサポートネットワークと情報提供機関であること、第二に、脊髄空洞症治療のための研究発展を促進すること、である。

 ASAPは、脊髄空洞症患者の生活を改善するために活動する米国における各組織の努力を調整する機能も担う。たとえば、障害の存在と惨状を一般の人々に知らせていくこと、その障害を治療するための現在および将来にわたる統一的、全国的医療保障政策の確立、脊髄空洞症専門医の最近の取り組みを患者に知らせていくこと、およびすべての原因を解明する研究の促進と現在の治療の改善、等々。出版刊行物:脊髄空洞症に関するニュースレター、パンフレット、多様な資料。


《イースター・シール協会(ESS)》

 1919年に、息子を交通事故で失った実業家エドガー・アレンによって、その私財を基に設立された「全米障害児協会」が前身。1934年、春を象徴する「百合の花」をデザインしたシールを募金のために発行した。募金のためイースター・シール・キャンペーンが行われるようになって、イースター・シールがロゴとなり、協会も正式名称をイースター・シール・ソサイェティと改称。1919年の設立以来、北米・カナダを中心に障害を持つ人々にリハビリテーションや各種サービスを直接供給してきた。ボランタリーの非営利保健機関である。協会には全米50州、カナダ主要州、プエルト・リコが加入。サービスプログラムは、あらゆるタイプの障害を持つ人々に対して、全国400ケ所以上の加入機関によって供給されている。

 サービスは場所によって変わるが、医療と職業リハビリテーションサービス、教育サービス、レジャープログラム、デイケア、クライエントと家族支援グループ、装置・装具購入のためのローン、情報と照会。協会のワシントン事務所は、障害を持つ人の権利平等を保障する法律の制定と施行を推進する。協会は、ADAの成立のために尽力し、またその完全実施のために尽力している。

出版刊行物:
 障害を持つ人々、家族、教師、他の専門家のためにさまざまなパンフレット(スペイン語もあり)を発行。そのカタログリストには、対応と情報、法律、デンタルケア、自立生活、予防と安全、リクレーションとキャンピング、スピーチ、言語、ヒヤリング、脳卒中他の障害に関するもの等あり。


《全米脊髄損傷者協会》

 前全国パラプレジア(対麻痺)基金。1948年、アメリカ退役軍人会によって設立された。目的は脊髄損傷の人々に対する良質なケアの総合的システムを発展させるため。全米規模で支部を持つネットワークであるが、協会はケアの総合的システムの発展に役立つ援助に主眼をおいている。新たに発生する受傷者に対応する情報と照会サービスの供給、専門家、有権者、大衆に教育プログラムを提供、脊髄損傷の予防を目的とした技術的環境的研究の促進、ケア改善を目的とした臨床研究の促進などである。また脊髄損傷を持つ人々の地域生活の質的向上を促進するために、協会は地方の各支部を通じて、ピア・カウンセリングを提供している。

 1978年リハビリテーション法の503条と504条、およびADAの完全実施を推進し、さらに車椅子使用者を受け入れる個人的かつ物理的な環境改善を促進するために活動を行っている。

出版刊行物:
 脊髄損傷の人々のニーズに合致した全国的かつ地域的な資源録、情報パンフレット、シリーズ物、「脊髄損傷の生活(ニュースレター)」(季刊)。


《全米脳卒中協会(NSA)》

 1984年設立。ストローク(脳卒中−脳梗塞、脳出血)に関して、脳卒中後生存者、家族、ヘルスケア専門家、および一般大衆を教育する非営利組織。予防、医療、研究、リハビリテーション、社会復帰に関する活動を通じて脳卒中の発生と後遺症の軽減を目的とする。そのため教育的資料とニュースレターを発行。脳卒中専門雑誌と専門家のニュースレターを発行。情報と照会のための全国的な情報センターとして、研究の促進と研究成果の普及、人権擁護、ワークショップの発展を目指す。脳卒中患者クラブ、脳卒中患者支援グループを発展させるためのガイドを提供。

出版刊行物:
 脳卒中後生存者、家族と他のケア提供者、脳卒中に関連するヘルスケアの専門家の利益になるようなパンフレットと小冊子の発行。「The Road Ahead」(脳卒中からの回復ガイド。脳卒中後生存者、家族と他のケア提供者、ヘルスケアの専門家のためのガイドライン。1986年発行、1992年改訂版発行)


《アメリカ退役軍人麻痺者協会(PVA)》

 1946年設立。脊髄関連の傷害、疾病の結果、麻痺のある退役軍人のニーズによって設立された全国的なサービス組織。この組織は一般大衆の寄付で運営。良質なヘルスケア、リハビリテーション、脊髄の障害や疾病を持つ人々の完全なる市民権を保障するために活動する組織。さまざまなプログラムや活動を通じて、医療やテクノロジーの発展や当事者のための法律をサポートする組織。具体的には次の分野で積極的に活動を展開している。脊髄研究基金、教育訓練基金、全国研究プログラム、全国人権擁護プログラム、全国法制プログラム、全国退役軍人特典プログラム、全国スポーツ・リクレーションプログラム。

出版刊行物:
 組織、活動、脊髄障害のさまざまな側面に関する出版物とビデオ、シリーズ刊行物、雑誌「パラプレジックニュース」(月刊、脊髄障害の人々に関心のあるニュースや記事を掲載)、雑誌「スポーツとスポークス」(隔月刊、車椅子競争スポーツやリクレーションを含む活動を紹介)。(脊髄損傷者の自己管理ガイドライン「Yes,You Can!」は、「日本せきずい基金」が翻訳頒布。)


《 脊髄協会(SCS)》

 1978年に、脊髄損傷の治療法追求のために活動する組織として設立された。北米とその他24ヶ国に200以上のボランティア支部を擁する。研究プログラム、治療センター、サービスに関する照会とコンピュータ化されたデータをサポートする組織。医療機関や神経科学者と協力しながら、脊髄損傷麻痺に関する治療法を確立するために活動する。研究推進・助成型活動の草分けとも言われる。組織は会費と寄付で運営されている。

出版刊行物:
 「脊髄協会ニュース」(月刊、SCS活動ニュース、研究、会合、サービスの紹介)


《アメリカ二分脊椎協会(SBAA)》

 1972年に設立された非営利組織。目的は二分脊椎に関する広範な健康問題を一般大衆、専門家、政府関係者に知らせること。協会のネットワークは全米各地にある。その通常の情報活動に加えて、医療、教育、保護関連法の分野における新たな展開や先端情報をメンバーに知らせる活動も行う。二分脊椎の原因究明と治療に関する研究のサポート、二分脊椎の人々の総合的治療を促進する、二分脊椎の人々をケアする有能な人材養成を促進する、等も重要な活動である。

出版刊行物:
 子供と成人を対象とした二分脊椎に関するパンフレットやレポート情報、両親や医療専門職を対象とした教育プログラム、二分脊椎の人々の能力や可能性に関する35ミリのスライド集作成。定期刊行物「インサイト(ニュースレター)」(隔月刊、主として二分脊椎患者の生活に関するニュースと対談を掲載)


《脳卒中患者を励ますネットワーク( The Courage Stroke Network)》

 1979年に設立。脳卒中後生存者、家族メンバー、専門家を結びつけることを目的とする。専門家は脳卒中を抱えて生活する人々の経験や知識を共有するためのフォーラムを準備したりする活動に参加する。ネットワークは脳卒中患者のサポートグループの組織化を促進し、脳卒中に関する情報や教材を提供する。無報酬メンバーを通じて地方の脳卒中患者グループに対しても情報を提供。またネットワークは、脳卒中セミナーを通じて、脳卒中後生存者にこの疾患とつきあうテクニックに関する知識や情報などを提供。

 脳卒中克服プログラムは、脳卒中後生存者とケア提供者を訓練し、他の脳卒中後生存者と家族をサポートする訪問活動を行うものである。ネットワークはさらに、脳卒中患者と家族を対象に全国的な擁護活動も行う。

出版刊行物:
 「ストロークコネクション」(ニュースレター、年6回発行。脳卒中に関する記事を掲載、その多くは脳卒中患者によって書かれたものである。)


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